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【 2009/12/25 】 【 2009/11/13 】 【 2009/09/25 】 【 2009/07/01 】 【 2009/06/26 】
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進化を遂げるIP電話サービスを徹底解剖(後編)
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2003年後半に入って、固定電話からの着信や携帯電話・PHSとの相互接続など、サービスを大幅に拡充したIP電話。後編では固定電話や携帯電話との料金比較を踏まえながら、通話料金でのメリットを探っていく。
■ 固定電話から050番号へ通話が可能に
今年に入ってから起きたIP電話の大きな動きの1つとして、固定電話発IP電話着の通話サービスが挙げられる。従来までIP電話は「加入者が得をする」サービスだったが、全国どこからでもIP電話へ均一料金で発信できることで、「加入者以外も得をする」サービスへと変化を遂げたといえるだろう。ここでは固定電話発IP電話着の通話料金表、固定電話同士の通話料金表を用意した。
固定電話発IP電話着の通話料金(単位:3分) |
発信先 |
事業者識別コード |
料金 |
NTT-ME |
5550~5555、2400~2408 |
10.4円 |
ソフトバンクBB |
1000~1577 |
10.5円 |
フュージョン |
5500~5532 |
ぷらら |
7500~7532 |
NTT Com |
3300~3450、5000~5003、3900、3901、7000 |
10.8円 |
KDDI |
3000~3045、7100~7102 |
日本テレコム |
2000~2016 |
パワードコム |
8000~8006 |
※事業者識別コード:050-CDEF-GHJKのうち、CDEFの4桁の番号。 |
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固定電話間の通話料金(単位:3分) |
時間帯 |
市内 |
同一県内 |
20kmまで |
60kmまで |
60km超 |
昼間(8:00~19:00) |
8.5円 |
20円 |
30円 |
40円 |
夜間(19:00~23:00) |
30円 |
深夜(23:00~8:00) |
8.5円/4分 |
20円 |
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固定電話発IP電話着の通話料金は現在のところ3分10.4~10.8円で、市内通話の3分8.5円(深夜は4分8.5円)よりも割高だ。ただしIP電話への発信は距離に関係しないため、市外より遠距離の通話であればIP電話が安価となる。IP電話であれば常に安い、とはいかないところが難しいところだ。
なお、IP電話発固定電話着の通話料金は、前回の特集や本特集の前編で示したとおり、多くのプロバイダーが3分7.5~8円程度に設定しているため、市内の深夜料金以外はIP電話が安価となる。距離よりも時間のほうが体感しやすいため、常に安価な料金を求めるユーザーにとってはこちらのほうが使いやすいだろう。
■ 携帯電話・PHSとIP電話が相互接続
もう1つの大きな動きは、携帯電話・PHSとの相互接続だ。これまでも中継事業者を介して携帯電話・PHSへ発信するサービスは存在したが、逆に携帯電話・PHS発IP電話着が利用できないほか、番号通知も非対応だった。11月からはKDDIを皮切りとして携帯電話・PHSとIP電話が直接接続したおかげで、IP電話発携帯電話・PHS着や050番号の通知も利用が可能になった。ここでは携帯電話・PHSとの発着信料金をそれぞれ比較する。
まずは固定電話・IP電話発携帯電話・PHS着の場合だ。図を見れば一目瞭然と思われるが、固定電話発携帯電話着の通話料金が携帯電話事業者ごと異なるのに対して、IP電話発携帯電話着の通話料金は発信側のIP電話事業者ごとに統一されている。これは総務省が開催した「料金設定権の在り方に関する研究会」において、「IP電話事業者が料金を設定することが適当」と定められたためだ。相手先を気にせず、一定の料金で通話できるという点では、ユーザーにとってIP電話事業者による料金設定のほうが利便性は高いだろう。
■ 関連記事
・ 総務省、IP電話発携帯電話着の料金設定権に関する方針を策定
固定電話・IP電話発携帯電話着の通話料金 |
上段:課金単位 下段:3分あたり料金 |
発信側事業者 |
時間帯 |
営業区分 |
着信側事業者 |
NTTドコモ(中央) |
au関東 |
ツーカーセルラー東京 |
ボーダフォン |
固定電話 |
平日 (8時~19時) |
営業区域内 |
26秒/10円 |
20秒/10円 |
15秒/10円 |
15秒/10円
120円 |
70円 |
90円 |
120円 |
営業区域外 |
22秒/10円 |
15秒/10円 |
12秒/10円 |
90円 |
120円 |
150円 |
平日 (19時~23時) |
営業区域内 |
26秒/10円 |
20秒/10円 |
17秒/10円 |
17秒/10円
110円 |
70円 |
90円 |
110円 |
営業区域外 |
22秒/10円 |
17秒/10円 |
17秒/10円 |
90円 |
110円 |
110円 |
土・日・祝日 (8時~23時) |
営業区域内 |
26秒/10円 |
20秒/10円 |
17秒/10円 |
