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旅行前にはライブカメラで現地をチェック


 いや~やっと秋が深まってきました。夏なんてこの世から消滅してほしいと日夜祈り続けてるアタシにとっては、この夏はジゴクでした。夏なんて外から帰ってくるたびにシャワー浴びなきゃなんないわ、暑さに頭がぼうっとして仕事がはかどらないわ、クーラーの電気代がかかるわ、何もいいことなんかないです。まあ30℃くらいは百歩譲ってよしとしましょう。が、それ以上はカンベンしてくだせえ。ましてやオーバー35℃なんて、あーた冗談じゃないですよ。トモダチに夏が大好きなヤツがいるんですけど、そいつが言うには「炎天下を汗流しながらうつむいてトボトボ歩く。これが夏の醍醐味だ!」だそうです。もはやヘンタイですね。

 そういう暑さに強い方たちは放っておいて、夏ギライな人はこれからのサム~い時期を満喫しましょう。アタシは暑いのには弱い代わりに、寒さには滅法強いんです。昔、冬山登山をやってたときに、寒さに慣れるトレーニングをしたんですね。トレーニングつったって、ふだんから暖房をかけないで過ごして、夜もタオルケット1枚で寝るだけなんだけど。何度かカゼをひきましたが、おかげで少々の寒さには耐えられるようになりました。これもまた、いわゆるひとつのヘンタイですね。

 と、まあ寒いのが大好きなアタシなんですが、当然ウインタースポーツも好きです。とくにスキーには目がない。毎年秋になって「富士山に初冠雪!」なんてニュースが入ると、それだけでソワソワして、銀世界に心が飛んでいってしまう。最近のスキー場は、人工降雪機のおかげで早ければ11月にオープンするところもあります。自然雪が少なくなってきている代わりに、ハイテク設備が雪を補っているわけですな。が、人工降雪機のほかに、ゲレンデを支えているもうひとつのハイテクがあります。何を隠そう、ライブカメラなんですよ。


ライブカメラで積雪の具合をチェック

 毎年冬になると、新聞各紙がゲレンデ別の積雪情報を掲載します。昔はゲレンデの状況を調べるには、これに頼るしかなかった。だから、11月後半に「積雪1m」なんて掲載されているのを信じて現地に行くと、ほとんど雪が積もってなくて、ところどころ地肌が出てゲレンデが茶色になっている、なんてことがよくありました。「ぜんぜん雪がねえじゃねえかボケェ!」なんて怒っても後の祭り。レストハウスで涙を流しながら茶色いゲレンデを見て、ひたすらタメイキを吐いてました。それから時代が進み、今やスキー場がウェブサイトを持つことは常識になっています。

 で、それらのサイトには、ライブカメラを据え付けるのも当たり前になってきました。ライブカメラなら積雪情報はもちろん、天候状態もすぐにわかります。あと、ゲレンデの混み具合もわかる。スキー場側から発表される公式の積雪と気温情報に加えて、ライブカメラの画像を組み合わせれば、ゲレンデの状況が手に取るようにわかるわけです。アタシのスキー歴はもう20年くらいになりますが、ホント“苦節○年”という感じですね。もっと後に生まれてれば、新聞にだまされて泣くことはなかったなあと感慨深いです。

 こういう状況になったのも、ライブカメラの設置がかなり低コストで導入できるようになったからでしょうね。昨年、アタシがよく行くスキー場のサイトを見てたら、ある日いきなりライブカメラが登場しました。「おおぉ!」と思って掲示板を見てみると、なんと「ライブカメラ作ってください!」なんて書き込みがたくさん見つかったんですね。書き込みの中には「ライブカメラなんて、設置も簡単ですよ。安いし」なんて投書もあった。その書き込みが決定打になったかどうかはわからないけど、ファンからの熱い要望が後押しをしたことだけは間違いない。今までのライブカメラは、ただ街角や自然の景色を映すだけのものが多かった。けど、スキー場が使えば、それはゲレンデとファンの距離を縮める役に立つツールとなるわけですね。こういうサイトがもっと増えてくれれば、ホントにありがたい。


道路情報もあるゾ!

