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【Web2.0 EXPO】
ミクシィ笠原氏「API公開でmixi内のサービスをユーザーが開発可能に」

 Web2.0 EXPOの第1日目には、ミクシィの代表取締役社長である笠原健治氏が「SNSの現状と今後の可能性」と題し、同社のSNS「mixi」の現状や今後の展開について語った。


日本ではmixiが圧倒的なシェア。モバイルSNSも普及が進む

ミクシィの笠原健治代表取締役社長
 笠原氏ははじめに、海外を含めたSNS市場におけるmixiの現状を説明。comScoreのデータによれば世界におけるSNSのPV数ではMySpaceが1位、Orkutが2位、Facebookが3位となり、10位のmixiと1位のMySpaceでは「5~6倍近いPVの差がある」(笠原氏)。一方で収益面では「2007年のFacebookの収益は1.5億ドルだったという記事を読んだが、mixiは今期の目標を97億円に設定している」とコメント。「PVでは大きな差があるが、収益面で見ればmixiはうまくいっている」との考えを示したほか、「comScoreには携帯電話からのPVが含まれていない数字だ」と補足した。

 海外ではMySpaceやFacebookといった大型のSNSに加え、ビジネス向けや学生向けのSNSなど多くのSNSが登場している一方、日本ではインターネット白書のデータによればSNSの利用者の87%がmixiを利用している状況にあると笠原氏は説明。また、携帯電話の通信速度や性能の向上により、日本ではモバイルSNSの普及が進んでいるとの違いを示した。

 mixiのユーザー数は11月7日現在で1,240万人。PVは9月末現在の数値でPCが59.2億PV、モバイルが63.2億PVの合計122.6億PVで、モバイルのPVがPCを上回った。3日以内にログインするアクティブ率は60%と、mixiが当初誇っていた7割を下回る数値になっているが、笠原氏は「ユーザー数が巨大になり、サービスも開始してから3年経過した中で徐々に数値が下がっていくのは仕方ない」とした上で、「とはいえ60%というのも十分に大きい数字。また、3日以内のログインという条件は他のアクティブ率調査よりも厳しい設定だろう」とコメント。「このアクティブ率を維持もしくは向上に向けて取り組んでいきたい」とした。


海外SNSとの比較 海外と日本でのSNS市場の違い

mixiの現状 ユーザー属性

「ネット上で人と人がつながるアクティブなSNS」を目指したmixi

笠原氏が考えるmixi成長の要因
 mixi成長の要因として笠原氏は「SNS自体の斬新さ」「コミュニケーション機能を最重視」「UGC(User Generated Content、ユーザー作成コンテンツ)隆盛」「ネットワーク外部性」の4つを挙げて説明。「今でこそ一般化したSNSだが、2004年は風変わりなサービスだったのではないか」とし、「mixiはネット上でリアルな人間関係を再現するだけでなく、人と人がつながっていくアクティブなSNSを目指した」とコメント。「ブログやSNSといったCGMが一般化したことや、それがメディアに取り上げられたことも後押しした」とし、「人が集まれば集まるほど価値が高まるネットワーク外部性によって、指数関数的にユーザーが伸びていった」とした。

 また、mixiの存在により「時間と空間を超えて手軽にコミュニケーションできる機会を創出」「毎日生み出される日記やコミュニティによるクチコミ情報で、生産者と消費者の情報格差を解消できた」と説明。また、「mixiのTOPページは1,200万人それぞれ必要な情報が並んでいるというカスタマイズされた世界」とし、「こうしたユーザーごとにカスタマイズされたメディアサービスとしてもmixiはよいポジションを取っていきたい」との意欲を示した。

 収益面では1,200万人のユーザーと120億のPVを持つメディア力を生かした広告展開に加え、性別や年齢、居住区といった属性に応じたターゲティング広告、公認コミュニティを利用したクチコミメニューなどを展開。公式コミュニティでは先日エースコックがmixiコミュニティの意見を反映したカップヌードルを発表したほか、映画「ファンタスティック・フォー」の動画を日記に表示できるといった動画メニューも展開。「かなりの好結果で、クライアントからも高い評価をいただいた」とした。


mixiが生み出した社会的な価値 mixiの広告メニュー

APIの公開によってmixiで利用できるアプリケーション開発が可能に

mixiの考えるAPI公開
 今後のmixiの展開については、「コミュニケーションのプラットフォームを目指しており、今後もそれは続ける」とした上で、新たな2つの方針として「APIによる開発プラットフォームの提供」「文化の情報化」の2つを発表した。

 API提供に関してはGoogleの発表したSNS情報参照の共有規格「Open Social」への参加も表明しており、プロフィール情報やリンク情報といったmixi内のデータをサードパーティーへ公開。また、開発環境はプラットフォームの提供により、mixi内で利用できるアプリケーションをサードパーティが開発することも可能だという。笠原氏は「期待しているのはmixi内で利用できるアプリケーション開発」とし、「日記やコミュニティを超えるような新たなmixiのサービスを作ってほしい」と期待を示した。

 APIの積極公開に至った背景としては、「ユーザーが1,200万を超えてニーズも多様化しており、APIを公開することでユーザーが本当に欲しい機能やサービスを作れる環境が必要だと考えた」。また、「自分が作ったものには愛着があるもの。アプリケーションの開発者も、自分が開発したアプリケーションが広まっていけば嬉しいだろう」とし、「ユーザーと一緒になってmixiを盛り上げていけるような柔軟で使い勝手のよいプラットフォームにしていきたい」との考えを示した。

 もう1つの展開である「文化の情報化」に関しては「自分の考えではなく大学の先生が言っていたことだが」と断った上で、「インターネットによってYahoo!やGoogle、mixiなどが登場し、それによって社会の情報化が進んだ」と説明。「今後は音楽や映像、地域コンテンツといった文化が情報化されてネットの上に集まってくるだろう」との考えを示し、「mixiはそうした情報が集まるプラットフォームの1つになりたい」とコメント。「人間関係を中心としたコミュニケーションインフラの上にアプリケーションやサービス、コンテンツが乗り、それがしっかりとパーソナライズ化できるような世界を作っていきたい」とした。

 また、mixiや就職情報サイト「Find Job!」以外の新しいサービス展開も視野にあるという。「インターネットは非常に巨大でなプラットフォームで、まだまだいろいろなチャンスがある」とした笠原氏は「mixiやFind Job!にこだわらず、チャンスがあれば新しいサービスにも取り組んでいきたい」とした。


関連情報

URL
  Web2.0 EXPO
  http://www.cmptech.jp/web2expo/

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(甲斐祐樹)
2007/11/15 18:51
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