17秒/10円
110円 |
70円 |
90円 |
110円 |
営業区域外 |
22秒/10円 |
17秒/10円 |
17秒/10円 |
90円 |
110円 |
110円 |
深夜・早朝(全日) (23時~8時) |
営業区域内 |
30秒/10円 |
30.5秒/10円 |
18秒/10円 |
18秒/10円
100円 |
60円 |
60円 |
100円 |
営業区域外 |
25秒/10円 |
25秒/10円 |
18秒/10円 |
80円 |
80円 |
100円 |
KDDI |
全日 |
距離関係なし |
30秒10円
60円 |
NTT Com |
全日 |
距離関係なし |
1分19円
57円 |
日本テレコム |
全日 |
距離関係なし |
1分19円
57円 |
Yahoo! BB |
8時~23時 |
距離関係なし |
1分25円
75円 |
23時~8時 |
1分20円
60円 |
※au:地域内とその隣接県、ボーダフォンは営業区域区分なし |
※Yahoo! BBは発信のみ、番号通知非対応 |
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固定電話・IP電話発PHS着の通話料金 |
上段:課金単位 下段:3分あたり料金 |
発信側事業者 |
PHS事業者 |
時間帯 |
同一区域内 |
隣接 |
~20km |
~30km |
~60km |
~100km |
~160km |
160km超 |
1通話ごと 加算料金 |
固定電話 |
NTTドコモ |
平日昼 (8時~19時) |
60秒/10円 |
45秒/10円 |
36秒/10円 |
14秒/10円 |
10円 |
30円 |
40円 |
50円 |
130円 |
平日 (19時~23時) |
60秒/10円 |
45秒/10円 |
36秒/10円 |
20秒/10円 |
14秒/10円 |
30円 |
40円 |
50円 |
90円 |
130円 |
土・日・祝日 (8時~23時) |
60秒/10円 |
45秒/10円 |
36秒/10円 |
20秒/10円 |
14秒/10円 |
30円 |
40円 |
50円 |
90円 |
130円 |
深夜・早朝(全日) (23時~8時) |
90秒/10円 |
60秒/10円 |
45秒/10円 |
23秒/10円 |
16.5秒/10円 |
20円 |
30円 |
40円 |
80円 |
110円 |
DDIポケット |
平日昼 (8時~19時) |
60秒/10円 |
45秒/10円 |
26秒/10円 |
18秒/10円 |
15秒/10円 |
10円 |
30円 |
40円 |
70円 |
100円 |
120円 |
平日 (19時~23時) |
60秒/10円 |
45秒/10円 |
30秒/10円 |
26秒/10円 |
20秒/10円 |
17秒/10円 |
30円 |
40円 |
60円 |
70円 |
90円 |
110円 |
土・日・祝日 (8時~23時) |
60秒/10円 |
45秒/10円 |
30秒/10円 |
26秒/10円 |
20秒/10円 |
17秒/10円 |
30円 |
40円 |
60円 |
70円 |
90円 |
110円 |
深夜・早朝(全日) (23時~8時) |
70秒/10円 |
60秒/10円 |
45秒/10円 |
36秒/10円 |
26秒/10円 |
20秒/10円 |
30円 |
30円 |
40円 |
50円 |
70円 |
90円 |
アステル東京 |
平日昼 (8時~19時) |
60秒/10円 |
45秒/10円 |
26秒/10円 |
18秒/10円 |
17秒/10円 |
15秒/10円 |
10円 |
30円 |
40円 |
70円 |
100円 |
110円 |
120円 |
平日 (19時~23時) |
60秒/10円 |
45秒/10円 |
30秒/10円 |
26秒/10円 |
20秒/10円 |
17秒/10円 |
30円 |
40円 |
60円 |
70円 |
90円 |
110円 |
土・日・祝日 (8時~23時) |
60秒/10円 |
45秒/10円 |
30秒/10円 |
26秒/10円 |
20秒/10円 |
17秒/10円 |
30円 |
40円 |
60円 |
70円 |
90円 |
110円 |
深夜・早朝(全日) (23時~8時) |
90秒/10円 |
60秒/10円 |
45秒/10円 |
36秒/10円 |
26秒/10円 |
20秒/10円 |
20円 |
30円 |
40円 |
50円 |
70円 |
90円 |
KDDI |
区分なし |
全日 |
90秒/20円 |
40円 |
日本テレコム |
区分なし |
全日 |
1分10円+1通話10円 |
40円 |
Yahoo! BB |
区分なし |
全日 |
1分10円+1通話10円 |
40円 |
※Yahoo! BBは発信のみ、番号通知非対応 |
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表中の太字で示した部分は、固定電話発携帯電話・PHS着の最低料金だ。IP電話発携帯電話着の通話料金はKDDIが3分60円、NTT Comと日本テレコムが3分57円。固定電話から携帯電話の料金と比較すると、NTTドコモ、auそれぞれ営業区域内の深夜料金が3分60円と同額なほかは、すべてIP電話発が安価となる。ボーダフォンやツーカーについては全時間帯で3分100円以上に設定されているため、IP電話からかけることで大幅に料金を節約できる。
