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チャットを進化させるブロードバンド


 もう5年くらい前になりますか。アタシがフリーになって間もないころ、深夜にシコシコ原稿書いてたら突然メールがやってきました。以前勤めていた会社の同僚からの連絡だったんですが、なんと彼も徹夜で仕事しているとのこと。なんだか懐かしくなっちゃって、メールを返信したらすぐまた返事が返ってきました。そのまましばらくメールチャット状態で会話を続けてたら盛り上がってきたので、「じゃあ面倒くさいからチャットしよう」ということになったんです。

 それからは仕事を忘れて大チャット大会になりました。途中、元同僚の他にもう1人参加してきて、計3人で3時間くらい話し込んだっけ。まあ、話し込んだと言っても、くだらないギャグとか下ネタの応酬だったんですけどね。

 その当時アタシは家にCATVインターネット回線を引き込んだばかりだったので、「やっぱ常時接続って良いわ~」としみじみ感動しました。なんせアタシはケチですから、もし従量課金のダイアルアップ回線だったらチャットなんてする気にもならなかったでしょう。だって会話するなら電話した方が安いわけですからね。


チャットを進化させるブロードバンド

 つまりチャットという文化は、インターネットのインフラが進化していく歴史と密接にリンクしているわけです。ここ2、3年で一般ユーザーによるダイアルアップ回線から常時接続回線への移行は急激に進んでいるようですが、やはりチャットソフトの数もかなり増えていますね。

 わかりやすい例で言えば、プロバイダーがオリジナルのチャットソフトを作って配布するというケースが多くなってきました。さらに、常時接続というだけでなく、回線がブロードバンド化することによって今度は新たな機能を持ったチャットソフトも登場してきています。そう、ビデオチャットですね。従来なら文字や音声だけのやり取りしかできなかったのが、テレビ電話のように相手の顔を見ながら話せるなんて、なんとスゴイ進歩なんでしょうか。

 テレビ電話といえば、ISDNが普及し始めたときにも電話機に小型モニターがくっついた機器が発売されたことがありますけど、ウン万円もする高価なものでした。ビデオチャットはこういうのとは根本的に違ってて、手持ちのパソコンをそのまま使えるから初期投資が少なくて済みます。小型CCDカメラなんて今じゃ1万円以下で買えるし、カメラが最初から付いているパソコンも多いから、フトコロにはとても優しいわけですね。チャットっていうのはとにかく参加者が多くなくては始まらないわけで、初期投資が少ないって言うのは重要なことです。

 また、「インターネットをテレビ電話として使う」というと、インターネットの黎明期に流行ったビデオカンファレンスソフト「Cu-See Me」が思い出されますけど、、当時の回線速度だと画像がカクカクしてて、とても使い物にはならない状況でした。でも今はブロードバンド時代だから、その頃よりはるかにスムーズな動画が見られます。てなわけで、最近はビデオチャット機能が付いたチャットソフトが次々と登場してきています。まさにブロードバンドがチャットを進化させているという状況なわけですね。





身近なビデオチャットソフト

Windows Messenger
 現在のところ、メジャーなビデオチャットと言えばマイクロソフトがWindows XPで提供している「Windows Messenger」でしょう。この手のソフトは、ブロードバンドルータを介した場合のNAT越えが問題でしたが、最近はルータの方もUPnP(Universal Plug and Play)に対応する製品が多くなってきています。「Windows Messenger」と最新のルータを使えば、誰もが簡単にチャットの世界に足を踏み込んでいけるというワケで、以前よりもチャットの敷居はかなり低くなりました。

 XP以前のWindowsでは、「MSN Messenger」と「Netmeeting」を組み合わせて使うことで、MSNの他メンバーとのビデオチャットが可能になります(※編集部注:現在はビデオチャット機能を搭載した「MSNメッセンジャー Version 6.0」のプリベータ版が公開されています)。MSNアタシも以前から「MSN Messenger」を使ってましたけど、このソフトってホントによくできてますよね。なにしろOSの供給元が主催しているチャット空間なわけだから、参加者の多さはピカ一。当然、チャットのカテゴリも「エンターテイメント」「趣味」「地域情報」「出会い」など、かなり豊富です。

