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バーチャル登山サイトで秋満喫!!


 暑さも少しずつ和らいできて、そろそろ秋が訪れようとしている今日この頃です。秋と言えば!! 食欲? 運動? 芸術? 皆さんはどんなことに目覚めますか? アタシの場合、何と言っても秋は山登りですね。ヒートアイランドな都会から離れて、真っ青な空の下でひたすら頂上を目指す。うーんいいじゃないですか。

 山の上には平地よりも秋がやってくるのが早い。黙って山を登るだけならたいしてしてカネもかからず旅費が安い。おまけに空気もウマイ。早い・安い・ウマイという、吉野家のようなところなんです、山ってのは。

 まあ登山っていうと、重い荷物を背負ってヒーヒー言いながら登る姿を思い浮かべる方がいるかもしれませんが、最近はそうでもないんですよ。世の中動いているんです。ハイテク化してるのはIT業界だけじゃない。アウトドアの用具だって、きちんと歩みを進めているんです。

 ザックなんかはエルゴノミクスデザインで背負いやすく疲れにくく進化しているし、ゴアテックスなどの防水透湿素材があるおかげで雨の中歩いても蒸れないし、速乾性のシャツを着れば汗のかきすぎで冷えることもなくなります。「綿シャツの5倍早く水を吸って、4倍早く乾く」なんてカタログを初めてみたときは感動したなあ。こんな便利なものがこの世にあったのか、とびっくりしましたよ。アタシにとってはパソコンのカタログを見るのとほとんど同じノリです。

 こういうもろもろの便利グッズがあるおかげで、山を登るという行為も敷居が低くなったように思います。最近は中高年の間で登山が流行ってるそうですけど、用具の進化も一因でしょうね。登山は興味のない人から見れば意味のないことですけど、趣味ってのは意味がない方が面白いかったりしますからね。ネットとか見ても山関連のページってけっこう多いし。山の写真とかビデオとか見ているだけで、なんか体がウズウズしてきちゃいます。

 アタシも社会人になってあまり山へは行けなくなりましたけど、山岳情報サイトを見るたびに「この際、何もかも捨てて山に走るか!!」なんて衝動にかられたりして。こうして考えるとブロードバンドってのはなかなか罪なヤツです。

 仕事中でも、ついつい山のサイトを見てしまって、なかなかはかどらない。かといってケーブルモデムの電源を落としたら、今度は仕事のためのサイトが見られなくなっちまう。と、こんな困った状況に陥ってしまうわけです。うーむ。真面目(?)な“書き屋”をここまで困らせるアヤシイ魅力を持つ山岳情報サイト。今回は、その魅力をたっぷりご紹介しましょう。


何はともあれヤマケイのサイトへ

 まずは山岳愛好家なら誰もが知っている「山と渓谷社」のサイトから。ここは山岳関係の雑誌や書籍を発行している出版社として有名ですね。アタシも高校生の頃からここの出版物にはお世話になっています。月刊誌「山と渓谷」はもちろんのこと、「空撮登山ガイド」とか「ヤマケイ登山地図帳」とか、若い頃はよく買ってましたねえ。

 山の本と言ってもガイド本・紀行文・詳細地図・写真集など、“切り口”は色々あるので、山岳図書ってのは自然と種類が多くなるもんです。このサイトを使えば、そんな多種多様な山の本のラインナップを自由に検索できるというワケ。しかも書籍だけでなくビデオやDVDの検索も可能。さすがに老舗の出版社だけあって、静止画や動画の蓄積もハンパじゃありません。

 そして、そんな同社が誇る膨大なマルチメディアデータの“サワリ”を見られるのも、このサイトの魅力の1つです。トップページにある「QTVR」と「MOVIE」の2つのボタンにご注目ください。ストリーミング動画の方はもはや珍しくはないですが、もう1つの「QTVR」の方にアタシはシビれました。最近ではあまり話題に登らない「QuickTime VR」なんですな、これが。ストリーミング動画の人気に押され気味の懐かしのフォーマットが、こんなところに生かされてるんですねー。

