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常時接続時代のオンライン辞書活用法(4)


 さてさて、オンライン辞書紹介もついに今週が最後です。「せっかく常時接続環境にあるなら、辞書サイトを使わにゃソンソン」という趣旨で始めたんですが、あっと言う間でしたねー。今回、この記事を書くにあたって改めて辞書サイトを色々調べてみると、あるわあるわ。世界中のあらゆるところに、辞書サイトはくまなく行き渡っているのだなー、と実感しました。

 アタシたちは日頃、何か調べたいことがあるとすぐに「Google」とか「InfoSeek」といった検索エンジンを多用しがちで、それでも十分間に合う場合も多い。けれど、“正確さ”という点で著しく不安になることもありますね。あまり聞かない言葉の意味とか著名人のプロフィールとかを調べる際に、匿名の個人サイトの情報だけをうのみにしてしまって果たして良いのか、と心に引っかかることがきっとあるはずです。

 そんなときに辞書サイトを使えば、少なくとも「通説」はわかる。よく新聞記者が行なう「裏取り」と同じことですね。1つのキーワードについてさまざまな角度から調べるためにも、辞書サイトを積極的に利用していくことが必要と言えます。

 ところで、これまで3回に渡って類語辞典や国語辞典、百科事典のサイトを紹介してきましたけど、肝心なものが抜けてましたね。それは「英和・和英辞典」。ネットが普及して、アメリカだろうがイギリスだろうが世界中のサイトが見られるこのご時世に、最も求められている辞書はコレかもしれません。

 でも、マジで申し訳ない。アタシの場合、英検2級レベルなもので、英和辞典の善し悪しってほとんどわからないんです、ハイ。何しろ母国語である日本語でさえ不自由だから、英語の勉強どころじゃないってのが正直な気持ち。正直なのがアタシの取り柄なのでここは潔く兜を脱ぎます。その代わりと言っちゃあ何ですが、今回はネット上の辞書をフル活用するためのリンク集をご紹介しましょう。


魅惑の辞書サイト・リンク

「翻訳のためのインターネットリソース」
 まずご紹介するのは、「翻訳のためのインターネットリソース」というサイト。アタシが最もよく見るのがここで、辞書サイトのリンク集の中では「決定版」と言ってもいいかもしれません。「翻訳のための」とは言いながら、国語辞典や百科事典などの基本辞書サイトのリンクも充実しているので、ヒジョーに便利。「コンピュータ」「環境・気象」「政治・法律」「アート」など、カテゴリー別に分類してあるのもわかりやすいですね。

 国内の辞書サイトだけでなく、海外のサイトも幅広く抑えてあるのにも恐れ入りました。英英辞典や機械翻訳のサイトも登録されているので、まさに英語に疎い人からプロの翻訳家まで対応できるラインナップになってます。iモードで利用できるサイトも掲載されてるし。いやーここはホントに凄い。

 いわゆる辞書サイトではなくて、言葉についてのちょっとした知識が学べるサイトも掲載されています。たとえば「言葉遊び」というカテゴリから「四字熟語」というメニューを選ぶと、熟語について楽しく解説してある個人サイトのリンクが出たりする。「方言」も面白いですね。あまり知られていないマイナーな方言について、これでもかというほどマニアックに追究したサイトが出てくる。辞書サイト以外にも、言葉を学ぶのに役立つサイトっていうのはこんなにも多いんですね。言葉っていうのは一生覚えきれないほど多くて、だからこそ奥深くて面白いんだなあ、と改めて思います。



URL
  翻訳のためのインターネットリソース
  http://www.kotoba.ne.jp/




専門辞書を徹底活用

「メルクマニュアル医学情報[家庭版]」
 ここまで充実していると、普段は縁のない分野の辞書も使ってみたくなりますね。いつかは習得してみたい外国語とか、専門辞書とか。たとえばアタシは中国語に昔から興味があるんですが、なかなか習う機会がない。そんな自分にとって面白そうなのを発見しました。「BitEX 日中・中日辞書」というサイトです。「こんにちは」という言葉を入力すると、ちゃんと「nihao」と表示される。中国語の素人にとっては、こんな他愛ないことでも結構面白かったりするんですね。もちろんプロの翻訳家の方が使っても便利だと思います。

