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匿名OK!! 個人情報にも配慮したユニークな家計簿サイト


 先日、友人と飲んだときに「最近、インターネットの連載でこんなこと書いてるんだよ~」と話したら、その友人はアタシが家計簿をつけていることに、かなりびっくりしてました。まあ、昔からアタシは金銭管理に関してはズボラな方だったんで、そう思われても不思議はありません。

 ただ、アタシはまがりなりにも“個人事業主”ですからねえ。毎年きちんと帳簿をつけて、計算した上で税務署に提出しているわけだし。取材から帰ってきた後や、原稿を書いて疲れた後に帳簿を整理するのってけっこうシンドイけど、こればかりはしっかりやらざるを得ないので、文句を言っても仕方がないわけです。

 それにしても毎年、税務署に申告するときって、なんか緊張しますね。別に後ろめたいことをやっているわけでもないし、そんなことができるほど儲けているわけでもないのでキンチョーする必要はないんですけど、それでも自分の総収入とか、経費にいくら使ったか、そういうことを他人に見せるっていうのは、まるで裸を見られているような気恥ずかしさがあります。

 「家計簿サイト」を最初に使ったときも、それと同じような感覚に陥りました。アタシの家のショボい家計を見て面白がる人もいないと思うので、そこまで気にするのは自意識過剰なのかもしれませんけど、それでもやっぱり恥ずかしいことは恥ずかしい。できれば他人にこんなプライベートな情報は預けたくない!! という思いもあります。

 でも、これまで紹介してきたサイトを使ってみるとおわかりになるかと思いますが、家計簿サイトの便利さには捨てがたいものがあります。そういった利便性と、プライバシーに関する問題を天秤にかけて、どちらを選択するかはやはり人それぞれですね。ただ、こういった誰もが気になる個人情報管理の問題に対して、ユニークな解決法を提示しているサイトも実はあるんですね。それが「5en家計簿」です。



URL
  5en家計簿
  http://www.5en.jp/




匿名での登録がOK!!

5en家計簿
 「5en家計簿」の特徴は、なんといっても匿名での登録がOKなことでしょう。トップページの下段にある「会員登録」の中から「家計簿利用者登録」を選び、規約に同意すれば登録画面が表示されますが、「基本情報の登録」欄の「利用者名」には、なんと「10文字以内の匿名で!」と書いてあります。

 確かにどんなサイトでも、オンラインで登録手続きをする場合に匿名を使うことは可能ですけれど、最初から匿名での登録を前提としているサイトは初めて見ました。登録に必要な情報はパスワードや生年月日、性別、居住地、電子メールですが、居住地も町村名以降は書かなくてOK。メールアドレスだって、Hotmailなどの無料メールアドレスを使えば、まず個人が特定されることはありませんよね。

 これらの基本情報に加えて「詳細情報」を記入する欄も用意されているけど、これについては新規登録後3カ月以内に登録すれば大丈夫です。つまり、この家計簿サービスが自分にとって使いやすいかどうか試してみたい場合は、わざわざ詳細な個人情報を入力しなくても良いわけです。

 先週も触れましたけど、やはり家計簿サービスというのはサイトによって入力や表示のスタイルが色々ですから、他にも同様のサイトをあれこれ使ってみて、その中から自分に合ったサイトを見極めたいものです。「5en家計簿」のような形式なら、手軽に試用できるので安心ですよね。ここらへんのユーザーの心理が、よくわかっているなーと感心してしまいました。





匿名だからこそ他人に見せられる

 また、詳細情報の入力欄の下部には、他のサイトではあまり見られないユニークな機能が隠されています。「コンサルティング要・不要」「一般ユーザへの公開」という欄ですね。なんとこのサイトでは、専門のファイナンシャル・プランナーから、家計についてのアドバイスを受けられるようになっています。

