Broadband Watch logo

インターネットでタイピング練習(1)


 もう7年も前のことです。某業界新聞の記者をやっていたアタシが、思い切ってあるパソコン系出版社へ転職したときのこと。それまで働いていた職場にはパソコンなど皆無で、支局との通信も専用電話回線を使って直接やりとりしたり、原稿をファックスで送ったりと、なんともアナログな世界でした。

 ところが、転職した先はそりゃもうパソコンだらけ。まあパソコン誌を作ってる会社だから当たり前なのですが、もう社内中どこに行ってもキーボードの音がひたすら鳴り響くもんですから、頭の中は真っ白になってしまいました。なんせ新聞社時代は、周りを見渡せばほとんどの人が原稿を手で書いていたのです。「カリカリカリカリ」という音はすれども、「カチャカチャカチャカチャ」というキーボード音はまず聴くことがありませんでした。

 しかもその新しい職場にいた人たちは、なんかやたらに打つ速度が速いんです。まだパソコンに不慣れだったアタシにとって、その速さは人間技には見えませんでした。「カチャ」という音のはずなのに、あまりのスピードに「カ」と「チャ」が重なって、それが連続で襲ってくるから、まるで音楽のように聞こえてくるんですね。これには参りました。そんな光景を見せられたアタシは、「さすがにパソコンをメシの種にしてる人は違う!!」と恐れ入ると同時に、「転職したんだなあ」とそのとき激しく実感したのでした。


増えてきたタイピング練習サイト

 さて、凄まじいカルチャーショックを覚えたアタシはそれからしばらくの間、「ブラインドタッチを覚えなくては、この会社ではやっていけない!!」という強迫観念に襲われたんですね。んで、練習するためにタイピング教習ソフトを買ってきましたよ。でも、結局はすぐに激務に追われて満足に家でくつろぐ時間もなくなり、そのソフトはいつのまにかハードディスクの肥やしとなってしまいました。おかげで自己流の打ち方が染みついちゃって、もう今では矯正不可能です。ブラインドタッチは一応できるようにはなりましたけど、ホームポジションとかお構いなしで、無茶苦茶にキタナイ打ち方なんですね。

 あのとき、きちんと打ち方の基礎を学んでおけば良かったなあ、と今さらながらに思います。その無駄になったタイピングソフトというのが、当時は1万8千円もしました。今じゃ考えられないですよね。それもイマドキの楽し~いタイピングソフトではなく、ただ単に文字がズラズラ出てくるだけの地味なソフト。なんだかお勉強してるみたいで、やってて苦痛でした。大枚をハタいただけにエラく損をした気分になりましたよ。

 最近はアニメや漫画を題材にした面白いタイピングソフトが主流だから、そんな思いをすることもないでしょう。それどころか、まったくお金を使わずにタイピングを練習することだってできます。そう、インターネットですね。タイピングの練習サイトってのは、探してみると結構多いんですよ。常時接続時代なら時間を気にすることなくトレーニングに励めるから、きっと今こそタイピングサイトの旬なんでしょうね。こりゃー使わない手はありませんよ、ホント。





市販ソフト以上のクオリティ

「e-typing」
 まずは腕試しにこのサイト、「e-typing」なんていかがでしょうか。いわゆる正統派のタイピング練習サイトなんですが、ここの特徴はとにかく練習メニューが豊富なこと。「基本練習」「初級練習」「中級練習」などレベル別に分かれているし、ネット上の「タイピング検定」まで無料で受けられます。コンテンツを利用するためには、まずメールとパスワードの登録が必要なんですが、実はこれにも意味があります。

 通常、タイピング練習のサイトっていうのは、トレーニングした後に速さとかタイプミスの確率といったデータが表示されるようになっています。が、このサイトの場合、データを表示するだけでなく、どんどん蓄積していって各人に応じたタイピングの「技能カルテ」を作ってくれるんですね。タイピングってのは体の調子に左右されることが多いから、やるたびに点数がまちまちだったりするもんです。でも、このサイトなら過去のテスト結果を統計データとしてまとめてくれるから、自分の実力が正確に分かるというワケです。

