Broadband Watch logo

常時接続時代のオンライン辞書活用法(3)


 いやー。そろそろ紅葉の季節ですね~。高い山ではもうまっさかりでしょう。秋が深まるにつれて高原の紅葉も次第に平地に降りてきて、都会の樹木も鮮やかに色づいていく。良いもんですなあ。日本に住んでてヨカッタ!! と思うのはこういうときでしょうね。

 ところで紅葉といえばカエデやイチョウですが、ひと口に「カエデ」と言っても「ウリハダカエデ」とか「ハナノキ」とか「イタヤカエデ」など、いろいろな種類があるのはご存じですか? 中には「イロハカエデ」という冗談みたいな名前のものもあって、何を隠そう、これはモミジのことだったりします。日本は北半球の温帯域の中ではカエデ属の種がもっとも多いそうですから、カエデにはどんな種類のものがあるのか覚えていてもバチは当たらないでしょうし、紅葉狩りがもっと楽しくなること請け合いです。

 まあ、アタシも偉そうなことを言ってますが、何のことはない、ただの“付け焼き刃”です。生物が不得意だったアタシに、こんなことをスラスラ言えるはずありゃしません。実は“百科事典”を引いたんです。ゴメンナサイ。

 百科事典というと、漬け物石になりそうなほど分厚くて重いハードカバーの書籍が何十巻もズラリと並んでいる、というイメージがありますが、今のご時世、そんな大層なものを使う必要はありません。膨大な知の集積である百科事典も、デジタル化すれば数枚のCD-ROMもしくはDVD-ROMに収まってしまうんですから。

 考えてみればこれは凄いことですね。昔ながらの紙製重量級百科事典と違って、検索は一瞬だしコピー&ペーストも簡単だし。書棚の肥やしになりがちな百科事典も、電子辞書版なら日常的に気軽に使えるわけです。こりゃーすげー!! と思ってアタシも平凡社の「世界大百科事典」なるものをパソコンのハードディスクにぶち込んでいる次第です。

 検索の手段が容易になるとアラ不思議、今までハードカバーの百科事典なんか見向きもしなかった人間が、ちょっと気になるとすぐにパッと辞書を引くのがクセになってしまうから面白い。これはCD-ROMの“味気なさ”も要因かもしれないですね。書籍で買ってしまうと、そのハードな外観ゆえに持っているだけで「買ってヨカッタ!!」と満足してしまいがちだけど、CD-ROMってのは買っただけではなかなか“持つ喜び”を感じられない。ガンガン使い込んで「CD-ROMの百科事典があったおかげで役に立った」と実感しないと“元を取った”ような気分にはならないから、アタシみたいな貧乏性の人は無理にでもやたらめったら使おうとするわけです。


無料で利用可のネット百科事典

「LYCOSディクショナリ」
 とまあ、ここまではCD-ROMによるパッケージ売りが全盛だった頃のお話。一昔前まではソフトウェアショップや書店に買いに行かなければデジタルの百科事典は手に入らなかったはずなのですが、ブロードバンド時代の今では恐るべき事態が起こっています。なんとなんと、国語辞典や英和辞典だけでなく百科事典さえもが、Webサイトで無料で利用できるようになっているんですねえ。

 たとえば「LYCOSディクショナリ」では、小学館の「日本大百科全書(ニッポニカ)」のデータのポケット版が検索できます。「ニッポニカ」といえば、百科事典ソフトとしてパッケージ販売されている有名な辞書ですが、ポケット版とはいえこの定評ある百科事典に準じたデータベースを無料で利用できるなんて、なんとも太っ腹な話です。ちなみに先週もお伝えした通り、「LYCOSディクショナリ」には「LYCOSツールバー」が用意されており、インストールすると市販の辞書検索ソフト並に使いやすくなりますので、お試しあれ!!

 内容は、CD-ROM版の「ニッポニカ」の各項目を500字程度に特別編集したものですが、これって平凡社の「世界大百科事典」に対する「マイペディア」のような存在に似てますね。百科事典というのは情報量が命ですから、それぞれの項目についてしっかりと解説するために膨大な文字数が使われているものです。けれど、ともすればその情報量の膨大さに読んでいるほうが圧倒されてしまい、「もっと簡潔に説明してくれんかなー」と思うことがよくあります。だから、効率良く辞書を利用しようと思ったら、かえって短い文章で説明してくれたほうが便利な場合も多い。「短い」ことがメリットになるときもあるわけです。CD-ROM版の「ニッポニカ」を持っている人も、場合に応じてこのサイトを併用すると良いかもしれません。



