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マイナーだけどおもしろいコンテンツを探せ!?


 いやーそれにしても寒いですなあ。アタシは寒ければ寒いほど元気になる人間なんで、“冬将軍”は大歓迎なんですが、「寒いのなんて絶対イヤ!」という人もいます。アタシの友人にもいますよ、冬になるとコタツに入ったまま一歩も外に出ない、なんて人が。アタシは冬の間中、ヒマさえあれば雪山へかっとんで行ってしまうという自堕落な生活を送っているんですが、コタツ派の人は何をやってるんでしょう。ゲーム? トランプ占い? ミカンの皮剥き? まあいろいろとあるでしょうけど、漠然と時間を潰すってのもモッタイナイ話ですよね。ここは一発、何か映像作品を作り出してはどうでしょう。アタシたち現代人はパソコンとブロードバンドという強力な2大ツールを持っています。時間と道具を有効に使えば、とんでもない作品が生まれるかもしれませんよ。しかも、最近では映像作品を公開する場所がどんどん増えています。そう、ネットですよ奥サン。映像クリエーターを支援し、できるだけ多くの人に作品を見てもらうためのサイトが、続々と生まれてきてるんですね。今回は、そんなサイトを探してみました。


どんな人でも投稿OK!

 まずはアットホームジャパンという会社が作った「Vizilla」というサイト。アクセスすると、いきなりノリのよい曲が流れてきました。ページのデザインもグラフィカルでカッコイイっすねえ。まあ、クリエーターのためのサイトなんだから、デザインがカッコよくなかったらどうしようもないもんなあ。よく見ると、左のメニューに「Action」「Comedy」「Drama」と、さまざなジャンルが書いてあって、カテゴリごとに見たこともないようなタイトルがズラリと並んでいます。説明をよく読むと、これらはプロ、アマチュア、初心者問わず、世界から募集した作品なのだとか。公開している作品は、誰でも無料で自由に見られる。こりゃあイイですね。この手の作品は箸にも掛からぬようなものから、「どうしてコレ金取らないの?」ってのまで、まさに玉石混交。丹念に見ていけば、思いもかけぬおもしろいものが見つかります。

 昨今はカネを出して見る映画だって、どうしようもないのが少なくない。だったら、タダで見られるものから自分の好みのものを見つけたほうが、コストパフォーマンスはよいわけですね。アタシの経験からいうと、だいたい10本に1つですね。自分の好みに合うもので、しかもクオリティの高い映像作品って。試しに数本見てみたけど、アタシは「バトル野郎」っていう作品にシビレました。格闘技の要素とSFを組み合わせたスゴイ作品です。しかも笑える。マンガ世代が泣いて喜ぶようなカメラワークと巧みなCGを織り交ぜて、実に見応えたっぷりに仕上がってます。必見!



URL
  Vizilla
  http://www.vizilla.com/




クリエーター向けのポータルサイト

 あと「ハト命名」もおもしろいナー、と思いました。とにかく見てください。好き嫌いはわかれそうですけど、アタシはこういうアイディア一本勝負みたいな作品は大好きですね。ドラマ仕立てのものもあれば、実験的な作品、ただのギャグもある。実に幅広い作品が揃っています。それにこのサイトの映像ってWindowsのMedia Playerで見られるようになっているんですが、500kbpsを選ぶとかなりでかいサイズになります。で、大きい画面に関わらず動きもスムーズで見やすい。映像作品ってのはある程度画面が大きくなければチャチく見えますからね。大事なところです。もしかしてこのサイト、まだアクセスが殺到していないのかなあ。それとも、「映像作品のサイトなんだから、回線容量もデカクしないと」と、サイト運営側が気合を入れたのか。

 これはヘタに映画館にいってツマラナイ作品を見るよりも、お得ですよ、ホント。さらに、ただ単に作品を並べるだけじゃなくて、おもしろいかどうかを視聴者が投票できる仕組になっているのもイイ。「バトル野郎」なんかはさすがに大人気です。初めてサイトを訪れた人は、何がおもしろいのかわかりませんから、人気投票は大事ですよね。あと、このサイトでは各地の映像祭のレポートやクリエーターへのアンケートなど、いろいろな企画があります。BBSもありますしね。ただ単に映像作品を募るだけじゃなくて、クリエーターの指針となるような情報もあるわけです。タダモンじゃないですね。いずれは、こういうサイトがクリエーター向けのポータルになる可能性もありますな。


