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「plus one」製品パッケージ。価格は1万9800円
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センチュリーの「plus one(LCD-4300U)」は、4.3型、ワイドVGA(800×480ドット)の解像度を持ったUSB接続の液晶ディスプレイだ。
USBケーブルでPCと接続することで、手軽にマルチディスプレイ環境を構築できるほか、回転機能やミラー機能によって、さまざまな用途に使える汎用性を秘めている。
■ 解像度は800×480。USBバスパワーで駆動
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製品外観。当初の対応OSはWindows Vista/XPだったが、現在ではMac OS X 10.4.11/10.5.5への対応も行われた(Intel製CPUのみ)
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USB miniBポートを備え、バスパワーで駆動
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筐体は、黒1色。形状だけを見ると、どことなくiPod touchに近い風貌を感じさせる。本体にはボタンに相当するものはなく、正面左上にLEDが装備されているだけ。背面側を見ると、同じくボタンのないシンプルな構成で、側面部にUSBポートとチルトスタンドが備わっている。
つまり、本体側での操作には対応せず、調整など一切の操作は、すべてPC本体側にインストールしたユーティリティで行う格好になる。
画面サイズは4.3型で、解像度は800×480ドット(ワイドVGA)。なお、製品情報ページや説明書には応答速度が記載されていないが、後述のように動画の再生も問題なく行えるなど、試用中に問題は特に感じられなかった。
電源はUSBによるバスパワー駆動で、ACアダプタは用意されていない。説明書によれば、PCMCIA規格のUSBカードでは電力が不足する点が明記されているほか、USBハブ経由での接続は動作保証外とされている。筆者環境ではハブ経由でも問題なく動作したが、基本的にはPC本体のUSBポートに直結して利用したほうが良いだろう。
背面部にあるチルトスタンドは、片側のみ用意されている。角度は4段階で可変するが、製品本体が130gと軽いことと、添付USBケーブルの外皮がかなり硬いため、ケーブルの反発力に負けて引っ張られてしまい、机上でなかなか安定して利用できないのが難点だ。机上の置き場を固定するのであれば、外皮の柔らかいケーブルに交換したり、市販のiPod用のスタンドを導入して、机上の置き場所を固定するのも良いかもしれない。
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背面部。ボタンなどはなく、すっきりしている
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側面から見たところ。スタンドは4段階の調整が可能
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外観はどことなくPDAライク。あえて言えばiPod touchに近いサイズ
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iPod(右)との比較
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■ DisplayLink社製のユーティリティを採用。画面の回転やミラーモードも
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ミラーモード時。親画面の一部分しか表示できず、マウスポインタに合わせて画面がスクロールする
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画面の解像度や位置の設定、マルチディスプレイやミラー表示の設定は、すべてPC側にインストールしたユーティリティ「DisplayLink Manager」で行う。通常はタスクトレイに常駐しており、クリックすれば設定メニューが表示される方式だ。
DisplayLinkという名称からお察しの通り、本製品のUSBグラフィックドライバは定評のあるDisplayLink社製のユーティリティを使用している。同社のハードウェアを利用した製品では、過去に取り上げたアイ・オー・データ機器の「USBグラフィック」や、ラトックシステムの「REX-USBDVI」があるが、本製品もこれら製品添付のユーティリティと同様の機能を持っている。大きく違うのは、解像度が800×480に固定されている点ぐらいだろうか。
今回は、640×480ドットのDivXファイルを再生してみたが、再生途中にコマ落ちが発生したり、PC側のパフォーマンスが目に見えて低下するといった問題は発生しなかった。アイ・オーの「USBグラフィック」などでも、パフォーマンス面で不満を感じることは皆無に近かったが、こうした特徴は本製品でも受け継がれているようだ。
本製品ではまた、回転表示にも対応している。つまり、本体を90度回転させ、480×800ドットという縦長表示を行えるわけだ。最近では、画面の右端に置かれるツールバーやウィジェットが多いため、これらソフトを通常画面に表示させるのではなく、本製品に移動させて表示する方法も考えられる。また、画像編集ソフトのパレットを置いてみるのも良いだろう。
加えて、一般的なマルチディスプレイモードのほか、ミラーモードもサポートされている。ただ、元の画面が本製品の解像度(800×480ドット)よりも高い場合、ミラーモードでは一部分しか表示されず、マウスポインタの位置に合わせて画面が自動的にスクロールする。面白い機能ではあるが、個人的にはあまり実用的ではないと感じた。
PCへの同時接続台数は、最大6台まで。複数台を同時接続した場合には、製品個別にマルチディスプレイモードとミラーモードの機能を割り当てられる。
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画面解像度は800×480ドットで固定されている
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90度回転することも可能
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■ 用途はさまざま。プッシュ型コンテンツや映像系がおすすめ
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視野角は上下左右ともかなり広い。なお、説明書に「すべてのアプリケーションに対応出来ません」とあることから、「USBグラフィック」におけるSecond Lifeのように、アプリケーションによっては表示できないこともあると考えられる
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本製品の画面サイズをどう生かすかについてだが、これはユーザーの工夫次第と言えるだろう。4.3型の小型画面とは言え、800×480ドットという解像度はなかなかの高精細であり、幅広い用途に耐えうる仕様であると言える。
無難な用途としては、マルチディスプレイの一般的な使い方と同じく、ビデオの鑑賞やメールチェックあたりが挙げられる。画像処理ソフトや動画編集ソフトのパレットだけを集めて表示したり、画面を90度ローテーションさせて、メッセンジャーソフトのコンタクトリストを表示しておくのもアリだろう。
また、RSSチェッカーを用意して絶えずニュースを流したり、時計や天気予報、株価といったウィジェットを表示させるのも良い。表示内容が動的に変化していくプッシュ型のコンテンツとの相性は、全般的に良さそうだ。
このほか、写真や動画系の活用も面白そうだ。スライドショー機能を持つビューアと組み合わせれば、デジタルフォトフレーム的な使い方もできるし、PCに接続したTVチューナーの画面を表示し、さながら有線のワンセグのように使うのもありだろう。解像度が800×480に固定されていることで、文字はやや細かすぎる点があるので、こうした映像中心の用途は最適とも言える。
■ 創意工夫の余地があり、ワクワクさせてくれる魅力的な製品
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画面を90度回転させ、Windows Live Messengerのコンタクトリストを表示したところ
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以上、ざっと試用してみたが、これだけワクワクさせてくれるPC周辺機器も最近ではかなり珍しい。単純にスペックだけ見ると「800×480ドット表示のUSB接続の液晶ディスプレイ」なのだが、用途訴求が押しつけがましくなく、ユーザに創意工夫の余地が残されている点が、むしろチャレンジ心をかき立ててくれる。
逆に言うと「こんなことができるかも」と、自分なりのアイデアを思いつくかどうかが、本製品をフルに楽しめるかどうかのカギになりそうだ。実売1万9800円と、液晶ディスプレイとしての価格だけ見ると割高だが、今回試用した限りでは、価格に見合った楽しみをもたらしてくれる製品だと感じた。個人的には、もう1つ上のサイズ、7型タイプの登場にも期待したい。
■ URL
製品情報
http://www.century.co.jp/products/pc/monitor/lcd-4300u.html
センチュリー
http://www.century.co.jp/
(山口真弘)
2008/12/10 10:59
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