 「医学」カテゴリーで見つけた「メルクマニュアル医学情報[家庭版]」も良いなあ。医学事典っていうのは、ふだんはあまり必要ないけど、何かあればすぐに必要なときもありますからね。こういうサイトをブックマークに登録しておくだけで、かなり安心です。それにしても、こういう役に立つ情報を無料で公開してくれてるサイトには、ホントに頭が下がりますなあ。



URL
  BitEX 日中・中日辞書
  http://www.bitex-cn.com/
  メルクマニュアル医学情報[家庭版]
  http://www.banyu.co.jp/merck/index.html




無数にある辞書サイトを横断検索

「辞典&翻訳の横断検索システム」
 ここまで多くのリンクが掲載されていると、1つのキーワードを複数のサイトで調べてみたくなります。でも、いちいち各サイトのトップページでキーワードを入力してクリック、という操作を繰り返すのが面倒ですね。そんなときに役立つのがココ。「辞典&翻訳の横断検索システム」というサイトです。ここは複数の辞書サイトを、 1つのページから直接利用できる画期的なサイト。このサイトの検索フォームにキーワードを入力し、Enterを押すだけで各サイトに飛んで意味が表示されるスグレモノです。

 なんといっても英和辞典や和英辞典など、英語関連の辞書サイト集(DICT FORMS)がスゴイ。英和辞典のサイトってのはとにかく数が多いから、どれを使って良いのかわからなくなりがちです。このページを使えば、各サイトの使い勝手とか、解説文の質を見比べたりするのも簡単ですね。個人の方が作成したサイトなんですが、かなりエライ!! 「こういうのが欲しかった~」と思っている人も多いんじゃないでしょうか。



URL
  辞典&翻訳の横断検索システム
  http://www.jah.ne.jp/~takanori/dict.html




ネット辞書を串刺し検索したい!!

 さらにここからもう一歩進んで、複数の辞書サイトをワンクリックで同時に検索できるシステムがあったらいいなあ、と思いますね。英和辞典も国語辞典も百科事典もまとめて調べてくれると、もっといい。いわゆる「串刺し検索」というヤツで、CD-ROMのパッケージ辞書では当たり前の機能です。

 たとえば「鉛筆」というキーワードを入力すると、国語辞典ではそのものズバリで鉛筆の定義が示されるし、百科事典では鉛筆の歴史が示される。類語辞典を見れば用例がわかるし、和英辞典では「a pencil」と出てくる。おまけに「心理学事典」とか入れていると、「紙筆検査」(紙と鉛筆だけでできる検査のこと)なんて知らない言葉まで出てきます。「鉛筆」という何でもない言葉1つ取っても色々な側面があるんですね。串刺し検索を活用すると、こんな風に言葉を多面的に調べられるというワケ。この便利な機能を、ぜひネットの辞書でも使えるようにして欲しいなあ、と以前から思っていたんですよ。複数の辞書をまとめて利用できるようになれば、それぞれの辞書サイトの利用頻度も上がるわけだし、利用者も喜ぶと思うんですよね。お願い、誰か作ってチョーダイ。

 まあ、こういう贅沢な欲求が生じるのも、それだけネットの辞書サイトが“使える”ようになってきたからこそだと思います。しかも実用一点張りではなく、辞書には“読む楽しさ”もある。「無人島に何か1冊本を持っていくなら、どんな本がいいか」という質問に「辞書」と答える人は多いのではないでしょうか。

 実用的だからこそ、いくら読んでも飽きない。そんな素晴らしい「辞書」がネットを通して自由に見られる。良い時代ですねえ。辞書の魅力を、ネットを通して今一度見直していただければ、アタシとしては嬉しい。この記事が、みなさんなりの辞書サイトの活用方法を確立する手助けとなればサイワイです・・・・・・というわけで、これにて辞書の話はオシマイ!!


2002/10/28 11:14

下柳泰三
自称“書き屋”。ジャンルを選ばず心が揺さぶられればパソコン記事でも映画評でも何でも書く、サスライの原稿執筆人。現在某街歩き雑誌(ヒミツ)をメインに活動中。ホコリをかぶったケーブルモデムを横目に今日も書きまくる!
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