 スキーに関わらず、クルマで行楽地に行くとき気になるのが道路情報です。山や海など、目的地となる場所の状況がいくらライブカメラでわかっても、そこに行くまでの途中でイヤな気分になるわけにはいかない。ここにもライブカメラが活躍します。たとえば「国土交通省・仙台工事事務所ホームページ」では、「国道48号・道路情報」というコーナーを設けてます。積雪情報と違って、ラジオの交通情報はけっこうアテにはなる。けど、やっぱ実際に目で確かめられるとかなり安心できる。しかもこのサイト、同路線に3つもカメラを設けてます。ヤル気ですね。野球で無気力なプレーを見せられると腹立つけど、それはウェブサイトでも同じです。まあ基本的に無償で提供しているページにケチ付けるなんざ、おカド違いというのはわかってるんですが、期待させておいてガクっとさせられると、ムッときてしまうのは人間としてしょうがない。だけど、このサイトのような“全力プレー”を見せられると、「国土交通省め、やるときはやるな」と思わず唸ってしまう。これなら渋滞の状況も分かるし、冬場は道路の凍結状況も把握できますね。

 こういう道路のライブ映像は、仙台だけでなく、福島県とかでもやってます。ほかに、栃木では東北自動車道のライブ映像が見られる「那須WEB」のサイトもある。高速道路のライブカメラはホント、助かりますよねえ。盆暮れの帰省ラッシュやGWの行楽ラッシュのとき、渋滞にハマッてどうしようもなくなった人、けっこういるでしょう。モバイルな人は、クルマに乗ってるとき、こういうサイトを助手席の人に観てもらうとよいかもしれない。まあもっと時代が進めば、カーナビにウェブブラウジング機能装備は当たり前、ということになるでしょうけどね。


同路線に3つもカメラを設けている「国道48号・道路情報」 東北自動車道のライブ映像が見られる「那須WEB」


URL
  国道48号・道路情報
  http://www.sendai-mlit.go.jp/douroj/R48/index.html
  那須WEB
  http://www.nasu-web.or.jp/lavoix/index2.html




お次はお天気カメラだ!

「箱根町観光経済部観光産業課」のライブカメラでは全部で9カ所の映像がチェックできる
 目的地と途中の道路情報がライブカメラでわかるとなれば、残りはやはり天気ですね。以前、「台風のときはライブカメラが役に立つ」なんて話をしましたが、有事のときだけに使うのはもったいない。今や、ライブカメラは全国の観光地に設置されています。試しに検索サイトで「お天気カメラ」というキーワードを入れて見てください。ゾロゾロ出てきますから。たとえば「箱根町観光経済部観光産業課」なんかスゴクお勧めですよ。ここは昼間の映像だけしか観られないけど、なんといっても設置ポイントが多い。お天気カメラが湯本・強羅・仙石原・芦ノ湖・箱根峠の5カ所、道路状況カメラが湯本・大平台・宮ノ下・箱根峠の4カ所にある。計9カ所ですぜ奥サン。

 しかも、お天気カメラのほうは、設置場所の標高・気温・湿度・雨量というデータ付き! こりゃ便利です。現地の生画像だけでなく、何を着ていけばいいかもわかる。さすが人気の観光地です。やはりこのサイトからもヤル気がビンビン伝わってくる。「今度、どこに旅行行こうかな~」なんて考えてるとき、こういうヤル気を見せられると、アタシなんかコロッといっちゃいますね。単純だから。なんか、観光客のことをすごくよく考えてくれているなあ、とそんな良心を感じます。



URL
  箱根町観光経済部観光産業課
  http://www.kankou.hakone.kanagawa.jp/index.html




定点観測には底知れぬ味わいがある

 その上、このサイトでは過去2週間の画像とデータも見られるんですね~。ホント、カユイところに手が届くサイトです。そう、ライブカメラは設置してても、過去の画像まで見られるようにしてくれているサイトは非常に少ない。リアルタイムにこだわるだけでなく、過去の画像を時系列で見ることによってわかってくることもあります。天気にしたって過去の映像が見られれば、そこが雨の降りやすいところか否かがわかる。何より楽しいですよね、定点観測って。「役に立つ」ということも大事だけど、離れた場所の映像を見るという行為を毎日継続することによって、見ること自体が楽しいものになるかもしれない。米国の有名作家ポール・オースターが脚本を書いた「スモーク」という映画で、その中に出てくるオーギー・レンという煙草屋の店長が、14年間1日も欠かさず、毎日同じ時間に店の前の交差点の写真を撮り続けるというエピソードがありました。1枚1枚の写真には感動はないけど、膨大な月日を重ねて撮り溜めた写真を一度に見ると、何か胸を打つものがある。そういう感動をライブカメラによって味わえる日が、いつか来るとよいですね。


2001/10/22 11:19

下柳泰三
自称“書き屋”。ジャンルを選ばず心が揺さぶられればパソコン記事でも映画評でも何でも書く、サスライの原稿執筆人。現在某街歩き雑誌(ヒミツ)をメインに活動中。ホコリをかぶったケーブルモデムを横目に今日も書きまくる!
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