Broadband Watch logo

全国各地のお役立ち情報


 前回は各テレビ局の動画ニュース配信について話しましたが、その際、あちこちのテレビ局のサイトで思わぬものを見つけました。それは、地方の放送局のリンク集です。北海道から沖縄まで、各局の系列放送局がどのサイトにも載ってたんですが、実はこれらの地方局も、動画ニュースを配信していたんですね。これにはタマゲました。キー局が指導しているのか地方局が独自にやっているのかは知りませんけど、ここまで徹底しているとスゴイですね。だって他の県のローカルニュースなんて、地上波の民放ではまず見られませんよ。地上波はインターネットと違って、届く距離に限りがありますからね。

 そういえば昔、アタシはMTVオタクでした。「ビルボード」や「ラジオ&レコーズ」のチャートを毎週欠かさずチェックして、土曜日は「ベストヒットUSA」を見る。中学時代はそんな生活を送っていたんですね。で、そんなとき神奈川県に住む友人が、「テレビ神奈川では『ビルボードTOP40』とか『ソニー・ミュージックTV』とか、いろいろやっているんだぜ。すげーだろ!」と自慢して、エアチェックしたビデオを貸してくれたことがありました。見てみると、「ベストヒットUSA」では端折られていたミュージッククリップが初めから終わりまでノーカットで流れたり、VJが魅力的だったりと、とにかくおもしろい。

 アノ頃のテレビ神奈川はアメリカのミュージッククリップを流す番組がなぜか充実していて、そんなのを見せられた埼玉在住のアタシは、クヤシサのあまり憤死しそうになったほどです。ブースター付けて電波を増幅すればテレビ神奈川が映るんじゃないか、と本気で思って実験したところ何も変わらず、泣きはらしたこともあります。バカですね。「テレビの電波って、遠いところには届かないんだなあ」と実感したのはそのときでした。


意外とおもしろいローカルニュース

 今はケーブルテレビに申し込めば、テレビ埼玉もテレビ神奈川もセットで楽しめるような世の中になったし、地方局のニュースもインターネットで見られます。便利ですねえ。「ローカルニュースなんて、どこがおもしろいんだ?」と思う人もいるかもしれませんけど、なかなか侮れないんですよ、コレ。たとえば「北海道放送」とか、「札幌テレビ」などの北海道にある放送局のトップニュースは、「道央道で車とクマが衝突」てな話題だったりする。おまけに、その下には「道内にクマ出没、相次ぐ」なんて載っていたりします。そうすると、「今度の夏休みは北海道でも行こうかな~」なんて思ってる人が、参考になるわけですね。

 なかには、それが原因で北海道旅行を取りやめたりする人もいるかもしれないけど、逆にクマ好きの人は「どんなに仕事が忙しくても、今年の夏は絶対にクマに会いにいくぞ!」なんて思うかもしれない(んなことないか!)。別に旅行の予定がなくても、趣味の情報収集に有効だったりもします。お酒好きの人が「四国放送」のサイトで「徳島で新酒の仕込みが始まる」なんて知れば、「おお、予約しとかなきゃ」ということになったりして。こういう「どうでもいい情報」というのは、受け手としては動画のほうが都合がよいんですね。テキストだとがんばって読まなきゃならないけど、動画だと何か別のことをしながら情報が受け取れる。地方新聞社のサイトも多いですけど、せっかくブロードバンドを利用してるんなら、こういうときにラクをして、せっせと動画を見ることにしましょう。



URL
  北海道放送
  http://www.hbc.co.jp/
  札幌テレビ
  http://www.stv.ne.jp/news/newsr/
  四国放送
  http://www.jrt.co.jp/news/contents/




速報だけでないニュースサイト

 さて、各地方局のサイトをいろいろ見て回るうちに、おもしろいものを見つけました。沖縄の「琉球放送」のページです。ここには速報の動画も置いてあるんですが、その他に「映像アーカイブ」というコーナーがあります。タイトルは「21世紀に残したい沖縄」。有名な首里城とか自然の景色とか郷土の名産などの動画がたくさんストックしてあります。さすがオキナワ! 脱帽ですね。なんかこういうのを見ると、地元民が持つ、郷土への誇りを感じます。

 あと「沖縄のうたアーカイブ」なんてのもありますね。地元で活躍しているミュージシャンの紹介とともに、曲も聞けるようになっている。他の地方局のサイトでも、これだけ充実しているのは少ない。よく県や市町村がこういう郷土紹介のページを作ってるけど、本格的な動画はまず置いてない。首里城の動画を見ると、空撮の映像なども混じってるんで、おそらくテレビ放送のために撮ったものでしょう。ここまで本格的な動画を添えられていると、何かゴージャスというか、得した気分になります。これが沖縄以外の地域からも見られるっていうんですから最高ですね。



URL
  琉球放送
  http://www.rbc-ryukyu.co.jp/




他の放送局もガンバレ!