PHSの場合は携帯電話よりも距離区分が細かい。KDDIの3分40円と比較すると、NTTドコモとアステル東京の深夜が30円(20円+10円)とやや安価なものの、それ以外は同額かそれ以上の料金帯だ。20kmを超えた時点でIP電話がほぼ得をすることになる。なお、日本テレコムは1分あたり10円に1通話ごと10円を加算する課金体系のため、長時間の通話ではKDDIよりさらに安価となる。
逆に携帯電話から固定電話またはIP電話へ発信する場合はどうだろうか。au、ツーカー、ボーダフォンでは固定電話とIP電話の通話料金を同額に設定しているほか、NTTドコモ営業区域内および隣接県ではわずかながらIP電話への料金が高めに設定されている。もっとも、IP電話が高くなるのも10円につき0.5~1秒で、隣接県を除く営業区域外と比較すればIP電話が安価になるため、さほど気にするレベルではないかもしれない。
なお、携帯電話発の料金プランは各事業者ごと異なり、下表ではそのうち1種類を抜粋して比較している。そのため携帯電話事業者ごとの料金面では、料金プラン自体が異なるため一概には比較できない。下表はあくまで固定電話とIP電話の料金比較として理解していただきたい。
携帯電話→固定電話・IP電話への通話料金比較 |
発信側事業者
(プラン名) |
月額料金 |
時間帯 |
着信側事業者 |
IP電話 |
固定電話 (営業区域内 営業区域隣接県) |
固定電話 (その他) |
課金単位(かっこ内は3分あたり料金) |
NTTドコモ
(プランA) |
4,500円 (無料通話600円) |
平日 (8時~19時) |
25.5秒/10円 |
(80円) |
26秒/10円 |
(70円) |
22秒/10円 |
(90円) |
平日 (19時~23時) |
30秒/10円 |
(60円) |
30.5秒/10円 |
(60円) |
24秒/10円 |
(80円) |
土・日・祝日 (8時~23時) |
34秒/10円 |
(60円) |
34.5秒/10円 |
(60円) |
27秒/10円 |
(70円) |
深夜・早朝(全日) (23時~8時) |
46.5秒/10円 |
(40円) |
47.5秒/10円 |
(40円) |
38秒/10円 |
(50円) |
NTTドコモ (FOMAプラン49) |
4,900円 (無料通信2,050円) |
標準タイム (平日8時~1時) |
30秒/14円 |
(84円) |
30秒/14円 |
(84円) |
30秒/15.5円 |
(93円) |
お得タイム 平日1時~8時、 土・日・祝日) |
30秒/10円 |
(60円) |
30秒/10円 |
(60円) |
30秒/11円 |
(66円) |
au関東 (コミコミOneスタンダード) |
7,500円 (無料通話4,500円) |
終日 |
20秒/10円(90円) |
ツーカーセルラー東京 (シンプル35コース) |
3,500円 (無料通話3,500円) |
終日 (ツーカー同士除く) |
30秒/20円(120円) |
ボーダフォン (バリューパックシルバー) |
5,900円 (無料通話3,000円) |
7時~1時 |
1分/30円(90円) |
1時~7時 |
1分/20円(60円) |
また、PHSからIP電話への発信サービスは現在のところ利用できず、12月以降対応する見込みだ。対応を予定しているのはNTTドコモとDDIポケットで、アステルは現在のところ未定となっている。
なお、携帯電話・PHSとの相互接続については、どのIP電話事業者も課題として捉えているようだ。Yahoo! BBでは2004年初頭を目標として携帯電話との接続を予定するほか、パワードコムでも2003年度内を目標とし、早ければ2003年中に携帯電話との接続を実施する方針だという。また、ぷららでは時期は未定ながらも、携帯電話・PHSの両方と相互接続を予定しているという。
■ 050対応の新たなサービス展開
050対応の試験サービスからわずか1年足らずで、固定電話発IP電話着の通話サービス、携帯電話・PHSとの相互接続など、大幅にサービス内容を拡充したIP電話サービス。今後も事業者間の相互接続や110、119への対応など課題は残されているものの、技術的には可能な問題であり、どの事業者も検討は進めているという。
また、050番号を利用したまったく新しい電話サービスも登場し始めた。アイピートークは携帯型のIP電話端末を利用した「モバイル IPTalk」を2004年から開始する予定だ。また、050番号を2系統利用できるIP電話ルータも登場。固定電話と異なり、同じ050番号を同時に利用することができるようになった。
シャープではCEATEC JAPAN 2003にて、子機それぞれに異なる050番号を割り当てられるIP電話機を参考出展。また、沖電気は通常の電話機よりはるかに音質の優れたIP電話機を発表した。既存の電話回線にとらわれないIP電話の登場によって、今までは考えられなかった電話サービスが登場する土台が出来上がりつつある。たった1年で大きく進化したIP電話の更なるサービス展開に期待したい。
■ 関連記事
・ 進化を遂げるIP電話サービスを徹底解剖(前編)
・ アイピートーク、SDIO対応の無線IP電話サービス「モバイル IPTalk」
・ シャープ、子機に個別に050番号を割り振れる家庭向けIP電話
・ 沖電気、FMラジオと同等の音声品質を実現したIP電話機「e音 IPフォン」
(甲斐祐樹)
2003/11/27 11:59
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