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【CEATEC JAPAN 2005】
DLNA講演、「認証プログラムの開始で市場の信頼性確保と拡大を図る」

松下電器産業の安部氏

Guideline 1.0におけるユースケース
 幕張メッセで開催中のCEATEC JAPAN 2005で7日、「相互接続するホームネットワーク商品を実現するDLNAのテクノロジー」と題したカンファレンスが開催された。

 DLNA(Digital Living Network Alliance)は、家電やPC、モバイル機器などの主要機器メーカーで構成された業界横断的な非営利団体。異なるメーカーの機器間でデジタルコンテンツを共有できる家庭内ネットワークでの相互接続性実現を目指している。

 冒頭登壇した松下電器産業の安部美乃夫氏によれば、DLNAの設計ガイドライン策定プロセスは「ユースケースの創造」「技術要求仕様の確定」「設計ガイドラインの策定」の3段階に分かれているという。まず、ユースケースに関しては、「ユーザーにとってわかりやすいものに目標を絞り、既存の標準技術でカバーできるものを選択した」とのことで、「最初のガイドラインである『DLNA Home Networked Device Interoperability Guidelines Version 1.0(Guideline 1.0)』では、限定されたユースケースが選択された」とした。

 ユースケースの決定後は、それに基づいた技術要求仕様の確定を実施。「IEEE 802.11やUPnP、HTTPなど既存技術を採用するとともに、トリックプレイなど一部機能に関してはDLNA HTTP拡張機能などを利用して実現している」という。

 また、メディアフォーマットについて安部氏は「JPEG、LPCM、MPEG-2を必須項目に、それ以外のフォーマットをオプションに設定している」とコメント。一方で、メディアフォーマットはプロファイルに応じて複数の名称やパラメータが用意されている。このため、DLNAでは「プレーヤー側では再生コンテンツのフォーマットに関する全パラメータの完全サポート」を規定し、サーバー側では「ガイドラインにあるパラメータをサポートする」ことを規定したと説明した。

 安部氏は、「これらによって策定された設計ガイドラインは、業界標準規格における曖昧さの是正、ユーザーの利便性向上を目的とした機能拡張、必須項目と選択項目の明確化などといった内容が盛り込まれている」と説明。その上で、9月28日に開始した認証プログラムを通じて、「市場の信頼性確保とマーケットの拡大を図っていきたい」とした。


ユースケースに基づいて技術要求仕様を抽出していく メディアフォーマットの規定について

派生製品での認証プログラムは書類手続きでの対応も検討

ソニーの富樫氏
 続いて、ソニーの富樫浩氏からDLNAの認証プログラムとこれまでの経緯が述べられた。DLNAの認定の考え方として同氏は「仕様適合テストと相互接続テストを経て、DLNAに準拠した製品であると認定している」という。

 仕様適合テストについては、「DLNAメンバーであれば自由にダウンロード可能なテストツールを使用して、必須項目に関するチェックができる」とコメント。また、「DLNAでは相当の部分をUPnPに頼っているため、UPnP認証を義務づける」とともに、「無線LAN機能を搭載した製品では、Wi-Fi Allianceの認証も取得する必要がある」とした。

 相互接続性テストに関して富樫氏は、「中立的な第三者機関で実際に機器を接続して、テストを行なう」と説明。実施場所については、「現在は米国のニューハンプシャー大学付属のInterOperability Laboratoryで実施しているほか、11月には日本でも神奈川県横浜市にあるXXCAL JAPANでも開始される予定だ」と語った。また、DLNA認定を取得した製品については、メーカーから許可が得られれば、DLNAのWebサイトでも情報が公表される。

 DLNAの認定プログラムに関しては、「オンライン上で管理が可能で、テスト状況も確認できる」という。富樫氏は「合格した場合には問題はないが、もし合格しなかった場合には事務局を通じて意見することが可能だ」とした。また、1度認定を受けた製品をベースに機能追加をした製品や機能を削除した製品に関して、「書類審査のみで認定を得られる仕組みの導入も検討している」とコメント。加えて、「DLNAに関する機能が変更された場合でも、容易に認定手続き手続きができるように手配していきたい」とした。

