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「NAVINET」で陸・海・空の交通事情を徹底分析!!


NAVINET
 今年の春に群馬の温泉に遊びに行ったときのことです。ナビのVICSを見ながら渋滞に巻き込まれないように注意していたんですが、帰りの首都高で見事にハマってしまい、2時間で帰れるところを4時間もかかってしまいました。渋滞で大幅に時間をロスすると、なんだかすごく損した気分になりますよね。とくに家に近い首都高で渋滞に遭遇すると、悔しさは倍増です。家はすぐそこにあるにもかかわらず、高速を降りられないもどかしさってのはタマランものですな。

 アタシは渋滞とか行列とかが大嫌いなんですが、ホントはこういう人間が首都圏に住むのって、間違っているんじゃないかと最近思います。でも、東京の便利さってのも捨てがたいんですよね。国際空港は近いわ、新幹線の出発駅はあるわ、東北・甲信越・東海地域へは高速道路が整っているわ、でどこへ行くのにもヒジョーに便利です。まあ、やっぱり便利さと心の平穏を同時に実現するってのは贅沢な話で、どちらかを捨てなきゃいけないんでしょうけどね。

 んで、そんなことを色々と考えながらインターネットを見ていたら、国土交通省が運営している面白いサイトを見つけました。「NAVINET」というものです。これはものすごくカンタンに言うと、日本の交通事情がどれくらい充実しているかを分析するシステムなんですね。普通の人にとってはとくに実用的なサイトということではないんですが、このサイトを見ると、狭いようで広いニッポンという国の今がよく見えてきます。そんな日本の交通事情を興味本位で見てみるのもまた一興なんじゃないでしょうか。

 もちろん、上手に活用すればビジネスの資料としても役立ちますよ。陸・海・空のさまざまな交通機関がどのように機能しているかを示すデータをせっかく政府が提供してくれているんですから、使わない手はありません。





難しそうに見えるけど使えばカンタン

分析内容表示
 まずはトップページにアクセスしてみましょう。パッと見は何やら難しそうな言葉ばかり並んでいますが、心配することはありません。分析項目は大きく左と右の2つの枠に分かれていて、それぞれの項目についての詳しい内容が右下に表示されるようになっています。このサイトの場合、使い方を解説したヘルプサイトなどはとくに設けられていないようですが、この項目説明機能があるおかげで意外とわかりやすいです。きっと2、3回使えばすぐに理解できますよ。

 とりあえず、「全総による交通計画の達成状況」の中から「地域半日交通圏」を選んでみましょう。これは大都市などから半日で往復したり、余裕をもって日帰りができる圏内のことです。基点となる都市は右のプルダウンメニューの中から、「中核都市」「中枢拠点都市」「物流ターミナル」の3つが選択できます。

 中核都市とは、県庁所在地または人口約30万人以上の都市のことで、中枢拠点都市についてはきちんとは定義されてはいませんが、説明を読むとどうやら東京・名古屋・大阪・福岡など、中核都市よりも大きな都市のことのようです。また、物流ターミナルを選ぶと、全国の主な物流ターミナルなどへ約2時間以内でアクセス可能な圏域を表示します。





混雑時と平常時の2通りから選べる走行速度

 左枠を指定し終えたら、今度は右枠です。ここでは表示単位と利用交通機関、道路走行速度を選びます。表示単位は「2次メッシュ指定」と「市区町村」とがありますが、これは左枠で指定した分析結果を表示する際に、どのようなエリアを単位に表示するかということですね。2次メッシュとは全国を約10km四方に細分した単位のことで、市町村などの境界に関係ないので、より正確に交通事情を知りたい場合はこちらを選んだ方が良いかもしれませんな。

 次は利用交通機関の選択です。ここは左枠で分析内容を選択すると、自動的に最適な交通機関が設定されるようになっているので、とくにいじる必要はありません。

 最後に「道路走行速度」ですが、これは「道路交通センサス」と「道路時刻表」の2つから選べます。道路交通センサスを選ぶと、定期的に行われる交通量調査を集計した結果から得られる「混雑時旅行速度」を元に結果が示されます。対して「道路時刻表」を選択すると、混雑時を除いた平日昼間の走行速度で分析します。

 要するに、渋滞や混雑を加味した結果と、混雑していない普通の道を走った場合の2通りから選べるわけですね。これはなかなか親切だと思います。日本みたいにいつも渋滞している国の場合、「混雑時旅行速度」で分析しないと、実際の交通事情からはかけ離れた結果になってしまいますからね。





シンプルな表示地図

 以上のように指定し終わったら、「表示する」ボタンを押してみましょう。日本地図が表示されるはずです。地図上には赤い部分がちらほらと見えますね。これが中核都市から60分以内で到達できる区域というわけです。これだと縮尺が大きすぎて見づらい、という場合はページ下部にある「拡大図(PDF)」というリンクを押してみましょう。PDFによる拡大図が表示されます。

 ただし、この地図に書かれているのは県境のみで、市区町村の境界や道路、鉄道などの路線は書かれていません。ここまでシンプルだと、赤い部分と白い部分の境界がどの町なのかを正確にチェックすることはできないんですね。ここらへんはちょっと不便だと思います。このデータ自体はかなり面白いものなので、できればもっと詳しい地図と重ねてみたいもんですな。そうすれば、「あ、おれの住んでいる場所はかろうじて60分圏内に入ってるぞ」とか、色々と楽しめると思いますよ。

 あと、今の状態では「0-60分」や「60-120分」圏域だけしか表示できませんが、「0-30分」とか、「30-45分」圏域など、もっと圏域を細かく指定できれば良いなあと思います。忙しい日本のビジネスマンから見たら、たとえ15分でも大きな違いですからね。


地図表示/地域半日交通圏 地図表示/PDF拡大図




他にもさまざまな交通事情を分析可能

地図表示/東アジア一日交通圏
 この分析システムは、「地域半日交通圏」の他に、日本の各地域と東アジア各国との間で出発したその日の内に到達して一定の用務が行える「東アジア一日交通圏」や、道路・鉄道・空港・港湾へのアクセス状況なども調べられます。これ以外にも「高速交通施設」や「県庁」なんかもリストには載っているんですが、まだ実際に分析できるようにはなっていないようです。ここらへんは早く使えるようにしてほしいもんですな。

 いずれにしても、我々を取りまく交通事情がどんな現状なのかを把握するのに、このシステムはかなり使えると思います。最大の泣き所は表示される地図がシンプルすぎることですが、この点もいずれ改良されていくんじゃないでしょうか。何よりも、従来はいちいち官公庁に問い合わせなければ入手できなかったデータが、普通の人にも家でカンタンに見られるのはヒジョーに画期的なことだと思います。アタシたち国民もこういうシステムをどんどん積極的に活用して、「こうしたら良い」という意見をどんどん出していこうじゃあ~りませんか。では、また!!


関連情報

URL
  NAVINET
  http://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/soukou/navinet/navinethp.html

2004/09/06 11:27

下柳泰三
自称“書き屋”。ジャンルを選ばず心が揺さぶられればパソコン記事でも映画評でも何でも書く、サスライの原稿執筆人。現在某街歩き雑誌(ヒミツ)をメインに活動中。ホコリをかぶったケーブルモデムを横目に今日も書きまくる!
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