URL
  LYCOSディクショナリ
  http://dic.lycos.co.jp/ecp/




あの有名な事典もネットで使える

「ネットで百科@Home」
(C)株式会社日立システムアンドサービス
 さて、ネットで使える百科事典はもちろんこれだけじゃないです。書籍版の百科事典では随一のクオリティを持つ平凡社の「世界大百科事典」。これを使えるサイトもあるんですね~。その名も日立システムアンドサービスが提供する「ネットで百科@Home」。なんともわかりやすく素朴なタイトルですが、内容はまさに本格派。『世界大百科事典』のほかにも、「デジタル世界地図帳」や最新の社会情勢、書評などをフォローした「デジタル月刊百科」が利用できます。入力されたキーワードや文章から類似性の高い項目を列挙する「デュアル連想検索」とか、年代情報や地名から項目をリストアップする「テーマ年表検索」「テーマ地名検索」など、パッケージ版の「世界大百科事典」にはない検索機能があるのも見逃せません。

 「LYCOS」と違って有料サービスですけれど、とにかく世界大百科事典の項目をネット上でフルに活用できるという点で、このWebサイトはかなり画期的だと思います。料金体系も「1年」「半年」「4カ月」「2カ月」と細かくコース分けされているし、1回100円のログインで6時間利用できる「ときどきコース」も選べる。つまり、はじめは「ときどきコース」を選んでおいて、利用料金がかさむようなら固定料金コースへと切り替えていく、ということが可能なんですね。ユーザー側も、有料の辞書検索サービスとどう接していけば良いのか、まだまだ手探りな部分が多いので、こういう料金体系は親切だと思います。



URL
  ネットで百科@Home
  http://ds.hbi.ne.jp/




よりどりみどりの海外サイト

 ネットで使える百科事典というと日本では上記2つのWebサイトが有名で、他にはめぼしいWebサイトが見あたらないような状況なのですが、ここで海外のサイトを見てみましょう。たとえばマイクロソフトが運営している「Microsoft Encarta」のネット検索ページがあります。

 「Encarta」といえば、ソフトウェアショップの辞典コーナーには必ずと言っていいほど置いてある百科事典ソフトですね。おそらくパッケージの方もかなり売れているんでしょう。このWebサイトでは、そんなEncartaをネット上から利用できます。ただし、英語ですけどね。言語選択サイトを見るとドイツ語やイタリア語、スペイン語などには対応しているようですけど、日本語版がないのがチト惜しい!! 英語が苦手なアタシみたいな人は、英和辞典のサイトと連携しながら読んでいくのが良いかもしれません。

 使い方はカンタン。「Enter a question or keyword」と表示されたテキストボックスの中に、知りたい単語を入力して検索ボタンを押すだけです。試しに「maple」(カエデ)を検索してみましょう。そのものズバリの意味から「maple」という名を冠した公園まで、実にさまざまな項目が表示されるし、写真や拡大・縮小が可能な地図も閲覧できます。中にはメンバー登録しないと見られない項目もありますけどね。見て楽しめる百科事典として、よくできていると思います。こりゃ、日本版もぜひ作ってほしいなあ。

 他にも、コロンビア百科事典が利用できる「Columbia Encyclopedia」や、米国のLYCOSが提供しているオンライン百科事典、そして「encyclopedia.com」など、まだまだいろいろな百科事典があります。いやぁ、“日本語”にこだわらずに世界に目を向けると、役に立つ無料の辞書サイトってのはいくらでもあるんですねー。

 さて、今回は人類の知の集大成である百科事典について話しましたが、他にもさまざまな辞書サイトがあります。次回はさまざまな専門分野の達人に役に立つ、「専門辞書」のサイトについてお話しするとともに、これまで数回に渡ってお話ししてきた「オンライン辞書」について総括してみたいと思います。では、また!!



URL
  Microsoft Encarta
  http://encarta.msn.com/
  言語選択サイト(Microsoft Encarta)
  http://encarta.msn.com/Worldwide.asp
  Columbia Encyclopedia
  http://www.bartleby.com/65/
  オンライン百科事典(米LYCOS)
  http://familyzone.lycos.com/reference.asp
  encyclopedia.com
  http://www.encyclopedia.com/

2002/10/21 11:12

下柳泰三
自称“書き屋”。ジャンルを選ばず心が揺さぶられればパソコン記事でも映画評でも何でも書く、サスライの原稿執筆人。現在某街歩き雑誌(ヒミツ)をメインに活動中。ホコリをかぶったケーブルモデムを横目に今日も書きまくる!
Broadband Watch ホームページ
Copyright (c) 2002 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.