ニフティもあなどれん

 とまあこんなわけで、「Vizilla」は、作る側にとっても発表の場となると同時に、映像作品を鑑賞する側の欲求も満たしてくれるサイトといえます。こういうサイトってのは、クリエーター側と観客側、どちらに重点を置きすぎてもいけないもんですが、「Vizilla」の場合、そのバランスが実に絶妙だと感じました。投稿しても楽しいし見ても楽しい、というわけですな。

 で、同様のサイトはほかにもないのか、といろいろ探してみたらありました。なんと、@niftyの中のコンテンツとして「openArt」というサイトがあったんですね。よくよく見ると、日本最大の映像作品サイトとあります。現在、登録されている作品は200本を越えるという、かなりビッグなサイトです。こちらも「Vizilla」同様、見応えのある作品ばかり。けど、カテゴリの名付け方はちょっと違っていて、「Cinema」「3DCG」「ART」「Animation」と、映像スタイル別になってますね。ここでも、投稿作品を随時募集しています。注目すべきは、応募する作品が発表済みであっても構わないという点。雑誌やテレビとかでこの手の作品を募集する場合、発表済みの作品は断っているケースが多いけど、このサイトではどんなものでもウェルカム。しかも、基本的には応募してきた作品はすべて掲載するというスタンスで運営されています。多くのクリエーターは、自分の作品をできるだけ多くの人に見てもらいたいと思っているはずだから、これはありがたいですよね。

 ネットの場合、テレビなどと違って何本でも掲載できるから、こういうスタイルになったんでしょう。そんでもって、われわれ一般視聴者としては、極上の映像作品を無料で楽しめる。双方にとって文句ナシというわけですな。



URL
  openArt
  http://www.nifty.com/eArtist/openArt/index.html




ブロードバンドがクリエーターを支援

映像コンテンツのほかに、クリエイターに役立つ情報も掲載されている「DSP MOVIE」
 同じようなサイトは実は今、急増しているんです。たとえば「hi-ho Media-TV」にも「DSP MOVIE」というサイトがあります。ここでは映像作品を募集・掲載するほか、映像講座と銘打って、クリエーターに役立つ情報までいろいろと載っている。ブロードバンドの普及というと、今までは既存のテレビ局やラジオ局などの動きが目立っていました。けど、最近はフツーの人が気軽に自分の作品を公開できる場として、活用できるようになってきたようですね。とにかくこの手のサイトは間口が広い。たとえデジタルビデオカメラなどの最新の機材を持ってなくても、CGを利用して補ったりとか、アイディア次第でおもしろい作品はいくらでも作ることができる。

 「○○映像作品コンクール」とかの大イベントでグランプリを取ることだけが大事なわけではありません。映像を趣味にする人が、自分の作品をちょっと世に知らしめたい、そういう気軽な感覚が、もしかしたら次世代を担う大物クリエーターを発掘するかもしれない。アタシだって、こういうサイトがあるんなら「いっちょおもしろい作品を撮ってみようかな」なんて思っちゃいますよ。まあ寒い冬は外で遊びたいから、アタシの場合は夏かなー。真夏の暑い日に、クーラーをガンガンかけた部屋にこもってじっくりと映像作品を編集する。ごくフツーの人が肩肘張らずにクリエイティブになれる。そういった中からブロードバンド時代の寵児と呼ばれるクリエーターが出てくるのは、もう時間の問題なのかもしれませんね。



URL
  DSP MOVIE
  http://media-tv.hi-ho.ne.jp/dsp_movie/

2002/01/23 11:17

下柳泰三
自称“書き屋”。ジャンルを選ばず心が揺さぶられればパソコン記事でも映画評でも何でも書く、サスライの原稿執筆人。現在某街歩き雑誌(ヒミツ)をメインに活動中。ホコリをかぶったケーブルモデムを横目に今日も書きまくる!
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