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新語や俗語を収録した、普通の辞書とはひと味違った辞書サイト


 先日、面白い辞書ソフトが発売されました。「LogoVista電子辞典シリーズ」の「現代用語の基礎知識 1991~2007 17年分特別パック」というものです。ご存じの通り、「現代用語の基礎知識」は旬の言葉を集めた用語辞典ですが、これを17年分まるごとセットにしてしまったというのだからオドロキです。

 この手の用語辞典は新しいものでないと意味がないと思いがちですが、実は過去のものもけっこう役に立つんですね。いろいろな言葉を見ていると、「そういえば、あの年はこんなことがあったっけ」と思い出したりして、なかなか味わい深いものです。このソフトの場合、年度ごとの解説文の差分抽出機能なども付いていて、同じ言葉の意味が毎年どのように変わっていったかを見比べることができます。また、ある言葉が死語となってしまって、もう翌年には掲載されなくなってしまった場合もあったりと、言葉の移り変わりの激しさもよくわかります。

 インターネット上でも、このような言葉の変遷がわかるサイトがあります。いわゆる「俗語辞書」と呼ばれるものや、使われなくなった「死語」を集めたサイトなど、普通の辞書サイトとはちょっと違ったユニークなサイトですね。俗語や死語というのは時間が経つにつれてどんどん増えていくものですから、インターネットで提供するコンテンツとしては、最適といえます。今回はこの中から、オススメの2サイトをご紹介しましょう。





言葉を通して世相がわかる

 まずご紹介するのは、「日本語俗語辞書」です。「俗語」というのは細かい定義はいろいろありますが、このサイトでは日々の生活の中でどんどん生まれている新たな言葉を総称して呼んでいます。サイトポリシーとして「耳にしたことはあるが意味を知らない言葉」全般を対象としていて、この中には最新の言葉だけでなく、昔流行したけど今は使われなくなった死語なども含まれています。

 トップページにアクセスすると、「日本語俗語辞書の『Pick Up俗語!』」というコーナーがあります。アタシが見たときは、ここには「ヒトカラ」「ミテコ」「ブスドル」「昼シャン」「カミラー」「メトセク」などさまざまな言葉が並んでいました。自分も職業柄こういう言葉をよくチェックするようにはしているんですが、それでも知らない言葉がいくつかありましたね。これらの中からどれか選んでクリックしてみましょう。その言葉の詳しい解説ページが表示されます。解説文だけでなく、その言葉が使われた年代も書いてあります。

 中には同じ言葉が違う年代で流行ったものもあり、この場合は2種類の意味が掲載されています。たとえば「昼シャン」という言葉は、「朝シャン」が流行した1988年に、アフターファイブに備えて昼に洗髪するOLが増えた現象を意味する場合がまず1つ。もう1つは2007年現在、「昼にシャンパンを飲む」ことも意味しているのだそうです。最近は六本木ヒルズの周りではランチにシャンパンを出す店があるそうで、そんなことが流行ってるなんて初めて知りましたよ。このように、言葉を通して世相がわかるところがこのサイトの面白いところです。


「日本語俗語辞書」トップページ 「昼シャン」の解説ページ




年代別の索引を用意

 検索方法は、50音索引やキーワード検索に加えて、「年代別索引」という方法が用意されています。これは言葉を年代で分類したもので、1900年代から現代まで年ごとに言葉をまとめています。1900年といえば明治時代ですが、そんな昔の言葉も扱っているのはスゴイですね。ちなみに1906年の俗語として「成金」という言葉が挙げられています。この言葉は今でも普通に使われている言葉ですが、誕生したのは100年も前だとは思いませんでした。このサイトを見ていると、こんな風にさまざまな発見があります。

 ページ右下には、「俗語ランキングBest20」というコーナーもあります。これはアクセス数の多さを示したランキングで、現在どんな言葉に世間の関心が集まっているのかがよくわかります。必ずしも新しい言葉ばかりが上位に来ているわけでもなく、死語がランクインしているときもあります。また、月間ランキングも算出していて、こちらは30位までのランキングを見られます。過去のBest3をまとめた「歴代Best3俗語一覧」というコーナーもあるので、これを見れば過去にどのような言葉が注目を集めたのかが一目でわかります。

 なお、このサイトでは俗語の掲載依頼も受け付けていて、右メニューのリンクから送信フォームを使って投稿できるようになっています。気付いた言葉があったらぜひリクエストを出してみてください。今後ますます語数の増加が期待されますね。


年代別索引 歴代Best3俗語一覧




使われなくなった言葉を大募集

 次にご紹介するのは、「死語どっとコム」というサイトです。タイトル通り、使われなくなった“死語”を集めたサイトです。このサイトの特徴は、読者の投稿によって成り立っている点ですね。試しにトップページの「死語サーチ」という検索窓になにか言葉を入れてみましょう。たとえば「花金」というキーワードで検索すると、1件見つかりました。

 検索結果のリストをクリックすると、解説ページが表示されます。ここでは言葉の意味に加えて、「使用例」が掲載されているのが面白いです。「花金」の場合は「翌日が休みなので楽しく遊べる金曜日の夜」という意味で、「今日は花金だし、飲みに行かない?」というのが使用例として掲載されています。意味を解説するだけでは今ひとつピンと来ない場合でも、このように使用例が書かれていれば使い方が具体的にイメージできますよね。このほか、投稿したユーザーの名前も表示されていて、各言葉を見ていくと、いろいろな人が投稿しているのがわかります。


「死語どっとコム」トップページ 「花金」の解説ページ




投稿の手続きはとてもカンタン

投稿画面
 なにか死語を知っていたら、自ら投稿(登録)してみるのもいいでしょう。やり方は、トップページから「死語登録」をクリックして、死語と意味、使用例、使用された年などを入力します。名前は実名の必要はなく、メールアドレスも書かなくてOKなので、誰でも気軽に投稿できますよ。

 ただし、投稿された言葉が掲載されるかどうかは、あくまでも管理人の判断次第なので、掲載されない場合もあります。たとえば下ネタは全面的に取り扱わないそうなので、注意しましょう。投稿する前に、どんな言葉が採用されているかをざっとチェックしておいた方がいいでしょうね。ちなみにトップページのメニューの中には「面白かった登録依頼」というコーナーがあって、ここには登録はしなかったけど面白かった言葉がまとめられています。

 また、1回登録されても、その後何らかの理由で削除する場合もあり、それらの言葉も「削除履歴」というコーナーでリストを見ることができます。削除や変更の理由もきちんと書いてあるので、わかりやすいですね。

 このようなサイトは、見ているだけよりも自ら積極的に参加した方が楽しいものです。死語を思い付いたらどんどん投稿して、ほかの投稿者と一緒に死語辞典を作り上げてみてはいかがでしょうか。では、また!


関連情報

URL
  日本語俗語辞書
  http://zokugo-dict.com/
  死語どっとコム
  http://shigo.com/

2007/07/05 11:12

下柳泰三
自称“書き屋”。ジャンルを選ばず心が揺さぶられればパソコン記事でも映画評でも何でも書く、サスライの原稿執筆人。現在某街歩き雑誌(ヒミツ)をメインに活動中。ホコリをかぶったケーブルモデムを横目に今日も書きまくる!
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