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情報や画像から台風情報を確認できる「デジタル台風」


「デジタル台風」トップページ
 いや~7月に入って暑くなってきましたね。梅雨があけるといよいよ夏がやってくるわけですが、そうなると心配なのが台風です。本格的な台風シーズンはまだ先だとはいうものの、油断はできませんよ。台風がいつ来ても大丈夫なように、事前に心構えをしておくことが大切なのではないでしょうか。

 たとえ被害が出なくても、台風というのは社会に色んな影響を与えます。アタシのような仕事でさえ、屋外を歩き回る取材のときに台風が来たら、予定が滅茶苦茶になっちゃいますからね。だからこそ、できるだけ前に台風の情報をキャッチしておくことが重要だと思います。台風に影響されやすい仕事は他にもたくさんあるし、趣味やスポーツ、レジャーの予定を立てるときにも、台風情報を必要としている人は多いでしょう。

 そんな方にオススメしたいのが、台風の情報をいち早くキャッチできる「デジタル台風」です。このサイトには最新の台風情報や台風の画像、台風についての過去のデータベースなど、台風についてのありとあらゆる情報がぎっしり詰まってます。テレビやラジオの天気予報から一歩踏み込んだ情報を得たい人には最適ですよ!





過去と現在の台風情報がぎっしり

 このサイトは、国立情報学研究所の北本朝展氏が運営しているプロジェクトで、台風に関する画像や情報のデータベースを構築し、台風解析や予測に活用しようというのが主な目的です。学術的な色彩が濃いので、最初は取っつきにくい印象を受けるかもしれませんが、サイトのデザインなどはシンプルでわかりやすいので、すぐに慣れるでしょう。トップページにアクセスすると、ページの中ほどに大きく表示される気象衛星画像が目に入ります。画像は赤外写真と可視写真の2種類が用意されていて、それぞれさまざまなサイズが揃っています。壁紙に最適な1,024×768ピクセルのサイズが用意されているのも便利ですね。

 また、静止画の他に動画も掲載されていて、雲や台風の動きを最新24時間と120時間の2種類の動画でチェックできます。そもそも台風というのは北太平洋西部や南シナ海で発生するものですが、この画像はちょうど台風が頻繁に発生する付近を中心に地球を見た図になっているので、台風の位置は一目瞭然です。また、もしこのサイトにアクセスした時点で台風が発生している場合、トップページの上部の「リアルタイム台風情報」という欄にも詳細な情報が表示されます。

 「リアルタイム台風情報」の横に「台風発生数」という項目がありますが、これは今までいくつの台風が発生したかをカウントしたものです。平年の数値も出ているので、これを参考に今年の台風の発生頻度が多いか少ないかがわかるようになっています。ちなみに今年の6月14日時点での台風発生数は「4個」。「台風なんて今年は1回も来てないじゃん」と思う人もいるかもしれませんが、実は南の海で発生して、日本に来ないまま消えてしまう台風も少なからずあるんですね。

 「台風経路図」というリンクをクリックすると、今年発生した台風の通ったルートがすべて見られます。これによると、今年の「台風1号」はすでに1月に発生していたそうです。日本は冬のまっただ中なのに、実は台風が発生していたなんてけっこうビックリですよね。気象情報が好きなアタシとしては、こういう情報は見ているだけで飽きませんな。


静止気象衛星画像 台風経路図




メディアは台風をどのように伝えたか

 また、その下には「最新台風ニュース」と銘打って、台風についての情報をまとめたブログや関連リンク、ニュース記事などがまとめられています。とくに、「台風ニュース・トピックス」のコーナーには、過去に新聞や通信社がどのように台風のことを報道したかがまとめられているので、かなり便利ですよ。しかも単に記事のリンクを並べているだけではなく、台風ごとに重要なキーワードを12個選び、そのキーワードごとに記事を分けています。

 たとえば今年の台風4号の場合、「八丈島」「梅雨入り」「大東」「関東」「しけ」などがキーワードとしてピックアップされています。その上で、たとえば「八丈島」に関連したニュースとして、「台風4号、八丈島の南を東北東へ」という記事などがリストされているわけです。これを見ると、その台風がどのような特徴を持った台風なのかがよく理解できます。

 さらに、ニュースコーナーの下には特設ページとしてスマトラ沖地震が発生したインド洋北部の気象衛星画像を掲載し、サイクロンについてのブログも設けています。津波の被害を受けた地域が、豪雨やサイクロンに襲われる可能性を懸念して作ったとのことですが、頭が下がる思いですね。


台風ニュース・トピックス




オドロキの画像検索機能

 過去の台風について、さらに詳しい情報を得たい場合は「台風データベース」というコーナーを活用しましょう。ここでは台風の発生日時や名前、番号、地域などさまざまな要素で検索できます。最低中心気圧や最大風速など、台風の規模を図る数値で検索できるのもイイですね。試しに「1.メタデータによる検索」の中から、「日時・シーズンで検索」をクリックしてみましょう。年月日を指定して「クエリ送信」ボタンを押すと、その日時の台風画像が表示されます。ここで「GOE」とか「GMS」などの記号が付いている番号をクリックすると、この画像についての情報が「単一画像ビュー」として表示され、「200310」などの台風番号をクリックするとその台風の経路図や中心気圧の変化グラフが「単一系列ビュー」として表示されます。また、緯度経度をクリックするとその付近に発生した過去の台風リストが表示されます。さすが学術系のサイトだけあって、検索機能はとても充実していますね。

 とくに、類似した画像を探せる画像検索機能はスゴイですよ。これは雲のパターンを元に似た画像を探す仕組みで、台風画像をクリックするだけで類似した画像のリストを見られるようになっています。天気予報で発表される台風の中心気圧も、雲のパターンから推定するドボラック法という手法から導き出されていますが、この手法は台風の規模を推し量るにはとても有効な手だそうです。「リアルタイム台風情報」に表示される台風の画像からも、似たパターンを持つ過去の台風画像を検索できるので、これを活用すれば発生したばかりの台風を見て「今度のは大きそうだぞ」などといち早く規模を推測できるけですね。

 これらの検索機能に加えて動画も豊富に収録されています。雲の動きやアメダスの推移などを収録したアーカイブも掲載されているので便利ですよ。アーカイブのコーナーには、台風以外にも集中豪雨や大雪、流氷などのデータが収録されているので、気象に関する総合的な情報データベースとしても活用できるでしょう。

 というわけでこの「デジタル台風」、豊富なデータと検索機能を備えたすばらしいデータベースだということがおわかりいただけたかと思います。ぜひ天気予報サイトなどと組み合わせて、台風の防災などに役立ててくださいね。では、また!


台風データベース・検索画面 単一画像ビュー

単一系列ビュー 類似画像ビュー

関連情報

URL
  デジタル台風
  http://www.digital-typhoon.org/

2005/07/11 10:57

下柳泰三
自称“書き屋”。ジャンルを選ばず心が揺さぶられればパソコン記事でも映画評でも何でも書く、サスライの原稿執筆人。現在某街歩き雑誌(ヒミツ)をメインに活動中。ホコリをかぶったケーブルモデムを横目に今日も書きまくる!
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