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面白いアイディアを探せる「アイデアデータベース」


「アイデアデータベース」トップページ
 今年の3月に、カメラや映像機器の展示会「PIE(フォトイメージングエキスポ)2007」に行ってきたのですが、ヒジョーに興味深かったですね。もっとも面白かったのはアイディア商品の紹介ブースです。カメラのレンズにクリップで留める反射板だとか、面白い効果が得られるレンズだとか、大手メーカーでは扱わないようなさまざまなユニークグッズが並んでいました。カメラ関連のグッズに限らず、こういうアイディア一本勝負の商品は、発明者や開発者の顔が見えるようで、実際に買わなくてもかなり楽しめますよね。

 そんなユニーク商品のネタがぎっしり詰まった「特許流通データベース」をご存じでしょうか? これは特許庁が独立行政法人工業所有権情報・研修館という組織に委託して運営しているデータベースで、開放特許の情報を掲載しています。開放特許とは、権利者が他人に使ってもらってもいいと判断して公開している特許のことで、これを利用することで企業はさまざまな特許を自社製品に応用できます。もちろん、使うにあたってはそれなりの対価を支払って、ライセンス契約などを結ばなくてはなりませんけどね。

 この「特許流通データベース」は、インターネット上のいろいろなサイトで提供されていますが、今日はその中でもオススメのサイト「アイデアデータベース」をご紹介しましょう。これを見れば、登録されている特許がどんな用途に役立つのかが一目でわかりますよ。ビジネスの新しいアイディアを探している人はどうぞお見逃しなく!





豊富な選択項目

 それではトップページにアクセスしてみましょう。このサイトには「アイデアの塊」というサブタイトルが付いてますが、まさに同サイトを一言で表わしたインパクトあるネーミングですね。特許関連のサイトというと、文章ばかりの味気ないサイトを想像するかもしれませんが、ここの場合はアイコンが並んでいて、けっこうビジュアル志向です。ページデザイン自体もシンプルで見やすく、初めて訪れた人も迷うことなく操作できるでしょう。

 まずは、「何に使いたいですか?」という項目です。アイコンの中から、特許の使用目的やジャンルを選びます。用意されているアイコンは「電気・電子」「情報・通信」「機械・加工」「輸送」「繊維・紙」「科学・薬品」など12項目と、「その他」です。これらの項目は複数選択で、いくつ選んでもOK。全項目を選ぶときは、「全て選択」をクリックします。クリックしたアイコンに「選択」の文字が表示されたのを確認したら、「次へ」をクリックしてください。

 次に「目のつけどころは何ですか?」という項目を選択します。これは、どのような切り口のアイディアかを選択する項目で、「時間」「大きさ」「重さ」「場所」「光」「音」など8種類と、「その他」が用意されています。これを選んだら、次は「何で解決したいですか?」という項目を選択しましょう。ここでは「電気」「機械」「化学」の3項目と「その他」があります。いずれの選択項目も、かなり豊富ですね。


項目は複数選択が可能 豊富な選択項目




特許内容を手軽に閲覧

「生活・文化」「音」「機械」での検索結果
 このほか、キーワードでの検索も可能です。キーワードの入力は必須ではありませんが、実はこのデータベースはかなり情報量が多く、アイコンを選んだだけでは検索結果が1,000件を越えてしまうことが多いのです。リストは検索結果が1,000件以内の場合でしか見られないので、探しているテーマが明確だったらキーワードを入力した方が効率よく絞り込めます。

 試しに、「何に使いたいですか?」の項目で「生活・文化」を、「目のつけどころは何ですか?」の項目で「音」を、「何で解決したいですか?」の項目で「機械」を選択してみましょう。この場合、検索結果は216件となります。リストには「見出し」と「出来ること」「詳しくは」「ライセンス情報」と4項目が載っています。この内、「出来ること」と「詳しくは」の項目の上にマウスのポインタを重ねると、ページ下部にその情報の内容が表示されます。これは各項目のタイトルをクリックした場合に表示される詳細ページに書いてあることを、マウスのポインタを重ねるだけですぐに見られるようにしたものです。





特許の具体的な使用方法がわかる

 たとえば「冷蔵庫の騒音キャンセラー」の詳細ページを見ると、「原音をモニターしながら逆位相の人工音を発音させ、干渉により減衰させる」という見出しとともに、 「出来ること」として「空中に放散される騒音の特徴をとらえ、その音源から出る音の周波数での振動の振幅が逆の位相になるような人工音をスピーカーから発生させ、原音との干渉をさせることによって放散される騒音を減衰させようとするもの」と書いてあります。その下にはその特許を応用できる可能性のある業界と、具体的な使用法が表にまとめてあります。「情報・通信」分野では「パソコンの騒音減衰」、「生活・文化」の分野では「ガス給湯器の騒音減衰」「ガス温風暖房機の騒音減衰」と書かれていて、それぞれの項目について詳しい使用法が載っています。

 また、「脱水洗濯機」の詳細ページには、「洗濯や脱水工程時の騒音を低減させ、洗濯水の溢水や輸送梱包勝手は変わらず安価で量産性もある」という見出しで、「下部開口部を側板の折り曲げ等で小さくする事で騒音レベルを下げ、共鳴周波数も100~300Hzから100Hz以下に下げられた」と書かれています。使用法を見ると、洗濯機だけでなく自動車の分野で「セダンより室内空間体積の大きい車は、後席の後部を紙や布等で囲って空間を分割する必要が有り、本発明の計算式は参考になる」と説明されています。

 このような解説文を見れば、その特許がどんな分野で商品化できる可能性があるのかを一目で把握できるだけでなく、特定の分野向けに考えられた特許が、ほかの分野にも応用可能なこともわかるわけですね。


「冷蔵庫の騒音キャンセラー」詳細ページ 「脱水洗濯機」詳細ページ




ライセンス情報も参照可能

ライセンス情報表示
 さて、自分に興味のある特許が見つかったら、「特許流通DBへ」というアイコンをクリックしましょう。ここでは特許番号や出願番号、出願日、出願人、特許権者などのライセンス情報が表にまとめられています。また、「技術概要」として、特許内容を示した図面なども参照できるので、もし文章を読んでも今ひとつピンと来ない方は、ここで改めて解説文を読んでみましょう。

 さらに、その特許の技術実績や許諾実績、供与情報に加えて、登録者情報として住所や電話番号、メールアドレスなども掲載されています。下部の「商談希望」というボタンを押せば、登録者にメールを送ることも可能だし、仲介を依頼することもできます。特許の確認から登録者への連絡までを行なえるこのサイトは、まさに新商品や新ビジネスを生み出すアイデアの泉のようなサイトです。ビジネスのネタ元として、ブックマークに入れておくと、いざというときに役立つかもしれませんよ。では、また!


関連情報

URL
  アイデアデータベース
  http://www.ryutu.inpit.go.jp/idea_root/html/
  特許流通データベース
  http://www.ryutu.inpit.go.jp/PDDB/Service/PDDBService
  特許流通促進事業
  http://www.ryutu.inpit.go.jp/index.html

2007/05/31 11:02

下柳泰三
自称“書き屋”。ジャンルを選ばず心が揺さぶられればパソコン記事でも映画評でも何でも書く、サスライの原稿執筆人。現在某街歩き雑誌(ヒミツ)をメインに活動中。ホコリをかぶったケーブルモデムを横目に今日も書きまくる!
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