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情報通信に関するビジネス資料に最適な「情報通信統計データベース」


「情報通信統計データベース」トップページ
 先日、総務省が平成18年の「情報通信に関する現状報告(情報通信白書)」を発表しました。Broadband Watchの読者の方は、このようなレポートに興味のある人も多いのではないでしょうか。今年の特集は、「ユビキタスエコノミー」ということで、ユビキタスネットワークの進展が社会や経済に及ぼす影響について解説しています。携帯電話やICタグなど、身の回りのものがネットワークにつながることによってどのような変革が起きるのか、さまざまな角度から分析されていて読み応えがありますよ。

 このような政府の白書というのは、昔は書籍を店で購入するのが当たり前でしたが、今では多くの政府刊行物がインターネット上で読めるようになっています。情報通信白書もインターネット上に全文が掲載されているので、気軽に読めますよ。また、これに加えて政府は、情報通信に関するさまざまな統計データを「情報通信統計データベース」というサイトで公開しています。インターネット関連だけでなく、電波・無線や放送など、情報通信に関する多彩な情報がたっぷり詰まっているので、これを利用しない手はありませんね。

 というわけで今回は、このデータベースについて詳しくご紹介しましょう。資料を見ながらビジネス戦略を練るのもよし、プレゼンテーション資料のネタとして使ってもよし、といろいろな使い方ができますよ!





さまざまな情報を多彩なデータ形式で

 さっそくトップページにアクセスしてみましょう。このサイトでは、情報通信に関するさまざまなデータを、「分野別データ」「基本データ」「統計調査データ」と3つの切り口からデータを分類していますが、デフォルトでは「分野別データ」のメニューが表示されます。「分野別データ」のメニューは、「通信」「電波・無線」「放送」「情報通信産業・企業の情報化」「個人・世帯の情報化」「その他」の5カテゴリーです。まずは「通信」の中から「インターネット」をクリックしてみましょう。「インターネット利用人口の推移」「インターネット普及率の推移」「ブロードバンド契約者数等の推移」など、インターネットの利用に関するデータが出てきます。中には「自宅におけるパソコンからのインターネット接続方法の推移」といった細かいデータもありますよ。

 試しにどれかをクリックしてみましょう。データはエクセル形式のものと、HTML形式のもの、PDF形式のものと3種類あります。エクセル形式だと、グラフに変換したりと、加工するのに便利ですね。また、他のアプリケーションにも変換しやすいので、プレゼンテーションの資料として使うには最適です。欲をいえば、すべてのデータについて、HTML形式とPDF形式とエクセル形式の3種類作ってもらいたいところですが、それはこれからの課題ですね。なんといっても、これだけ多くの統計データを惜しげもなく公開している点は、とてもありがたいことです。せっかくこのようなデータがあるのだから、われわれ国民としてはガンガン利用しないと損ですよ。


「分野別データ」の「インターネット」を選択 エクセル形式のデータ

HTML形式のデータ PDF形式のデータ




携帯電話や放送関連の情報も充実

 このサイトに掲載している情報は、インターネット関連だけではありません。携帯電話や放送関連の情報もたっぷり詰まっています。たとえば「通信」ジャンルの中の「契約数」をクリックすると、「カメラ付き携帯電話の契約数の推移」「第3世代携帯電話の契約者数の推移」「ISDN契約数」など、いろいろな情報が表示されます。また、「国際比較」というコーナーを見ると、「主要国・地域における携帯電話のインターネット対応比率」なんてデータもありますよ。国によって情報通信産業の状況はかなり違うので、このような国別のデータはとても興味深いですね。

 「電波・無線」ジャンルにも、面白いデータがいろいろ掲載されています。一例を挙げると、「電波監視」のコーナーには、「不法無線局の確認及び措置等の状況推移」というデータがあります。これは不法な市民ラジオやマチュア局の摘発件数をまとめたもので、10数年前からの推移がわかる貴重なデータとなっています。さらに、「重要無線通信妨害の発生件数の推移」では、放送や警察、消防、航空など用途別の通信妨害の状況についてまとめられているのですが、通信の妨害というのは少なからず起きているんだな、と実感させられます。ふだんは気にしないこれらのデータも、改めて見ると非常に興味深いですね。

 また、インターネットや携帯電話と並んで私たちの生活に関係の深いのが「放送」です。とくに、NHK関連のデータについては、公共放送ということで誰もが気になるのではないでしょうか。これについては、「契約数」や「収支・売上」といった項目に、NHK関連の情報が載っているので、チェックしてみてください。

 このほか、「その他」のコーナーでは「セキュリティ」や「地域の情報化」「教育」「苦情・相談等」といった身近な情報も掲載されています。とくに「苦情・相談等」のコーナーでは、国に寄せられるさまざまな苦情がまとめられていて、読むと情報通信に関する問題点がよくわかりますよ。こういう資料の中に、意外とビジネスのヒントが隠されているかもしれませんぞ。





分析コメントも掲載

 次に、「基本データ」を見てみましょう。こちらには情報通信に関する基本的なデータが掲載されています。インターネットや情報通信サービスへの加入者数の推移データを中心としたもので、「分野別」データと一部重なる情報もあるようです。分野別データと基本データで、状況に応じて使い分けると良いでしょうね。

 もう1つの「統計調査データ」にも、各種統計データが掲載されています。こちらには報告書に加えて「報道発表資料」も用意されています。この報道発表資料は、単にデータを並べただけでなく、ちょっとしたコメントも添えられているので読んでいて面白いです。

 たとえば平成16年度の「通信産業基本調査」の結果を見ると、「データ伝送の売上高構成比が前年度に比べて増加している背景には、ブロードバンド契約数の増加など、通信インフラの整備・進展に伴い、動画や音楽のダウンロード等よりデータ量の多い情報の流通が可能となったことが考えられる」といった分析が添えられていて、「なるほど!」と感心させられます。

 「通信利用動向調査」についても、「世帯編」「企業編」「事業所編」の3種類が掲載されていて、それぞれについて情報通信機器の保有率や、インターネットの利用状況、安全対策などについてまとめてあります。各報告書には、調査票の写しに加えて用語説明まで添えられているので、これなら情報通信にあまり詳しくない人でも読めますね。このあたりの配慮はとても親切で、お役所もやるときはやるなあ、と感心しました。

 「関係情報」のコーナーも見逃せません。こちらには各省庁の統計関係情報へのリンクが掲載されているとともに、「情報通信白書」関係のメニューへのリンクもあります。この情報通信データベースと白書を併せて読めば、情報通信に関する資料としては鬼に金棒ですね。2つを上手く使いこなして、ぜひビジネスに役立ててみてください。では、また!


基本データ 統計調査データ

関連情報

URL
  情報通信統計データベース
  http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/

2006/08/10 11:04

下柳泰三
自称“書き屋”。ジャンルを選ばず心が揺さぶられればパソコン記事でも映画評でも何でも書く、サスライの原稿執筆人。現在某街歩き雑誌(ヒミツ)をメインに活動中。ホコリをかぶったケーブルモデムを横目に今日も書きまくる!
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