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赤外線LEDや顔位置検知機能を備えた130万画素Webカメラ「DC-NCIRC2」


 DIGITAL COWBOYの「DC-NCIRC2」は、ドライバ補正なしで130万画素、さらには赤外線LEDも搭載し、暗いところでの撮影にも対応した高性能Webカメラだ。加えて、顔位置を検出して自動ズームするフェイストラッキング機能により、パンチルトタイプのカメラに劣らない利便性を実現しているのも特徴だ。


高画質かつ多機能。カメラ部はコンパクトで精悍な印象

DC-NCIRC2。実売価格は7,480円前後で、最近では珍しいアーム式を採用している
 「DC-NCIRC2」は、赤外線LEDを搭載したことで暗闇での撮影を可能としたWebカメラ「DC-NCIRC2」の後継に当たる製品だ。前モデルが30万画素だったのに対し、本製品は130万画素と大幅にパワーアップ。また、デコレーションフレームなどの装飾効果も搭載しているほか、近頃では珍しいアームタイプを採用しているのも特徴である。

 カメラ部は非常にコンパクトで、500円玉を2枚並べた程度しかない上、レンズ部を除く本体の厚みがわずか15mmと、旧モデルに比べて大幅な薄型化にも成功している。本体色はブラックとシルバーのツートンで、精悍な印象を与える。

 カメラは有効画素数130万画素、最大解像度はドライバ補正なしで1,280×1,024ピクセル。また、Webカメラには珍しい4層ガラスレンズを採用するなど、画質にはかなりこだわった作りであることがわかる。なお、1,280×1,024ピクセルの場合はフレームレートは15fpsとなり、30fpsで使いたい場合は640×480ピクセル以下に変更する必要がある。


カメラ本体は500円玉を2枚並べた程度と非常に小柄。ピントはレンズ部を回転させて調節する 製品パッケージ。本製品を監視カメラとして利用できるソフトウェア「どこでも携監」が付属する

本体下部には、手元のキーボードを照らす白色LEDが装備されている
 本体右側面には、上から順にキャプチャボタン、赤外線ボタン、白色LEDの3つのボタンが配置されている。中でもユニークなのは、カメラ本体下部に設けられた白色LEDだろう。これは、暗いところで本製品を用いる際に、手元、つまりキーボードを照らしてくれる機能だ。ライトはちょっとした簡易ライト並みの明るさがあり、実用性は高い。

 カメラを支えるフレキシブルアームは全長およそ15.5cm。自由自在に曲げることができ、かつ適度な耐久性と強度を誇っている。硬すぎず柔らかすぎず、意図したポーズできちんと静止する。

 台座はおよそ6×8.5cmほどで、見た目よりも安定感がある。詳しくは写真をご覧いただければと思うが、アームを極端に曲げても倒れることがない。こうしたアームタイプの製品は一般的に不安定さがネックになることが多いが、本製品の場合その心配はないと言えそうだ。また、台座裏面はウレタン上の素材が貼られるなど、作りの丁寧さも目立つ。

 台座背面にはピンジャックコネクタが設けられており、ここにイヤホン端子などを接続できる。接続するのは製品同梱のイヤホンマイクでも構わないし、別途ハンドセットなどを接続しても良いだろう。着脱にあたって、パソコン背面のイヤホン端子にわざわざ手を伸ばさなくて良いのはありがたいところだ。


右側面に、キャプチャボタン、赤外線ボタン、白色LEDボタンを装備する。左側面は何もない 台座の安定感はかなりのもの。極端に前傾させても倒れなかった

台座の背面にはイヤホン端子を備えており、付属のヘッドセットや、市販のハンドセットを接続できる コネクタは三ツ又。カメラ台座部分のイヤホンコネクタを利用しない場合は、パソコンに接続するのはUSBコネクタのみで構わない

赤外線LED×高感度の選択により、暗い場所での撮影が可能に

製品の設定画面。赤外線を利用する時は「高感度」にチェックボックスを入れておくと、相乗効果できれいな画像が得られる
 本製品の特徴は、赤外線LEDの採用により、暗いところでも撮影が可能なことである。この赤外線機能は、カメラ本体右側面のスイッチでオンにする。また、これと並行して、ユーティリティに「高感度」の項目があるので、チェックを忘れずに入れておくようにしたい。

 以下は、赤外線機能のない一般的なWebカメラと比較した画像である。ややわかりにくい比較画像で恐縮だが、一般的なWebカメラでは画面がザラザラで、色もほとんど飛んでしまっているのに対し、本製品では被写体にきちんと色が乗っている。赤外線LEDの効果は十分にあると言えるだろう。

 もっとも、赤外線LEDというのは一般的に照射距離が短いため、過信は禁物である。本製品に限ったことではないが、どんなにハイパワーな赤外線LEDであっても、到達距離は数メートルが限界であることが多い。つまり、万能ではないわけだが、そういった意味で赤外線だけに頼ろうとせず、明るめのレンズを搭載し、もともとの画素数も高い本製品は、実用性が高いと言える。

 余談ながら、Webカメラを使用する場合は、パソコンのディスプレイはまず間違いなくついているわけで、一定の光量は確保されているのが普通だ。今回サンプルとして掲載した写真についても、部屋の明かりはオフにし、ディスプレイをつけた状態で撮影したものである。防犯カメラとして使用する場合はやや事情が異なるかもしれないが、ビデオチャットに利用する場合は、部屋の明かりをまったく必要としないほどの実力を備えていると言えそうだ。


