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常時接続時代のオンライン辞書活用法(2)


 秋深まる今日この頃、みなさんいかがお過ごしでしょうか。「秋はやっぱり読書」っていう人も多いと思われますが、本のお供といえば!! やっぱり「辞書」。これに尽きますねえ。というわけで今週も辞書の話です。

 先週、辞書に対する自分なりのこだわりをキーボードにぶつけていたら、久しぶりに自分の中にくすぶっていた「辞書欲」が音を立てて激しく燃え上がってしまいました。んで、買っちゃいましたよ。岩波書店の「理化学辞典 第5版CD-ROM」。バリバリの文系であるアタシがなぜこんなの買ったかというと……単なる趣味です。

 これを買えば物理学や化学、天文学、地球物理学、地質学など、あらゆる理工系の言葉の意味が分かるという素晴らしいシロモノなんですが、自分にとって未知の言葉をつらつらと読んでいくのって実に楽しい。まあ、説明すら理解できない言葉もたくさんありますけどね。

 けど、電子辞書なら説明文の中でわからない言葉を見つけても、すぐに調べられるから、読むのがイヤになったりはしませんな。自分の体の中に新しい言葉が流れ込んでくる感覚ってのは、けっこう快感です。このままでは、もっともっと辞書が欲しくなってしまうかも。

 実は以前から欲しくてしょうがない辞書があるんです。その名も岩波書店の「日本語語彙体系CD-ROM」。なんと30万もの言葉が詰まった「日本最大のシソーラス」と銘打った辞書なんですが、これ、価格がハンパじゃないんです。なんと6万円。気軽に買える値段じゃないのでついつい先延ばしにしてきましたけど、この分だと買っちゃうかもしれません。

 しかも、10月下旬には研究社の類語辞典、「類義語使い分け辞典」がCD-ROM化されるって言うし……。欲しいものは尽きません。あ~、自分の物欲がウラメシイ。


類語辞典ならここがオススメ

「シソーラス(類語)検索サイト」
 さて、類語辞典については先週も少し触れましたけど、これはけっして学者やライターのためだけのものではありません。営業職の方が報告書を仕上げるときなんかにも、思う存分に使っていただきたい。使ってみるとわかるけど、かなり便利です。

 パッケージものを買うのも良いですが、その前にウェブの辞書サイトを使ってみましょう。オススメはズバリ!! ここです。言語工学研究所の「シソーラス(類語)検索サイト」。日本語処理システムの開発を行っている会社運営しているだけあって語数もかなり多く、使い勝手も抜群という恐るべきサイトなんですよ、ここは。

 試しに「喜ぶ」という言葉で検索してみましょう。使い方はカンタン。キーワードを入力して「辞書を引く」ボタンを押すだけで、「喜ぶ」の同義語・広義語・狭義語・関連語・反義語がそれぞれ表示されます。いかがですか? 同義語だけで「欣ぶ」「胸を弾ませる」「胸を膨らます」「胸を躍らせる」「心が弾む」「心を躍らせる」「声が弾む」と、さまざまな言い回しが出てくるのがおわかりいただけると思います。

 「喜ぶ」という言葉を聞いただけで瞬時にこれだけの語彙を並べられる人はそうそういないわけで、1つの意味に対して色々な言い回しを調べられる類語辞典ってのはかなり偉大なツールなんですね。

 しかも、このサイトには「観点リスト」ってのが表示されるようになっていて、たとえば「喜ぶ」というキーワードを入れた場合、「うれしい」「楽しい」など、別の観点からのキーワード結果がすぐに引けるようになっています。

 これがWeb上で気軽に使えるってんだから、アクセスしない手はありませんね。何も重要な文書を書くときだけではなく、ちょっと手紙を書くときなんかにも利用すると、「ああ、この人って語彙が豊富だな~」と感心されること請け合いですよ!!



