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DLNA理事会議長を務めるソニー・エレクトロニクスのマイヤーズ氏
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Digital Living Network Alliance(DLNA)は5日、CEATC JAPAN 2006で「DLNAで広がるデジタルAVネットワーク」と題した基調講演を実施した。その中で、著作権保護コンテンツのホームネットワーク共有に関する「DLNAリンクプロテクションガイドライン」を10月中に発行することが明らかにされた。
基調講演は、ソニー・エレクトロニクス 副社長でDLNA理事会議長のスコット マイヤーズ氏、松下電器産業 スタンダードコラボレーションセンター 所長の南方郁夫氏、インテル マーケティング本部 本部長の阿部剛士氏が順に登壇して行なわれた。
スコット マイヤーズ氏はDLNA設立までの経緯を述べた後、「PC、携帯、家電と機器同士が接続できる相互接続性が実現させることが、DLNAの掲げるビジョンである」と発言。DLNAには2006年9月の段階で331社が加盟しており、「最近では米国映画会社の業界団体『Motion Picture Association of America(MPAA)』がDLNAに参加した」とした。
続いて、DLNAが組織する委員会の説明の中でユーザーのユースケースを調査してガイドライン策定時に検討する小委員会を紹介。マイヤーズ氏は「『DLNAネットワークデバイスインターオペラビリティ ガイドライン(以下ガイドライン)』の策定当初はユーザーが同じような要望を持っていると考えていたが、ユースケースを調査したことでユーザーごとに要望の違いがわかった」と語り、「ガイドラインなどを策定する際にはユースケースをベースにした議論を実施している」と述べた。
その上で同氏は、ホームネットワーク上で著作権保護されたコンテンツが共有できるようになる「DLNAリンクプロテクションガイドライン」を10月中に発行すると発表。「これまでのガイドラインの上位に置かれる集大成的な存在であり、より魅力的なコンテンツをDLNA対応機器の間で簡単かつセキュアに共有できるようになる」と語った。
■ DTCP-IPとWMDRM-NDをカバーした「リンクプロテクションガイドライン」
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松下の南方氏
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「DLNAリンクプロテクションガイドライン」の概要に関しては、南方氏から説明が行なわれた。南方氏は「ガイドライン、拡張ガイドラインを定めるに従って、著作権保護が施されたコンテンツをホームネットワークで共有したいというニーズが出てきている」と現状を語り、「DLNAリンクプロテクションガイドラインでは、DTCP-IPを必須の条件に定めた」とコメント。さらに「『Windows Media DRM for Network Devices(WMDRM-ND)』をオプションとして設定している」と述べ、リンクプロテクションガイドラインで採用するDRMを明らかにした。
南方氏は「今回定めたものはあくまでファーストステップであり、今後も著作権保護コンテンツのネットワーク共有に向けた取り組みを続ける」と述べる。日本市場では社団法人電波産業会(ARIB)がDTCP-IPを利用したデジタル放送の出力を承認していることから、「これまで以上にDLNAの普及が期待できる」と語った。また、「リンクプロテクションガイドラインは、MPAAなどコンテンツホルダーからの支持を得ている」と付け加えた。
今後のロードマップに関しては、拡張ガイドラインとリンクプロテクションガイドラインを内包したガイドライン 2.0の発行を目指していく。南方氏は「ガイドライン 2.0はリンクプロテクションガイドラインに並行して議論を行なっている」とし、「現在はユースケースに沿って、複数のグループに分かれて主要案を検討している」と語った。
なお、ガイドライン 2.0は複数フェイズに分かれて発行が行なわれる見通しを示し、「第1フェイズのガイドラインは2007年中をに発行できると考えている」と述べた。その上で同氏は「デジタルコンテンツの世界で、ユーザーが簡単に接続可能で使いやすく、期待通りのサービスが実現できるよう今後もガイドラインの展開を進めていく」とした。
■ 異なる機器で同一のユーザーインターフェイス利用実現もDLNAで検討
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インテルの阿部氏
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最後に登壇した阿部氏は、デジタルホームマーケットの現状と今後を交えながら、DLNAの重要性を説明した。同氏は「音楽配信サービスの普及によって幅広いユーザーにデジタルコンテンツ配信が定着しつつある」と発言。次いで、動画配信サービスに関しても「日本ではGyaOやYouTubeなどの登場で、アクティブユーザー数が月間600万人以上に達している」と語った。
こうしたデジタルコンテンツの普及によって阿部氏は、「家庭内にコンテンツが蓄積され、それを活用したいというニーズが高まってくるのは当然の流れ」と指摘する。さらに「ブロードバンドが世界的に普及することで、ネットワーク対応機器が増えていく」と語り、「DLNAに対応した製品では家庭内にあるコンテンツを気軽に活用できるようになる」とした。なお、DLNAの認証プログラムを取得した製品は110にのぼるといい、「2007年はさらに対応製品が増えていくのではないか」と見通しを示した。
その上で同氏は、「家庭内のさまざまな場所でコンテンツが楽しめるようになると、ユーザーリテラシー向上とともに、より良いサービスを受けたいニーズが高まってくる」とコメント。「今後、各社はサービスやコンテンツの拡充に加えて、ユーザーインターフェイス(UI)が重要な差別化ポイントになるのではないか」と述べた。
阿部氏は「どのUIが良いかを選ぶのは最終的にはユーザー自身。DLNAでは将来のガイドラインにおいて、ユーザーが選んだUIを各種機器でリモート適用できる技術を検討しているところだ」と発言した。
また、DLNAの啓蒙活動の取り組みの1つとして、個人向けWebサイトを紹介。DLNA対応機器を利用した際のイメージをFlashアニメーションなどで例示しているほか、認証プログラムを取得した機器の検索も可能だという。最後に阿部氏は「DLNAでは今後もPC、家電、コンテンツ業界を横断して、グローバルな活動を継続して行なっていく」考えを示した。
■ URL
CEATEC JAPAN 2006
http://www.ceatec.com/
Digital Living Network Alliance
http://www.dlna.org/
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(村松健至)
2006/10/05 19:46
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