Broadband Watch logo

HDD、プリンタをまとめてLAN共有! ロジテック「LAN-HDPS/U2」


 ロジテックの「LAN-HDPS/U2」は、LAN上でUSBストレージを共有可能なプリントサーバーだ。いわゆるUSB-LANコンバータに属する製品だが、従来製品では非対応だったプリントサーバー機能を前面に打ち出している点が、これまでの製品に見られなかった特徴である。


プリンタ接続をサポートしたUSB-LANコンバータ

「LAN-HDPS/U2」の標準価格は11,340円。実売ではおそらく1万円を切ると思われる

製品パッケージ。製品名があくまで「プリントサーバー」であるのがポイント
 USBストレージをLAN接続に変換するコンバータ、いわゆる「USB-LANコンバータ」は、決してメジャーな存在ではないものの、手持ちのUSBストレージをネットワーク上で利用できる便利な製品だ。このジャンルの走りと言えるロボスの「Samba Server」にはじまり、2004年後半にはコレガ、アイ・オー・データ機器からも製品が登場。コレガ製品はカードリーダライタを内蔵し、アイ・オー製品では業界最多の5ポートを搭載するとともにボタンによるコピー機能をサポートするなど、それぞれに特徴があり、コアなユーザーの間で人気を博していた。

 今回紹介するロジテックの「LAN-HDPS/U2」は、これらUSB-LANコンバータに加わった新たな顔ぶれということになる。USBポートは2ポートと、競合製品に比べて少なめであるが、製品パッケージにある「USB HD共有サーバー&プリントサーバー」という名称が示す通り、あくまでもプリントサーバーとして位置づけられていることが、従来製品と大きく異なっている。

 これまでのUSB-LANコンバータは、いずれもストレージの接続にのみ対応しており、プリンタ接続はサポートしていなかった。しかし、本製品ではプリントサーバー機能を前面に出し、本来のUSB-LANコンバータとしての訴求を弱めた形になっている。店頭で陳列スペースがわかりにくいHDDのオプション製品としてではなく、USBストレージの接続にも対応した高機能なプリントサーバーとして店頭に陳列することを狙ったものと考えられる。


背面。USB×2ポートを備える。電源ボタンは用意されていない USBポートは上下に隣接しており、少々窮屈な感がある。USBメモリが上下に干渉して挿さらない場合は、延長ケーブルを別途用意した方が良さそうだ

2台のプリンタが接続可能。プリントサーバー機能はWindowsのみ対応

プリンタを接続し、LANを介した利用が可能

側面のUSBイジェクトボタンを長押しすることで、接続したUSB機器のアンマウントが行なえる
 USB-LANコンバータはもともと「ドライブのないNAS」とでも言うべき製品であり、本体にはCPUやOSが内蔵されている。本製品では「Synology USB Station OS」という聞き慣れないOSを採用しているが、これはLinuxをベースとしたSynologyの独自OSであり、使い勝手は競合のUSB-LANコンバータと変わらない。同時接続数の上限は16台、推奨最大同時接続アクセス数は3クライアントと、こちらは競合製品に比べるとやや少なめ。ヘビーな法人ユースで使うというよりも、家庭・SOHO向けといった印象だ。

 製品の設定は、添付の専用ユーティリティ「クイックセットアップツール」か、Webブラウザから行なう。初回は専用ユーティリティを用いてIPアドレスやワークグループを設定し、その後の細かな設定変更はWebブラウザ画面から行なうのが一般的だろう。ちなみに、クイックセットアップツールはMac OS版も添付されているので、Windowsに加えてMac OSからも設定が可能だ。

 専用ユーティリティを利用してLAN上のパソコンから本製品を認識すると、USBポートに接続されている機器の情報が画面に表示される。USBプリンタの場合はここでドライバのインストールを行なえるほか、USBストレージの場合は「ドライブマップウィザード」を用い、ネットワークドライブとして割り当てることもできる。ちなみに、この画面からはUSBストレージのフォーマット(専用フォーマット/FAT32形式)も行なえる。

 プリントサーバー機能については、Windowsからしか利用できず、Macには対応しない。また、双方向通信は行なえないので、インク残量などの確認は行なえない制限がある。もっとも、コンシューマ向けプリントサーバーの多くは同様の制限があるので、本製品だけの特殊な問題というわけではない。ちなみに本製品には合計2台のUSBプリンタを接続できるので、インクジェットプリンタとレーザープリンタなど、異なる2台を接続して利用することも可能だ。


専用のセットアップユーティリティが付属。IPアドレス体系が違っても設定が可能だ プリンタの登録ウィザード。プリンタは2台まで接続できる

USBストレージをLAN経由で共有可能。書込速度は直結状態と比較すると遅め

USBストレージを接続し、LANでの共有が可能。なお、バスパワー駆動のHDDの動作はサポート対象外とされている
 Windowsパソコンからしか利用できないプリントサーバー機能と異なり、USBストレージの共有機能はWindows、Macのどちらからも利用できる。つまり、1台のUSBストレージをWindows・Macで共有し、データ交換などに利用が可能というわけだ。