URL
  シソーラス(類語)検索サイト
  http://www.gengokk.co.jp/thesaurus/




類語辞典と国語辞典の組み合わせ

 ただ、この類語辞典のサイトにも弱点はあります。それは個々の言葉の微妙な意味の違いがわからないこと。前回紹介した「角川類語新辞典」や、小学館の「使い方の分かる類語例解辞典」のCD-ROM版には、それぞれのニュアンスの違いについてある程度詳しく解説しているんですが、このサイトでは調べられません。まあ、その代わりに言葉の収録数はハンパじゃないんですけど、「胸を躍らせる」と「胸を膨らます」ってどう違うの? などといった疑問が生じた場合に困ってしまいます。

 こういうときにはやはり、オーソドックスな「国語辞典」が便利でしょうね。試しに「goo」で「胸」というキーワードを引いてみましょう。

 下の方に用例が表示されるので見ると、「胸を躍らせる」の意味は「喜びや興奮で胸をわくわくさせる。心がときめく」となっています。対して「胸を膨らます」の方は「胸が期待・希望でいっぱいになる。希望に満ちている」という意味。これならビミョーな違いがわかります。要するに、類語辞典と国語辞典を上手く組み合わせることが大事、ということですね。



URL
  goo
  http://www.goo.ne.jp/




よりどりみどりの国語辞典

「Lycosディクショナリ」
 さて、国語辞典のサイトは、先週述べたように複数のサイトを押さえておくことをおすすめします。「goo」の場合は三省堂の「大辞林第二版」ですが、他にも小学館の「大辞泉」を使った「Lycosディクショナリ」や、三省堂の「新辞林」を使った「Yahoo! Japan」など、色々あるし、三省堂のホームページ「三省堂Web Dictionary」に行けば、ユニークな語釈で有名な「新明解国語辞典」だって利用できます。有料ですけどね。

 プラグインモジュールによってパッケージ辞書のような使い勝手を実現しているものもあるので、自分に合った国語辞典サイトを見つけてください。あっ、そうそう。三省堂の「大辞林」はネットの辞書サイトではかなりシェアが高いもののようで、「BIGLOBE」「Asahi.com」「infoseek」など、ほかのサイトでも使われています。自分が使っている辞書サイトの出典が何の辞書なのかは、一応確認した方がいいです。「複数の辞書を使っていたつもりが、実は同じ辞書だった」ということにもなりかねないので、気を付けましょうね。

 それにしても、改めて調べてみて驚きましたが、国語辞典のサイトって多いんですねえ。便利な時代になったもんです。



URL
  Lycosディクショナリ
  http://dic.lycos.co.jp/djs/
  Yahoo! Japan
  http://www.yahoo.co.jp/
  三省堂Web Dictionary
  http://www.sanseido.net/




ネット時代の「新明解」?!

 ところで、ここまで紹介した国語辞典はすでに書籍として発売されている辞書をデジタル化したものばかりです。「そんなの当たり前だろ」と突っ込まれそうですが、実はそのような大手出版社が作ったものではない辞書も、ネット上には存在するんですねー。その名も「みんなで日本語辞書をつくろう!」というサイト。

 ここはなんと、ネットで不特定多数から投稿を募り、その結果投稿された数々の面白い語釈を掲載するという、いわば「草の根の辞書サイト」なんです。多くの人がさまざまな語釈を作るから、1つの言葉について複数の意味が掲載されることもあるし、ふつうの国語辞典にはまず載っていないであろう、映画やアニメ番組の語釈(解説?)も掲載されている。

 ウケを狙った語釈もあれば、真面目に解説されている言葉もあって、ヒジョーにバラエティ豊かです。たとえばカ行から「絵画」を引いてみると、「金持ちの家の壁にある。たいてい、隠し金庫のカモフラージュとして利用される」なんて意味が出てきて、思わず微笑してしまう。この感覚って、初めて「新明解国語辞典」を読んだとき以来だなあ。まさにネット時代の「新明解」と言えるかもしれませんね。

 ネットならではの辞書ってことで、「こういうサイトもあるんだ」ということは、覚えておいて損はないですよ。どんな権威ある辞書でも見つからなかった固有名詞が、もしかしたらこのサイトで発見できるかもしれません。もちろん、自ら語釈を投稿しても面白いでしょうな。

 てなわけで今回は国語辞典のサイトについて色々と紹介してきましたが、もちろん辞書サイトはこれだけではありません。アタシもこのテーマには燃えまくってますんで、まだまだ続きますぜ。次回は森羅万象の知識が詰まった「百科事典」のサイトについてご紹介したいと思います。お楽しみに!!



URL
  みんなで日本語辞書をつくろう!
  http://igakat.pos.to/jisho-tsuku/

2002/10/07 11:20

下柳泰三
自称“書き屋”。ジャンルを選ばず心が揺さぶられればパソコン記事でも映画評でも何でも書く、サスライの原稿執筆人。現在某街歩き雑誌(ヒミツ)をメインに活動中。ホコリをかぶったケーブルモデムを横目に今日も書きまくる!
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