アイピートークのプライベートセミナーでは、三菱電機 設計システム技術センター 電子回路応用技術部の中岡邦夫氏とアイピートークの木村俊氏が、050番号に対応した携帯型IP電話「モバイルIP Talk」について講演した。
■ 標準化された技術を利用し、端末独自の機能で勝負
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三菱電機 設計システム技術センター 電子回路応用技術部の中岡邦夫氏
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三菱電機の中岡氏は、モバイルIP Talkの電話端末「M107ip」をハードウェアの観点から説明。「大きく分けるとIP電話と無線LANの通信技術の2つが鍵になっている」とした上で、「端末を開発する側からすると縁遠い技術ではあるが、もはや電話端末というハードだけでは語れなくなっている」と語った。
中岡氏は、無線LANのIP電話によってビジネスモデルが今後変化すると指摘。「従来の携帯電話は、キャリアが独自方式と独自端末で展開してきたが、オープンな技術であるSIPや無線LANを採用することで、モバイルIP電話は水平分業モデルへ移行するだろう」と語り、「最後はインターネットですべてつながる、というのが今後のポイントではないか」とした。
モバイルIP Talkの端末は、2002年のCEATEC JAPANで初めて試作機を出展。中岡氏は「当時はSD型の通信カードがなかったのでCFカードを採用した」とした上で、「AirH"などのPHSデータ通信サービスも利用できるIP電話がコンセプトであり特徴だった」と振り返った。
今回サービス提供するM107ipは、対応する無線LANカードをCFカードからSDカードへ移行し、小型化を図った。中岡氏は「CFカード自体が幅広いために、片手で持つには端末の幅が広くなってしまう」と語った上で、「SDカードによる小型化で得た空間を電池に回し、連続通話4時間、待ち受け24時間を実現した」と説明した。
M107ipの特徴は、「通信カードを差し替えられる」点だという。中岡氏は「開発時点の最先端の技術を組み込むよりも、カードやオプションなどで対応することにより、常に最先端の技術に対応できる」と説明、「オープン化されている技術はそのまま受け入れ、どこで勝負するかを集中して考えた」とコメント。システムはμT-Engineのプラットフォームを採用し、無線部分もシイガイズに一任することで、端末独自の機能に集中するとした。
中岡氏は「ハードウェアやソフトウェアの基本機能は今後も標準化が進んでいき、無線LANもより高度な技術の策定が進む。自己流では世の中の流れについて行けなくなる」と説明。「外付けのカードは世の中の標準が決まってから対応すればいいという柔軟性がメリット。開発のリスクを減らし、小型化や高解像度、動画対応といった機能拡充のための開発や資産の蓄積が重要になる」と講演を締めくくった。
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CFカードからSDカードへの移行によって端末の小型化が可能に
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標準化された技術を採用、独自機能に注力
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■ 公衆無線LANやPHSへの対応も検討
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アイピートークの木村俊氏
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アイピートークの木村氏は、モバイルIP Talkの今後のサービス展開を中心に説明。「無線LANは高速化や安定化、セキュリティといった課題も解決しつつあり、機器も低価格化が進んでいる。オフィスのネットワークは今後有線から無線へ向かう」とした上で、「今後公衆無線LANが普及するにつれて、IP電話が携帯化する、もしくは携帯電話がIPの技術を取り込むのは当然の流れ」との考えを示した。
木村氏は携帯電話のIP化について「世界標準であり、プロバイダーやキャリアに依存せず同じ番号を使い続けられる。常時接続という点では使い放題の期待も高い」と指摘。一方で「電話の価格破壊だけでは事業者は生きていけない。動画やチャット、高速化や大容量化といったサービスの充実が重要になる」とした上で、「アイピートークだけですべてをカバーすることはできない。様々なパートナーとの提携によって新しいサービスとハードを盛り上げていきたい」との意欲を見せた。
モバイルIP Talkのビジネス展開としては、第1段階としてアクセスポイントやIP電話端末をリース提供するシステムからスタート。木村氏は「IP電話だけでなく、無線LANシステムも同時に導入できる」とのメリットを示した上で、「IPTalk-Proと組み合わせることで、PBX不要の広域内線網を構築できる」とし、モバイルIP電話のレイアウトフリーというメリットを訴求していくとした。
今後は、0AB~J番号の着信を050番号へ転送できる「IPTalk-Warp」と組み合わせることで、構内PHSの代替システムとしても提供していくほか、ホテルや病院内のコミュニケーションシステムも開発。「M107ipはメールもブラウザも持っているので、情報管理やスケジュールリストが使える情報端末としても利用できる(木村氏)。さらに日系企業を中心とした海外展開やプロバイダーを問わないIP電話としての本格展開も視野にあるとした。
公衆無線LANサービスへの対応も検討しており、ユーザーの自動認証や自動ローミング機能を開発。PHSなど無線LAN以外の通信との連携するために各種SDIOカード対応ドライバの開発やPHSなどの連携も進めており、現在もSDIO型PHSカードのドライバを開発中とした。
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今後は公衆無線LANやPHSにも対応を予定
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公衆無線LANの対応イメージ
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■ URL
アイピートーク
http://www.iptalk.net/
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(甲斐祐樹)
2005/03/10 19:24
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