 また、DLNAの認定プログラム開始に伴って終了した「Designed to DLNA Guidelines(D2G)」に関しても言及。富樫氏は「2004年9月に開始したD2Gは、正式な認証プログラムを導入する前段階で、Guideline 1.0に基づいた製品の相互接続性とマーケティングの機会を可能にするもの」と語り、「D2Gを実施することで、認定プログラム開始前に独自にDLNA対応を謳った製品が結果として相互接続できない問題を回避できた」と付け加えた。


認証プログラムの考え方 DLNAのテストラボ。今後も順次拠点を拡大していくという

テストツールによるテスト項目数と所要時間 認証試験用テストヘッド。無線LAN機能を持つ場合には、有線/無線双方でチェックが行なわれる

 D2Gのプラグフェスト(接続テストイベント)は日本や米国、韓国などで複数回行なわれ、富樫氏は「各社の担当者が持ち寄った製品を1対1の総当たりで対戦させた」とコメント。「判定は難しかったが、各社が納得するすべての項目を入れて、D2Gと名乗って良いか判断していった」という。また、D2Gついては「標準化団体が実施するプラグフェストではイベントだけで完結してしまい、団体側に得られる情報がなにもない場合があった」という。

 このため、「1対1の対戦結果を記録して、問題を詰めていった」とコメント。富樫氏は、「参加メーカーとしては、プラグフェストで認定が得られればDLNAを謳えることから、問題が発生した場合には目の色を変えて議論をし、解決策を捜していった」と当時を振り返る。こうした施策によって、「D2Gは正式な認証プログラムが開始されるまでに大きなフィードバックが得られ、相互接続性を向上する修正も実施できた」とコメント。これにより、「発行時と比べて現在のGuideline 1.0は完成度が上がっている」として、富樫氏は「D2Gは非常に効率的なシステムだった」と認識を示した。


D2Gに参加したデバイス数 同イベントで挙がった問題点も修正が行なわれたという

モバイル機器への対応も見据えたGuideline 1.5は2005年冬に発行を予定

Wi-Fi Alliance Greg Ennis氏
 カンファレンスには加えて、Wi-Fi AllianceのGreg Ennis氏も出席。Wi-Fi Allianceの活動紹介とDLNAとの協力関係に関して説明があった。Greg Ennis氏は、「Wi-Fi AllianceとDLNAの双方は、無線LAN環境においてDLNA認定製品が問題なく動作するように協力関係を深めている」とコメント。

 同氏は「Wi-Fi Allianceの認定製品であれば、アプリケーションレベルでの相互接続性は確保されている」とした。その上で、今後もDLNAとの協力関係を継続する考えを示し、「新しいGuidelineが発行された場合にも支援していきたい」と述べた。

 最後に松下電器産業の安部氏から、DLNAの今後について説明が行なわれた。安部氏は「メディアフォーマットはまだまだ数が少なく、オプションとしてフォーマットを取り込んでいきたい」考えを示した。

 また、2005年冬に発行を予定しているというGuideline 1.5について安部氏は、「ネットワーク越しにサーバーとプレーヤーを操作できるリモコンやプリンタといった、よりスマートなネットワーク機能を盛り込みたい」と説明。加えて、携帯電話やPDAといったモバイル機器を盛り込めるよう内容を拡大する予定だという。

 Guideline 1.5で扱う具体的なユースケースに関して、「機器間のアップロード、ダウンロード機能」「HDDに保存したコンテンツをテレビなどに表示」「リモコン機能を付与したデバイスを使って、サーバーとプレーヤーを制御できるケース」を考えているという。このほか、「モバイル機器にダウンロードしたコンテンツを友人宅など別の場所で楽しめるような利用方法も考えている」とした。

 なお、カンファレンス終了後に行なわれた質疑応答では、電力線や同軸ケーブルを利用したネットワーク下におけるDLNAについての質問があった。この点に関し、安部氏は「将来的な候補としては挙がっているが、現時点では決まっていない」という。ただし、「あくまでDLNAではIPプロトコルをベースにしたもので、IPプロトコルに対応した物理層であれば基本的に利用できる」とした上で、「Guidelineで推奨・規定する点については、これからの議論になる」と回答した。


Guideline 1.5でのユースケース 携帯電話をリモコンとしたDLNA対応機器の利用イメージ

関連情報

URL
  CEATEC JAPAN 2005
  http://www.ceatec.com/
  Digital Living Network Alliance
  http://www.dlna.org/

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(村松健至)
2005/10/07 17:43
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