 しかも、このカルテというのが実によくできていて、トータルの正誤率はもちろん、「ミスタイプキーWORST5」とか、「苦手指」などの分析までしてくれます。こりゃスゲェ~!!とアタシは感動しましたね。だって、アタシが1万8千円払って買ったタイピング教習ソフトより、こっちの方がはるかに完成度高いんだもん。こんな充実したコンテンツが無料で楽しめるなんて、なんとも良い時代になったもんです。しかもテストの例文も季節感たっぷり。秋がテーマなら「天高く妻肥ゆる秋」とか「今度の休みは紅葉を見に行こう」とか、なんとも風流な文章が出てくるんです。

 こういう演出って、頻繁に更新が可能なネットならではですよね。あと、「ちょっと息抜き・タイピングバラエティ」というコーナーも面白い。政治経済用語とかコンピュータ用語、四字熟語など、さまざまなジャンルの言葉でタイピングの練習ができるようになってるんですね。テストばかりではなく、自分の興味のある言葉のタイピングを集中して覚えらるという、画期的なコンテンツだと思います。いやーホント、この芸の細かさには恐れ入りました。


□□ お知らせ □□
 このたびイータイピングのご協力により、Broadband Watch専用のタイピングコンテンツを用意いたしました。下記リンクより利用できますので、どうぞお試しください。

Broadband Watch typing



URL
  e-typing
  http://www.e-typing.ne.jp/




初心者に優しい親切サイト

「ぶらいんどタッチの練習」
 と、いきなり完成度の高いサイトを紹介してしまいましたが、良いサイトはまだまだあります。タイピングってのは反復練習をひたすらやることが習得への早道だと思いますが、何度も同じソフトやサイトで練習すると、いつか必ず飽きるときが訪れるもんです。そんなときに他のサイトに行けば、また新たな気分になれるというワケ。

 というわけで「e-typing」を試してみた方、お次はここなんていかがでしょう。その名も「ぶらいんどタッチの練習」というサイト。ここは、とにかく解説がわかりやすい。「キーボードに触るのは生まれて初めて」という人でも簡単に習得できるように、指の置き方に至るまで実に丁寧に説明しています。初心者の人は「タイプの基礎」というメニューを選びましょう。「Lesson1」から「Lesson18」まで、段階を追って習得できるようになっています。

 ある程度入力できるようになったら、「たいぴんぐげーむ」のコーナーに行けば、ゲーム感覚で腕試しできます。1問入力し終えるごとに入力時間が表示されるのも便利ですね。「ことばあそび」のコーナーでは、連想ゲームもできます。しかも、初心者の素朴な疑問に丁寧に答えてくれる「Q&A」というコーナーまであって、ホントにかゆいところに手が届くというか、いたれりつくせりのサイトなんです。

 あと「英単語でレッスン」というコーナーでは英文タイプの練習も可能なんですが、「訳」というボタンを押すと単語の解説まで表示されるようになってます。こりゃ、英単語の暗記にも役立ちますねえ。なんせ、キーボードで一字ずつ確実に打ち込む練習をしているわけだから、スペルを覚えるにはぴったりです。子どもをキーボードに慣れさせるために使っても良いかもしれませんね。

 他にも必見のタイピングサイトはたくさんありますが、そろそろ字数が尽きてしまいました。続きは次号ということで、乞うご期待!! それにしても、今回は色々なタイピングサイトをハシゴしたので、チト腱鞘炎ぎみになってしまいました。きっと変な打ち方してるからでしょうね。反省しなくては。ここは一つアタシも、基本からやりなおそうかなぁ……トホホ。



URL
  ぶらいんどタッチの練習
  http://www.sutv.zaq.ne.jp/ckafj409/

2002/11/18 11:18

下柳泰三
自称“書き屋”。ジャンルを選ばず心が揺さぶられればパソコン記事でも映画評でも何でも書く、サスライの原稿執筆人。現在某街歩き雑誌(ヒミツ)をメインに活動中。ホコリをかぶったケーブルモデムを横目に今日も書きまくる!
Broadband Watch ホームページ
Copyright (c) 2002 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.