部屋の明かりを消し、ディスプレイだけがついた状態で撮影した画像。一般的なWebカメラで撮影した画像(写真左)と比べ、本製品で撮影した画像は色もきちんと乗っており、被写体が十分に認識できることがわかる


パンチルトの新しい形、フェイストラッキング機能

 最近のWebカメラの1つのトレンドとして、自動パンチルト機能が挙げられる。顔の位置を検出して自動追尾したり、動く被写体のほうを向く機能だ。前回取り上げた「DC-NCSC1」は、自動パン機能を持っており、横方向の自動追尾が可能であった。

 一方、本製品はカメラ本体を自動パンチルトさせる機能こそ搭載していないが、顔の位置を検出してズームする「フェイストラッキング機能」を装備している。これにより、デジタルズームを用いた擬似パン・チルトが行なえるわけだ。

 デジタルズームということで原理上は画質はやや荒れるはずだが、実際に使ってみるとほとんど違和感を感じない。露骨にカメラの向きが変わるパン・チルトより、本製品のほうが実用的ではないかと感じた。デジタルズームは適切な倍率でストップするので、必要以上に顔がアップになってしまうこともない。

 ただ、この機能を利用する場合は、ある程度カメラの“引き”があることが前提になる。普通に撮っても顔がアップになってしまうような距離であれば、デジタルズームを行なうことができず、フェイストラッキング機能は利用できない。利用環境に依存することは留意したほうが良いだろう。


フェイストラッキング機能を有効にすれば、撮影エリア内の顔の部分を検知し、デジタルズームを行なってくれる。130万画素ということもあり、デジタルズームでも十分な画質が得られる


「デコレーションフレームと効果」を用いることで、プリセットされたフレームなどで画像を装飾することが可能。自動変更をオンにしておくと、ランダムで面白い効果を得られるので、しばらくはこれで遊んでみるのも良いだろう


約21cmというアームの長さはやや疑問

アームはやや短め。B5ノートと組み合わせた場合は背面から顔を覗かせることができるが、それ以上になると台の上に乗せるといった工夫が必要だ
 このように、さまざまな優れた機能を持つ本製品だが、唯一疑問なのが「アームの長さ」だ。既出の通り、本製品のアームはおよそ15.5cmの長さとなっており、アームをまっすぐに伸ばした場合、カメラのレンズ部分の高さは机上からおよそ21cmの位置になる。

 しかし、この約21cmという高さは、実際に設置してみるとかなり中途半端だ。A4ノートの背後に置くと前から見て完全に隠れてしまうし、15インチ以上の液晶ディスプレイでも同様の状態になる。B5のモバイルノートであれば、かろうじて背中から顔を出すことができるが、モバイルノートと組み合わせて使う機会があまり多いとは思えない。ちなみにロジクールのアームタイプのカメラはアーム部が30cm弱あり、A4ノートの背後に置いて利用できるようになっている。

 従って、本製品を利用する場合は、ディスプレイの背後になんらかの台を置き、その上に載せるといった工夫が必要になってくる。もちろん、ディスプレイの横に設置してナナメ方向から顔を映すのでも構わないのだが、その場合ではキーボードを照らす白色LEDが役に立たない。個別の機能が秀逸なだけに、少々残念ではある。

 若干話は逸れるが、昨今のWebカメラはクリップタイプが多くなってきており、本製品のようなアームタイプは少なくなってきている。ディスプレイの大型化に伴って、ディスプレイの背後から顔を出せるほどの長さのアームを装備するのが、耐久性の点から難しくなっているのがその理由だと思われる。

 ただ、ディスプレイの形状やベゼルの幅・厚みを選ぶクリップタイプより、机上のどこにでも設置できるアームタイプのほうが汎用性が高いとも考えられる。本製品の場合、アームの短さを問題視するよりも、むしろ、アームであることを生かして自由に設置できること自体をメリットとして捉えるべきなのかもしれない。もちろん、クリップ式とアーム式を選択できるような機構があれば、よりベターだったのは事実である。


独自色にあふれる高機能な製品。アーム式に納得できれば「買い」

 ブランド誕生から1年、いまやPC周辺機器業界では隠れたプライスリーダー的な役割を担っているDIGITAL COWBOY社の製品だが、本製品も例に漏れず、130万画素対応・赤外線方式という特徴がありながら、実売価格7,480円というリーズナブルな価格を実現している。個々のパーツの質感も非常に高く、機能も豊富とくれば、買って損をすることはないだろう。

 前述の通り、アーム式であることはメリットでもありデメリットでもあるが、「赤外線対応のWebカメラ」という分野は、本製品の旧モデルである「DC-NCIRC1」くらいしかなく、ここに130万画素という特徴が加わると、競合製品が市場に存在しない状況だ。暗い場所で利用する機会がなかったとしても、逆光の補正など、なにかにつけて実用性の高い機能であることは間違いない。これらをプラスアルファの機能と捉えて本製品をチョイスするのは、初心者にとっても上級者にとっても、良い選択だと言えるだろう。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.digitalcowboy.jp/products/ncirc2/index.html
  DIGITAL COWBOY
  http://www.digitalcowboy.jp/

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(kizuki)
2006/08/23 10:56
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