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台風の接近に警戒せよ!!


 いやー、ようやく9月に突入しました。暑さに弱いアタシにとって、8月はまさに悪夢でしたよ。とくにアタシが住んでいるトーキョーシティは、“ヒートアイランド現象”のおかげで、よその街よりもひどいことになってますからね。

 以前、ニュースを見たときに、沖縄から上京した人が「沖縄よりも暑い」とインタビューで答えてました。一体どーなってんの、と愚痴をこぼしたくなりますな。まあ、でも、9月です。もうすぐこの暑さともオサラバですよ。早く長袖を来て、北風にゾクッと鳥肌を立てる季節になってもらいたいもんです。

 が!! 夏を終える前に、我々には最後の苦難が待っています。台風ですよ、台風。またの名を熱帯低気圧。木々がざわめき海が荒れ、電車を止めて停電まで起こしてしまうという、困ったヤツです。昔、コイツのおかげで停電に遭い、そのショックでHDDをぶっ壊した経験のあるアタシは、今年になってついに無停電電源装置、略してUPSを買いました。「台風よ、いくらオマエが荒れ狂おうと、オレにはユーピーエスがあるんだかんな、コラ!!」という感じで、万全の体制で台風に臨む覚悟です。

 そんなアタシですから、台風の動向にはかなり敏感です。天気図を見ていて、沖縄の下の方に渦巻きが表示されようものなら、「気圧は?」「速さは?」「進路は?」と頭の中が“?”で一杯になる始末。本州に上陸する事態になった日にゃあ、もう仕事どころじゃないです、ホント。それに今や、気象関係の情報源は、テレビやラジオの天気予報だけじゃないですからね。

 インターネットを使えば、もっと詳細な情報がリアルタイムで手に入ります。アタシも山登りを趣味にしているもんだから、気象予報士までとは行かなくても、ある程度は天気図を読めます。登山家じゃなくても、世の中には天候が売上に大きく影響する仕事っていうのはいくらでもあるので、アタシみたいにライトな気象知識を持っている人間ってのはゴマンといるでしょう。そういう人にとって、気象情報サイトの充実はかなりウレシイ事態ですね。

 近頃では動画を掲載するところも増えています。気象は刻一刻変化しますから、動画で見た方が直観的に把握しやすいもんです。その速報性と検索性、記録性において、ブロードバンド・インターネットほど、気象情報を伝達するメディアとして適してるものはないと思いますね。


動画による天気予報

 それではアタシがオススメする気象サイトをどんどん紹介していきましょう。アタシの場合、ふだんは「WNI Cyber Weather World」や、「ダブルラインワールド」などを見ています。気象情報サイトとしてはかなり名の知れているところですが、動画による情報はほとんど載っていません。

 けど、旅行に出かける前とか、取材の前とかに、ちょっと軽く天気の状況を調べるには便利ですね。操作性も良いし、見やすいデザインだし。それに、静止画やテキストが中心のこういうサイトを見る際にも、実はブロードバンドが役に立ってます。

 何しろ、天気のサイトって画像がけっこうデカい。等圧線とか雲の配置って、拡大して見ないと正確には把握できませんからね。フルスクリーンにしないと一覧できないような巨大な画像ファイルでも、ブロードバンドなら瞬時に表示できますから、これは心強いですね。

 さらに、最近ではこういう気軽な天気予報を、ストリーミングで放送するサイトが登場してきました。財団法人・日本気象協会が運営している「tenki.jp」です。ここでは、日本全国の週間天気予報がウィンドウズメディアプレーヤー形式で見られます。なんと、更新は毎日1回。最新の天気予報が、リアルタイムで毎日見られるわけです。

 これを利用すれば、外出前にテレビを点けて天気予報の時間になるまで待ったり、わざわざ電話で天気予報を聴いたりする必要はなくなりますね。動画の時間は約2分とコンパクトなので、短時間で効率良く天気概況を頭に入れることができます。動画だけでなく、気象衛星ひまわりの衛星写真やアメダスによる分布図など、静止画も充実しているので、予報の動画を見てもっと詳しく知りたい人にも重宝します。ご活用あれ!!