 過去に放送で使った画像をインターネットでいつでも見られるようにする。ぜひ、他の局もどんどんやってもらいたいです。郷土紹介のビデオもよいけど、「あったらいいな」と思うのは飲食店ガイドですね。最近は夕方6時頃に放映される各局のニュースで、グルメガイドの登場頻度が高まっています。コレ、地元に住む人にはもちろん有効なんですけど、旅行者にもかなり役立ちます。せっかくの旅行中、どうせならうまいものを食べたいと思うのが人情だけど、こういうときって適当な店にエイヤと入ると、外れる可能性が高いんですね。

 アタシも昔、とある離島にキャンプしに行ったことがあるんですけど、何気なく入った漁港近くの食堂でカレーを頼んだんですね。「シーフードカレー」なんて壁に貼り出されてるから、当然海の幸がふんだんに入ってるんだろうなあと思ったら、注文を受けたオバちゃんが目の前でいきなりレトルトの袋を破ったんですよ。その瞬間、輝かしい夏の思い出に汚点が付きましたね。海辺で食べる味気ないレトルトカレーはそりゃあワビしかったです。まあそこまで極端なことはマレでしょうけど、アタシのような犠牲者を出さないためにも、ぜひ地方局にはがんばってもらいたいと切に願います。

 たとえば愛媛の「あいテレビ」のサイトでは「ハナマル・セブン」という情報バラエティ番組のページを作っているけど、おしいことに動画がないんですね~。「テレビ東京」の「出没!アド街ック天国」も動画はなし。テキストや静止画だけで仕上げるよりも手間もコストもかかるのは分かりますが、ブロードバンド時代は、インターネットをテレビ図書館にでもするくらいの勢いでドーンとやってもらいたいもんです。



URL
  ハナマル・セブン
  http://www.itv-ehime.co.jp/seven/index.html
  出没!アド街ック天国
  http://www.tv-tokyo.co.jp/bangumi/ad-matic/index.htm




ライブカメラというもう一つのニュース

 あと、もう1つおもしろいと思ったのが「北海道放送」のトップページにあったライブカメラですね。最近はかなり普及してきたライブカメラですが、テレビ局のサイトにこれがあると、かなり相乗効果が出ると思うんですね。そういえばインプレスの担当編集のKさんが「台風のときにライブカメラが役立った」と言ってたのを聞き、「なるほどな~」とアタシは納得しました。各地の天候をダイレクトに把握するのには、天気図なんかよりライブカメラを見たほうがよっぽど手っ取り早い。

 なにしろ、都会の高層ビルなんかには、ヘタすると窓がほとんど開かないオフィスだってあります。あんなんじゃ、ちょいと外に出るときに、傘を持っていこうかということさえ判断できませんぜ。ライブカメラでシャバの様子がわかれば、そんなことは心配無用です。ニュースというのは、今この瞬間に世界に何が起きているかを把握できる便利なコンテンツですが、よく考えてみるとライブカメラって存在そのものがニュースですよね。しかも、テレビ局は何かが起きてから行動するメディアですが、現場まですっ飛んでいく間に必ずタイムラグが発生します。ライブカメラにはそんなタイムラグはない。

 ライブカメラで各地の生の映像を見つつ、速報ニュースを動画で見る。そうすれば自分の生活圏以外の地域が、もっと身近になっていくような気がします。イヤ~それにしても、もしかしたら究極のニュースとはライブカメラなのかもしれませんなあ。次回は、このライブカメラについてもう少し突っ込むことにしましょう。


2001/10/01 11:14

下柳泰三
自称“書き屋”。ジャンルを選ばず心が揺さぶられればパソコン記事でも映画評でも何でも書く、サスライの原稿執筆人。現在某街歩き雑誌(ヒミツ)をメインに活動中。ホコリをかぶったケーブルモデムを横目に今日も書きまくる!
Broadband Watch ホームページ
Copyright (c) 2001 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.