Broadband Watch logo

地図から全国津々浦々の地価情報が見られる「土地総合情報システム」


「土地総合情報システム」トップページ
 最近、近所にバカでかい建造物が建つことが決定しました。何を隠そう、あの「第2東京タワー」です。まあ近所といっても隣の区で、隅田川を越えた先の押上の辺りなんですが、この計画には墨田区だけでなく台東区も絡んでるので、台東区民にとっては気になるところです。アタシも押上にはよく散歩しに行くので、この辺の景観が変わるってのは一大事ですね。もしかしたらタワー周辺の土地の値段はグッと上がるかもしれませんな。

 こういうときに、ネットで地価をすぐに調べることができたら面白いでしょうね。以前もこの連載で「全国地価マップ」というサイトをご紹介したことがありますが、このデータの大本を提供している国土交通省が、最近になって「土地総合情報システム」というサイトを公開しました。このサイトでは、地図上で公示地価が一覧できたり、さまざまなデータ分析ができたり、航空写真が見られたりと、「全国地価マップ」とはひと味違う情報が収録されています。

 今回のように地域の町並みが一変するような事態が起きたときにも、土地の価格がどのように変化するかをすぐに調べられるわけで、こりゃ面白いですよ~。「地価」というのは、その土地の利用価値や人気度を如実に反映したものなので、このような切り口で街を見ることで、いろいろなことが見えてきます。もちろんビジネスの資料としても有効なのは間違いなし!

 というわけで今回は、この新しいサービスについて詳しくご紹介しましょう。





地図サイトのようなメイン画面

 まずはトップページを見てください。地図サイトのように日本全国の地図がドーンと出てきますね。場所の検索方法は、都道府県・市町村・町丁目名を指定する住所検索と、駅名での検索、そして鉄道の路線名で検索する方法があります。都内など密集した地域に住んでいる人は、駅名での検索が最も手っ取り早いでしょうね。また、ある路線が1駅ごとにどのような価格になっているかを調べる際には、路線別の検索が便利です。

 たとえば上野駅周辺を調べたいときは、「上野」と入力すれば駅名のリストが出るので、その中から適当な駅名をさらにクリックするとメイン画面に移ります。縮尺は5万分の1から2,500分の1までの地図に加えて、市区町村別、都道府県別の大きなものが用意されています。左フレームには、エリアを示す小さな地図が小窓で表示されるので、わかりやすいですね。地図画面上をクリックすると、デフォルトでは土地情報の検索画面がポップアップする設定になります。普通の地図サイトのようにクリックした場所が画面の中央に移動するようにするには、「クリック位置に移動」というボタンを押してから画面を操作するようにしましょう。





表示内容も充実

メイン画面
 地図の表示内容はなかなか充実していて、2,500分の1のスケールでは、市区町村界や国道、鉄道、駅、公園などに加えて、公共の建物を色分けしてあったりと、視認性が良いように配慮されています。また、建物の形が枠線で表示されるのも便利ですね。密集した都市部の場合、建物の形があるのとないのとでは、見やすさに大きく差が出るものです。これらの表示情報は、左メニューの「凡例」をクリックするとリストが見られるようになっていて、各要素のチェックボックスを外すことで表示しないようにも設定できます。

 それでは実際に地価の情報を見てみましょう。このサイトで調べられる価格情報は、「地価公示」「都道府県地価調査」の2種類です。地図上には「●」と「▲」のアイコンで表示されており、標準地番号と地価が掲載されています。このように、地図上で地価を直接確認できるのがこのサービスの最大の特徴なんですね。いちいちアイコンをクリックしなくても、それぞれの地価を一覧できるので、ヒジョーに便利です。

 さらに、各アイコンをクリックすれば詳細情報も見られます。ここでは住所や調査年、地積、形状、前面道路などに加えて、最寄りの駅までの距離や法規制、建ぺい率なども調べられます。また、利用現況と周辺地利用現況も載っているので、このエリアがどんな特色を持っていて、アイコンで示された土地はどんな使われ方をしているのかが詳しくわかります。


凡例 地価公示価格




実際の取引価格

 これらの地価情報に加えて、このサイトでは実際の土地の取引価格も掲載されています。公示地価というのは取引価格の指標となるものですが、不動産というのは、必ずしも公示地価の通りに取引されているわけではないので、やはり実際の取引価格もわかると便利ですよね。この取引価格については、住所と取引価格、面積、土地の形状、用途地域などが、都道府県別に一覧表でまとめられています。データは住宅地や商業地、工業地など土地の種類ごとに細かく選択できるので、必要な情報を選択しましょう。

 また、メニュー画面で「加工情報」をクリックすると、土地取引価格のヒストグラムが表示されます。これを見れば、各都道府県の取引価格の目安がわかります。これは四半期ごとに更新されて、過去のデータも見られるようになっているので、今後データがどんどん蓄積されていけば、各エリアの地価の推移状況もわかりますね。このサービスはまだ始まったばかりですが、さまざまな可能性を秘めています。


取引情報 加工情報




空中写真で実際の町の様子をチェック

空中写真画像
 さらに、このサイトでは地図だけでなく、その土地の空中写真(航空写真)も見ることができます。ただし地図上のどこでも見られるというわけではなく、地図上の「★」のアイコンが表示されているエリアのみです。左メニューの「地価情報」タブで、「空中写真」のチェックボックスをクリックして設定反映ボタンを押すと、アイコンが表示されます。

 写真の種類は、平成元年のものと、昭和49・54・59年のものと4種類あり、それぞれアイコンが出現する場所が違います。アイコンをクリックすると、ウインドウがポップアップして写真が表示されます。解像度は50dpiと100dpiと400dpiの3種類ですが、400dpiを選ぶとかなりド迫力ですよ。これを見れば、その土地の価格だけでなく、実際にどのような町並みになっているのかが一目でわかります。欲をいえば写真に地価情報を重ね合わせて表示すると、もっとわかりやすいと思うのですが、これは今後に期待しましょう。昭和49年の写真と平成元年の写真とを見比べたりすると、時代の移り変わりを見られて楽しいですよ。

 というわけで、全国津々浦々の地価情報が家にいながらにして見られるこのサイト、不動産関係の人以外も、ぜひ使ってみてください。現在、このサイトでは使い勝手に関するアンケートも募集しているので、要望がある人はいろいろと意見を書いてみてはいかがでしょうか。せっかくの公共サービスですから、使わなきゃ損ですよ。では、また!


関連情報

URL
  土地総合情報システム
  http://www.land.mlit.go.jp/webland/

関連記事
一味違った地域情報が得られるユニーク地図サイト

2006/05/22 11:04

下柳泰三
自称“書き屋”。ジャンルを選ばず心が揺さぶられればパソコン記事でも映画評でも何でも書く、サスライの原稿執筆人。現在某街歩き雑誌(ヒミツ)をメインに活動中。ホコリをかぶったケーブルモデムを横目に今日も書きまくる!
Broadband Watch ホームページ
Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.