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台東区の文化にブロードバンド・コンテンツで触れる「文化探訪」


「台東区文化ガイドブック 文化探訪」トップページ
 今年は暖冬だったせいで各家庭ともに光熱費が減って、代わりにレジャーに使う分が増えたそうですね。遊園地なども大盛況だったようです。自分自身を振り返ってみても、近所を散歩する機会がいつもの冬より多かった気がしますね。

 散歩といえば、アタシの住んでいる東京・台東区が発行している広報誌を読んでいたら、面白い記事を発見しました。なんと区が早稲田大学メディアデザイン研究所と協力して、区内の文化資源を紹介するWebサイト「台東区文化ガイドブック 文化探訪」を作ったとのことです。さっそくアクセスしてみると、これがまたビックリしました。区が作った街ガイドというと、いかにもお役所仕事という感じの野暮ったいサイトが多いのですが、「文化探訪」はかなりデザインが洗練されていてオシャレです。どこにどんなコンテンツがあるのかもわかりやすく作られているので、これなら初めて訪れた人も迷うことなく操作できるでしょう。

 しかも動画や音声などのブロードバンド・コンテンツも豊富で、見応えはたっぷりです。台東区が持つ「文化」の魅力を余すところなく伝えている秀逸なサイトで、かなり感動しました。というわけで今回は、このサイトの内容を詳しくご紹介しましょう。東京・下町を散策するのが好きな人は、ブックマークに入れておいて損はないですよ。





メニューには7コーナーを用意

メニュー画面
 さっそくトップページにアクセスしてみましょう。赤い帯の入ったシンプルなデザインに、「文化探訪」という大きなタイトルが目を惹きます。「enter」を押すと、今度は大きな写真が表示されます。「まちに遊ぶ、台東区。」「アートが誘う、台東区。」「伝統に生きる、台東区。」とキャッチコピーが次々に表示されるので、さらに「enter」を押しましょう。ここで初めてメニュー画面が表示されます。いきなりメニュー画面を出さずに何回かクリックをさせるこのやり方は、初めて訪れる人の気分を盛り上げてくれます。何度もアクセスすると少し面倒と思うかもしれませんが、この手のサイトではアリなんでしょうね。

 最初に「台東区は、文化の宝箱」というタイトルの前振りが書かれています。このようなリードの文章は簡潔にまとめるのがセオリーですが、こちらはけっこう長文となっています。ビジュアルだけでなく、文章も大事にする同サイトの姿勢が伝わってくるようですね。メニューは、「お知らせ」「歴史を歩く」「文化に学ぶ」「風物に遊ぶ」「技を知る」「まちを語り継ぐ」「マップナビ」と7コーナーに分かれていて、台東区が誇るさまざまな文化資源をわかりやすくまとめています。文字サイズはWebブラウザのサイズ調整機能が効きませんが、タイトルに使われる文字などは大きめの字が使われているので見やすいと思います。





Podcastingにも対応した散策ガイド

 まずは「歴史を歩く」をクリックしてみましょう。ここでは第1弾のコンテンツとして「谷中を歩く」が掲載されています。「まちは、芸術の中にありました。」というキャッチコピーを見るとわかるように、谷中界隈は芸術の街として知られています。東京藝術大学や東京都美術館の近くのこのエリアは、商店街や住宅地の中にギャラリーが点在しており、同時に多くの寺がひしめく寺町でもあります。入り組んだ路地の中の素朴な魅力を、このサイトでは数多くの写真を使って伝えています。また、ここでは谷中の町並みを写した動画も見ることができます。路地を歩く人の目線で撮影された動画で、臨場感たっぷりですよ。これらのコンテンツはPodcastにも対応しており、iTunesに登録するためのアイコンが用意されています。

 さらに、このコーナーには「台東区景観・文化資産情報」というリンクも用意されていて、クリックすると区内の文化資産のリストを見られます。区内8カ所のエリアにわけて、それぞれ石碑や墓、建築、重要文化財、国指定史跡などの名所・旧跡をリストしているので、散策する際の資料として活用できます。また、貴重な建築物の写真を集めた「Gallery」も用意されています。


「歴史を歩く」 「台東区景観・文化資産情報」




見応えたっぷりの各コーナー

 次は「文化に学ぶ」を見てください。ここでは彫塑家・朝倉文夫氏のアトリエ兼自宅として使われていた「朝倉彫塑館」が紹介されています。国指定登録有形文化財にも指定されている建物で、とても味わい深いですよ。趣のある館内の写真に加えて、展示されている作品や庭園の写真も掲載されています。また、同館の学芸員へのインタビュー記事も掲載されていて、これを読めば同館の見どころがよくわかります。単に施設を紹介するだけでなく、このような記事が読めるのはウレシイですね。芸術に疎い人も、これを読めば興味が湧いてくるのではないでしょうか。

 今度は、「風物に遊ぶ」のコーナーを見てみましょう。こちらでは鳥越神社の「鳥越まつり」を紹介しています。台東区の祭りというと浅草の三社祭が有名ですが、「鳥越まつり」も「千貫御輿」と呼ばれる大きな御輿で有名です。ここでは写真と文章、動画を使ってその魅力を伝えています。

 さらに、「技を知る」のコーナーも見逃せません。ここでは区内で制作されている工芸品を紹介しています。ベッ甲や竹細工、弓矢、履物、彫金、襖引手、江戸刷毛など、台東区にはさまざまな工芸品がありますが、それらの工房を1つ1つ訪ねて、その製作工程を紹介しています。ここでは職人の一言コメントも聴けますよ。

 「まちを語り継ぐ」のコーナーでは、上野駅や博物館などの大きな建物から古い民家まで、歴史ある建築を幅広く紹介しています。動画のコーナーでは、浅草寺の初詣の映像が見られます。どのコーナーも充実した内容で、見応えたっぷりですよ。


「文化に学ぶ」 「技を知る」




各コンテンツを地図上に配置

「マップナビ」
 最後の「マップナビ」では、上記の各コーナーで紹介されているコンテンツを、Google Maps APIを使った地図上で見られるようにしています。地図上のアイコンをクリックすると、コンテンツのタイトルと写真が表示されて、さらに写真をクリックするとコンテンツの詳細ページが表示されます。建築物を散策する際には、あらかじめこのコーナーで各施設がどこにあるのかを確かめておくといいでしょう。欲をいえば、モニタ上で位置を確認できるだけでなく、歩きながら閲覧できるような全体地図のPDFファイルが用意されているともっとウレシイのですが、それはこれからの進化に期待しましょう。

 美しい写真と読み応えのある文章、そして動画や音声などのブロードバンド・コンテンツを駆使して台東区の魅力を紹介しているこのサイト、まだ公開して間もないですが、今後どのように進化していくのかとても楽しみですね。では、また!


関連情報

URL
  台東区文化ガイドブック 文化探訪
  http://www.taito-culture.jp/

2007/03/15 11:09

下柳泰三
自称“書き屋”。ジャンルを選ばず心が揺さぶられればパソコン記事でも映画評でも何でも書く、サスライの原稿執筆人。現在某街歩き雑誌(ヒミツ)をメインに活動中。ホコリをかぶったケーブルモデムを横目に今日も書きまくる!
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