URL
  WNI Cyber Weather World
  http://www.wni.co.jp/cww/index.html
  ダブルラインワールド
  http://www.wline.co.jp/
  tenki.jp
  http://tenki.or.jp/




過去の動きをMPEG動画で

「高知大学 気象情報頁」
 さて、こういう天気予報サイトで台風を発見したらどうするか。台風がどこで発生してどんな進路で日本にやってきたか、気になりませんか? そんなときは「高知大学 気象情報頁」を見てみましょう。このサイトでは、気象衛星ひまわりや静止気象衛星、極軌道気象衛星などの衛星写真を、MPEG動画にしたデータが掲載されています。ひまわりの映像も、水蒸気チャンネルや可視画像、クイックルック画像など、多彩なラインナップ。更新もかなり頻繁です。

 過去2日間の雲の動きなどは、見ていて圧巻ですね。再生ボタンを押すとあっと言う間に終わってしまいますが、コマ送りで見ると実に面白い。じっくり見たい人はストリーミング再生ではなく、一度ハードディスクにコピーしてからコマ送りで見ていくのをオススメします。

 あと、このサイトはVRMLデータが豊富なのも魅力です。とくに、「3Dで雲を見たら?」のコーナーは面白いですよ。文字通り、日本にかかる雲を立体的に見てみようという試みなんですが、映像がド迫力!! 作った人に拍手を送りたいですね。3D映像はゲームのためだけにあらず、気象の状況を表現するためのツールとしても有効だったんですね。

 巷ではストリーミング動画が流行していて、最近はVRMLの話題も少なくなってきました。けど、パソコンの能力が飛躍的に向上し、かつブロードバンド時代を迎えた今だからこそ、こういう画像が気軽に見られるんだなあ、と実感しました。一昔前だったら、大きいVRMLデータなんて、表示させるだけで大変でしたからね。

 豊富な気象動画や3D映像など、他では見られないコンテンツがてんこもりのこのサイト、ホントに便利です。学術サイトだけあってサイトのデザインは素っ気ないですが、硬派な雰囲気がプロっぽくてイイ!! ですね。



URL
  高知大学 気象情報頁
  http://weather.is.kochi-u.ac.jp/
  3Dで雲を見たら?
  http://weather.is.kochi-u.ac.jp/VRML/




台風の凄まじさを克明に記録

「1998 10.17災害記録」
 ここまで読んだ方の中には、「高知大学」のような専門的なサイトを見てまで、台風に備える必要ってあるのか?と疑問に思う人もいるかもしれません。確かに、頑丈なオフィスビルの中で働いていると、少々の嵐じゃビクともしませんから、それほど心配にはならない。台風がすさまじいパワーを持っているということを忘れてしまいがちになるものです。

 けど、ビルから一歩外に出れば、誰だって“丸腰”ですからね。用心に用心を重ねても、足りないということはないと思います。そんな人に見てもらいたいのがこのサイト。岡山県北マルチメディア研究会と、生活支援ボランティアネットワークという草の根団体が作った「1998 10.17災害記録」。1998年10月17日に日本列島に上陸し、全国で数多くの死傷者を出した台風10号の記録映像を掲載したサイトです。

 25本ものの動画も収録されていて、街の中で台風がどのように荒れ狂ったのかが、克明に描かれています。2度とこういう災害を起こさないように、という願いがひしひしと伝わってくるようで、このサイトを作ったボランティアの人たちには頭が下がりますね。こういうコンテンツこそ、後世にきちんと残していかなきゃいけない情報と言えます。

 いや~ネットを使うと、台風の詳細情報からその恐ろしさやパワーまで、いろいろな情報が得られるということが分かりますね。少々ボロい家に住んでるアタシはもちろん、みなさんもブロードバンド・気象サイトを活用して、台風の季節を安全に乗り切りましょう!!



URL
  1998 10.17災害記録
  http://www.city.tsuyama.okayama.jp/community/saigai/

2002/09/02 11:15

下柳泰三
自称“書き屋”。ジャンルを選ばず心が揺さぶられればパソコン記事でも映画評でも何でも書く、サスライの原稿執筆人。現在某街歩き雑誌(ヒミツ)をメインに活動中。ホコリをかぶったケーブルモデムを横目に今日も書きまくる!
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