 「霧ケ峰」「白馬岳」「涸沢岳」という有名な山の頂上や、「尾瀬」の湿原から見た360°のパノラマ映像がここではじっくり堪能できます。山の映像って下手にストリーミング動画にするよりも、QuickTime VRを見てのんびりとマウスでグリグリやる方が、良いかもしれませんね。



URL
  山と渓谷社
  http://www.yamakei.co.jp/




日本が誇る名峰にバーチャル登山

 ヤマケイのサイトを見て、山の映像ならQuickTime VRにつきる!! と思ったアタシは、他にもないか探してみることにしたのでした。考えてみればモデムでネットに接続してたときは、QuickTime VRを見るのにも結構大変でしたけど、ブロードバンドの今なら「あっ!!」という間ですからねえ。良い時代になったもんです。

 というわけで見つけたのがコレ。「バーチャル富士登山」というサイトです。日本最高峰にして世界的に有名な富士山に、家にいながらにして“登ったつもり”になれるという恐るべきサイトなんですな、これが。しかも「富士宮口」「御殿場口」「須走口」と3つものルートから選んで登れます。

 基本的にはFlashによるアニメーションで進んでいくんですが、ちょっと荒唐無稽な話も織り交ぜられていて、なかなか面白い。なんと忍者やイエティが出てくるんですよ。富士山に関するクイズもところどころに出てきて、答えていく内にいつのまにか富士山について詳しくなってしまうという教育的側面も兼ね備えています。

 内容が盛りだくさんなだけに、1つのルートを登りきるまでには結構時間もかかる。大体20分くらいかな? この手のアニメーションとしては長いほうですけど、それだけにゴールしたときは不思議な達成感があります。なんせ、お目当てのQuickTime VR映像は頂上に着かないと見られないようになってますからね。こういう細部の作りの良さを見ると、このサイトは本当に富士山が好きな人が作ったんだな~、としみじみ思います。

 山登りなんてシンドイことヤダー!! と思ってる人は、このサイトでバーチャルに登山を味わってみてはいかがでしょう。



URL
  バーチャル富士登山
  http://www.pref.shizuoka.jp/7000m/fuji/index.html




QuickTime VRサイトの決定版

「QuickTime VR パノラマギャラリー」
 最後にとっておきのサイトをご紹介しましょう。「QuickTime VR パノラマギャラリー」です。このサイトは個人運営なんですが、とにかく“山岳QuickTime VR映像”の点数がかなり多い。法人サイトでも、ここまで多いところは見たことがありません。

 奥多摩や丹沢など都内近郊の山から、南アルプス、中央アルプスまで、範囲も広いです。お見事!!としか言いようがないですね。ページのデザインもシンプルで品の良い感じ。大自然をテーマにしたサイトにゴチャゴチャしたデザインは似つかわしくないです、ホント。

 一方で、それぞれの山のリストへは、山塊別に分けられたクリッカブルマップからアクセスできるようになっていて、非常に見やすい。このサイト、今週のイチオシに決定しました。これでもかこれでもかと繰り出される山頂の展望に、ひたすら酔ってください。

 あ、そうそう。このサイトの肩に付いてたバナーに、「パノラマ写真ウェブリング」というものがありました。このサイト以外にも、まだまだQuickTime VRを活用しているサイトがたくさんあることを知って、オドロキましたね~。最近のデジカメにはパノラマ写真が簡単に撮れる機能が付いてるのが多いので、今こそがQuickTime VRの旬なのかもしれません。

 やっぱり山は実際に登るのが一番ですけど、こうしてQuickTime VRをノホホンと見るのも楽しいですな。まるで、自分が本当に山にいるような気分にさせてくれること請け合いです。こんなの見てたら登る気なくしそう。うーむ、アタシも歳なのかなあ……。



URL
  QuickTime VR パノラマギャラリー
  http://homepage1.nifty.com/quicktime/
  パノラマ写真ウェブリング
  http://skyworld.tripod.co.jp/

2002/09/09 11:15

下柳泰三
自称“書き屋”。ジャンルを選ばず心が揺さぶられればパソコン記事でも映画評でも何でも書く、サスライの原稿執筆人。現在某街歩き雑誌(ヒミツ)をメインに活動中。ホコリをかぶったケーブルモデムを横目に今日も書きまくる!
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