 チャットを初めて間もない人は、「初心者チャット」というカテゴリもおすすめですね。首尾良く誰かと仲良くなれたら、今度はビデオチャットですな。「Windows Messenger」の場合、右端のメニューの中から「実行したい操作」を選んで「ビデオチャットの開始」を選択するだけで、カンタンにビデオチャットが始められます。まあ、見知らぬ人に顔を見せるのが不安なら、誰か知り合いの人と一緒にチャレンジしてもいいかもしれませんけどね。遠距離恋愛まっただ中にある人なんかは、電話代も浮かせられるのでオススメです。



URL
  Windows Messenger
  http://messenger.msn.co.jp/default.asp?client=0




Web上でビデオチャットができるYahoo! チャット

Yahoo! チャット
 Windows Messengerとは違ってWeb上で利用できるのが、Yahoo! JAPANが主催する「Yahoo! チャット」でしょうね。ここのサイトって、アクセスすると上部に「現在の参加人数」っていうのが表示されるんですが、いつアクセスしても何千人と参加しているというとんでもないサイトです。これなら「せっかくアクセスしたのに、誰もいないので寂しい~」なんて思いをせずに済みますよね。

 カテゴリはおなじみの「Yahoo!カテゴリ」と同じ区分けになっていて、エンターテインメント系からコンピュータ、スポーツ、趣味などあらゆるジャンルが網羅されています。ここの特徴は、何と言ってもパソコンのプラットホームを選ばないところですね。HTMLやJAVAを使ってウェブ上でチャットができるようになっているので、Macユーザーにもおすすめです。

 オリジナルのチャットソフトを使う場合だと、ソフトをあらかじめインストールしておかなければいけないから、参加人数はどうしても制限されてしまいます。参加人数を増やす目的から言えば、Web上で利用できるYahoo! チャットは合理的なシステムと言えるでしょう。あと、このサイトはブロードバンド関連の機能がとても充実しています。ボイスチャットも早くから対応していたし、最近ではビデオチャットも可能となりました。

 ビデオチャットを使う場合は、トップページの「チャットソフトウェア」を選ぶところで、「JAVA」を選択する必要があります。あとはチャット画面の中で、ビデオカメラのアイコンが付いたメンバーを探すだけ。見つけたらすかさずIDを右クリックして「映像を見る」ボタンをクリックすれば、公開されている映像が見られます。ただし、公開しているユーザーがビデオへのアクセスを拒否すると見られませんけどね。ここらへんは事前にテキストで話しかけて仲良くなっておく必要があるかもしれません。

 また、他の参加者に自分の画像を公開するのもカンタンです。やり方はあらかじめコンピュータにWebカメラを付けておいて、チャットルーム下部のツールバーの中にある「自分のビデオを公開」ボタンを押すだけ。設定画面で「アクセスを常に許可する」を選択しておけば、誰でもあなたの画像が見られるようになるわけですね。残念なことにビデオチャットの機能はWindows版のInternet Explorerでしか使えませんが、環境さえ整っていれば、誰でもすぐにビデオチャットが始められるというのはスゴイですな。

 ここまで手軽にできるようになると、ビデオチャットももはや電話感覚と言えますね。まあ、まだ全員が全員ビデオチャットをやっているという状況ではないけれど、親しい人とさらにコミュニケーションを深めたい場合には、ビデオチャットというツールはとても有効なのではないでしょうか。もちろん今週紹介したソフトやサイト以外にも、ユニークなチャットサービスはたくさんありますので、次回もまた引き続き、ブロードバンド時代の新感覚チャットサービスについてお話しましょう。では、お楽しみに~。



URL
  Yahoo! チャット
  http://chat.yahoo.co.jp/

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2003/06/30 11:12

下柳泰三
自称“書き屋”。ジャンルを選ばず心が揺さぶられればパソコン記事でも映画評でも何でも書く、サスライの原稿執筆人。現在某街歩き雑誌(ヒミツ)をメインに活動中。ホコリをかぶったケーブルモデムを横目に今日も書きまくる!
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