 公開するかどうかの選択は随時可能で、相談したいときだけ公開する、という使い方もできます。そもそも家計簿ってのはつけているだけでも衝動買いの抑止効果など、それなりの効果がありますが、それだけでは十分に生かしきっているとは言い難い。家計簿を元に家計をどのように運営していくか、きちんと計画を立てることが大切だと思います。

 プランナー自体はこのサイトと契約しているというわけではなく、公募という形を取っているようです。つまり、住宅、保険、投資、税金などの色々なスペシャリストがこのサイトに登録して、家計簿を公開しているユーザーにアドバイスして、顧客の開拓に役立てるわけですね。コンサルティングは掲示板上で行なうのではなく、家計簿ユーザーとプランナー間で1対1のメッセージを交換する方式なので、他の人にやりとりが漏れることもなく、ホンネの相談ができそうです。

 アタシも他人に家計の相談をする機会なんて普段はあまりないですが、たまにはプロに見てもらうってのもオツなものかもしれませんな。最初は匿名でのやりとりになるでしょうから、頼りにならなさそうなプランナーなら、途中で断ってしまえばあとくされもなさそうだし。身もフタもない言い方かもしれませんけど、やっぱり相談相手ってのは慎重に見極める必要がありますからね。





一般ユーザーにも家計簿を公開できる

 さて、もう1つの「一般ユーザーへの公開」というのはどんな機能かというと、これはプランナーだけでなく、他の家計簿ユーザーにも自分の家計状況を見せてしまおうということです。もちろん個人情報は表示されませんが、匿名とはいえプランナーでもない人に自分の家計を見せるなんて、かなり勇気がいることですよね。

 ところがトップページを見てもらうとわかりますけど、けっこう公開している人がいるんですよ、これが。他人の家計情報って、下手な小説よりも面白いですね。「あ~、やっぱりここ最近は給料が減ってるんだな~」とか、「娯楽教養に使いすぎなんじゃないの?」とかツッコミいれつつ見ると、とても面白いです。家計からその人の生活スタイルが滲み出ていて、「世の中は色んな人がいるもんだ」と妙にうなずいてしまいました。

 ひとしきり面白がった後、ハタと気づきました。これってただ面白いだけじゃない、自分の家計状況を省みる際にすごく参考になります。「ああ、この人はきちんと貯金も増やしてるな~」と、堅実な人の家計を参考に自分の家計簿と比べてみると、「自分はこの分野にカネを使いすぎてる」という事実が浮き彫りになるんですね。他の人の家計が大量に見られる機会なんて、フツーではまずありませんから、実に貴重な“情報源”と言えます。これを見るだけでも、このサイトを訪れる価値は十分にありますよ。





基本機能も充実

 ちなみにこのサイト、家計簿サービス自体の使い勝手もとても良いです。カレンダーを見ながら入力できるし、クレジットカードも複数の種類を登録可能。科目の種類も細かく設定されていて、たとえば給与やボーナスや年金については、夫婦で別々の科目として入力できます。共働きの人にとってはウレシイ機能ですよね。

 また、ローンや年金の支払いなど、毎月定期的に発生する支出についても自動登録が可能です。入力したデータの集計も「家計簿集計」のリンクをクリックすればワンタッチで閲覧できるし、「予算管理」という機能を使えば、収入と支出との兼ね合いを見ながら予算の計画を立てるのもカンタン。なかなかよく考えられていて、個人的にはこれまで紹介した家計簿サイトの中でも、使いやすさはトップクラスだと思います。こういうサイトを上手く使いこなせれば、家計の管理もラクですよね。みなさんもこれらのサイトを利用して、家計を計画してみてはいかがしょうか。では、また!!


2003/08/04 11:41

下柳泰三
自称“書き屋”。ジャンルを選ばず心が揺さぶられればパソコン記事でも映画評でも何でも書く、サスライの原稿執筆人。現在某街歩き雑誌(ヒミツ)をメインに活動中。ホコリをかぶったケーブルモデムを横目に今日も書きまくる!
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