 共有機能は、専用フォーマットの場合、管理者・ゲストの両方とも読み書き可能な「PUBLIC」、管理者のみ読み書き可能、ゲストは読み込みのみ可能な「PRIVATE」、管理者のみ読み書き可能な「ADMIN」のフォルダが生成される。FATフォーマットの場合は管理者・ゲストの両方とも読み書き可能で、アクセス制限をかけることはできない。アクセス制限については、全般的にやや貧弱な印象だ。

 USBストレージに関しては、USB HDD、USBメモリ、USBカードリーダライタが接続可能で、DVDやMOドライブなどのリムーバブル装置は使用できない。HDDについてはバスパワー駆動は不可とされているが、筆者が試した範囲では、ポータブルタイプのバスパワーHDDの動作も確認できた。あくまでも消費電力次第ではあるが、ノンサポートというだけで、動作させることは不可能ではないようだ。また、USBカードリーダライタについては、1スロットタイプの製品のみ利用可能で、複数スロットを持つ製品は利用できない。このあたりは競合製品と同様の制限事項だ。

 USBストレージは1台のみ接続が可能で、2台同時に接続して利用することはできない。従って、組み合わせのパターンとしては、「USBプリンタ+USBプリンタ」または「USBプリンタ+USBストレージ(HDD/メモリ/カードリーダライタなど)」のどちらかということになる。ちなみに、USBハブなどを利用してUSBポートを分岐させることはできない。


USBストレージ内のフォルダをネットワークドライブとしてマッピングできる「ドライブマップウィザード」が用意される Windowsのエクスプローラから本製品(Lanhdps)を開いた状態。2台のUSBプリンタと、1台のUSBストレージが表示される

Webブラウザからの設定も可能。こちらはUSBプリンタの設定画面 USBストレージの設定画面。右にストレージに関する情報が表示されている。この画面からイジェクト、フォーマットも行なえる USBストレージに対してのFTPサービスもサポートする

 USBストレージを利用する際に気になる転送速度だが、手持ちのUSBメモリ(アイ・オー EDP-1G)を下記の(A)(B)のように接続したのち、131MBのZIPファイルをWindowsのエクスプローラ上でドラッグ&ドロップで転送し、所要時間を計測してみた。あまり厳密な測定条件ではないが、参考にしていただきたい。

(A)USBメモリを、パソコンのUSBポートに直結した状態
(B)USBメモリを、本製品経由でネットワークドライブとして認識させた状態

 結果としては、(A)の状態で20秒、(B)の状態で55秒という結果が得られた。USBメモリをUSB HDDに交換した場合もほぼ同様の値で、直結状態に比べると書き込み速度がダウンする傾向は変わらない。USBメモリ内のDivXファイルをパソコン上で再生してもコマ落ちこそ発生しなかったが、前出の同時接続数の少なさも考慮すると、CPUはややロースペックであることが想像される。ストレージ中心の利用で、転送速度が第一と考えているユーザーは注意したほうが良いだろう。


付加価値のついたプリントサーバーとしてオススメ

CDとほぼ同じサイズの筐体。スタイリッシュとは言えないが、安定感はある。可能ならば、さらなる筐体の小型化を望みたい
 以上、ざっと機能を見てきたが、「USB HD共有サーバー&プリントサーバー」という製品名が示す通り、USB-LANコンバータとプリントサーバーの長所を兼ね備えた製品だ。プリントサーバーの購入を検討している人にとっては、プリンタ以外にUSBストレージも接続可能であることは魅力だろうし、USB-LANコンバータを探している人にとっても、プリントサーバー機能が利用可能な本製品は、高付加価値製品として眼に映るはずだ。

 USBポートが2ポートと、競合のUSB-LANコンバータに比べてやや少なめであり、さらにUSBストレージが1台しか接続できないことはマイナス点だが、あくまでもプリントサーバー機能がメインであることを考えると、妥当な拡張性だと言えるだろう。かなり大柄でスタイリッシュとは言えない筐体は好みが分かれるところだが、競合製品がタテ置きでやや不安定であるのに対し、どっしりとした本製品の筐体は、どんな場所にも安定して設置できるメリットがある。

 標準価格は11,340円ということから、店頭での実売価格は1万円を切ると考えられ、単機能のUSBプリントサーバー、USB-LANコンバータと比べても価格競争力は十分にある。付加価値のついたプリントサーバーを探している方、またこれからUSB-LANコンバータを購入される方は、候補に含めて良い製品ではないだろうか。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.logitec.co.jp/products/lan/lanhdpsu2.html
  ロジテック
  http://www.logitec.co.jp/

関連記事
ロジテック、USBストレージやプリンタをLAN共有できるコンバータ


(後藤重治)
2006/06/14 11:02
Broadband Watch ホームページ
Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.