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【人とくるまのテクノロジー展2008】
電気自動車や車内マルチメディア、カーナビ向け技術などが登場

 5月21日から23日まで、神奈川県横浜市みなとみらい21のパシフィコ横浜にて社団法人自動車技術会が主催する「人とくるまのテクノロジー展2008」が開催されている。BB Watchでは、同イベントで出展されている情報通信技術などを中心にレポートする。





「R1e」や「i MiEV」など実用化が近い電気自動車が出展

R1e
 富士重工業(スバル)ブースでは、現在開発中の電気自動車「R1e」を出展している。R1eは、同社が販売している軽自動車「R1」をベースとした電気自動車で、現在共同開発パートナーである東京電力の営業者として利用されており、2009年には日本国内で年間100台規模での販売を開始する計画を明らかにしている。

 また、R1eにはスバルが開発している車両の遠隔サポートシステム「スバル・ユーザー・コミュニケーション・システム」を搭載。CANによる車内LAN経由で収集された情報を携帯電話網を通じて送信し、専門技術者が直接情報を分析して、電気自動車の不具合解消や性能・品質向上を図れるとしている。

 なお、スバルは軽自動車の開発・生産について将来的に撤退することを明らかにしており、R1eについては「電気自動車としての航続距離や需要、コストなどを鑑みてR1を採用している」としたうえで、「電気自動車技術の開発は継続して行なうが、今後どのような車種で採用するか未定」としている。


インパネなどの内蔵はR1とほぼ同一
R1eの概要

スバル・ユーザー・コミュニケーション・システムの概要 スバル・ユーザー・コミュニケーション・システムの画面デモ

i MiEV
 三菱自動車工業ブースでは、現在開発中の電気自動車「i MiEV(アイミーブ)」を出展している。i MiEVは、同社が販売している軽自動車「i(アイ)」をベースとした電気自動車。2007年より東京電力や北海道電力、沖縄電力など電力会社6社向けに提供し、営業者としての利用などを通じた実証走行試験を実施している。

 三菱自動車は、2007年に開催された「東京モーターショー 2007」にて、i MiEVをベースとしたコンセプトカー「i MiEV SPORT」を公開。あわせて電気自動車向けの高速PLCを利用して電気自動車をネットワーク接続する技術コンセプト「MiEVコミュニケーションシステム」を公開している。i MiEVでの採用については、「MiEVコミュニケーションシステムはあくまでコンセプトなので、市販段階では搭載されない」としたうえで、「同様の技術の搭載については、今後も引き続き検討していく」としている。


i MiEVに搭載されているモータとリチウムイオン電池 モーターをiのエンジンルーム内に搭載しているため、リアラゲッジはiと同等

フロントボンネット内もiと同様 i MiEVの概要


URL
  スバル
  http://www.subaru.jp/
  三菱自動車工業
  http://www.mitsubishi-motors.co.jp/

関連記事
【第40回東京モーターショー 2007】
三菱自、高速PLCでネットワークに繋がる電気自動車「i MiEV SPORT」





IDB-1394に準拠したLSIなど、車内マルチメディア向け技術が出展

MB88388Aを搭載した基盤
 富士通は、マルチメディア情報向けの車載ネットワーク規格「IDB-1394」に準拠したコントローラLSI「MB88388A」と「MB88389」を出展している。いずれも、2007年12月にサンプル出荷を開始している。

 IDB-1394は、IEEE 1394をベースとしてビデオやオーディオなどマルチメディアデータの高速伝送向けに策定された車載ネットワークの国際規格。今回出展しているコントローラLSIのうち、「MB88388A」はDVDやデジタルテレビなどの映像伝送向けに、富士通研究所が開発しIDB-1394で採用されているコーデック「SmartCODEC」を搭載。RGBやYUVサイズの映像を低遅延かつ高画質で伝送できるほか、世界で初めてカーナビゲーション映像がIDB-1394で利用可能になるとしている。また、「MB88389」はオーディオ専用のコントローラLSIとなる。

 いずれも、IDB-1394に準拠した物理層/リンク層機能を内蔵しており、データ転送速度は100/200/400Mbpsをサポート。著作権保護技術としてDTCPを搭載しており、同時に2つのストリームの暗号化と復号化が可能だという。また、これらの機能を1チップに集積しており、実装面積の縮小や低消費電力化が図れるとしている。

 このほか、富士通ブースではカーナビ向けシステムLSI「MB86R01」を出展している。サンプル出荷は2007年より開始しており、2008年内には搭載製品が市場に登場する見込みだ。「AMB86R01」は、CPUコアに「ARM926EJ-S」を採用し、DDR2 SDRAMのメモリに対応。RGB/YUVでの2D/3Dグラフィック、CANやMediaLBといった車内LANのほか、USB 2.0、SDカード、IDE 66、I2Sなどの各種インタフェースを搭載。これらを1チップに集積しており低コストでの車載端末システムの構築が可能だとしている。


MB88388A、MB88389の概要 MB88389とMB88389を利用した車載システムのデモ

MB86R01の概要 MB86R01を利用した車載システムのデモ

 東芝ブースでは、200年に展開予定としているSDカード向けの著作権保護技術を利用したデジタルコンテンツ利用システム「SDConnect」を出展している。

 SDConnectは、CPRMに準拠したSDカード向けの著作権保護技術「SDSD-CPRM」を採用してデジタルコンテンツを利用可能とするシステム。SDSDホストコントローラとSDSDホストコントローラドライバソフトを利用することで、通常のSDカードでコンテンツの運用が可能だとしている。あわせて、自動車向けの応用例を参考出展しており、PCで購入したコンテンツのカーナビHDDへの保存、カーナビHDD保存コンテンツのバックアップ、カーナビと携帯電話とのBluetooth接続によるコンテンツ管理、といった利用例を紹介している。


SDConnectの概要 SDConnectの自動車への応用例


URL
  富士通
  http://jp.fujitsu.com/
  東芝
  http://www.toshiba.co.jp/




カーナビ向け技術では、地図更新に関連した技術が出展

ホンダブースの新フィット
 カーナビゲーションに関連した技術では、本田技術工業(ホンダ)がナビゲーションシステム「Hondaインターナビ・プレミアムクラブ」で採用した地図更新サービス「スマート地図更新サービス」を出展している。同機能は、2007年10月に販売開始したコンパクトカー「フィット」向けの「Honda HDDインターナビシステム」より採用されている。

 「スマート地図更新サービス」は、有線やBluetoothでカーナビに接続した携帯電話を経由して新規開通した主要道路のデータを差分データとして配信する「新規道路データ配信」と、専用DVDを利用してカーナビ利用中でもバックグラウンドで更新できる「スマート全地図更新」を用意。「新規道路データ配信」では利用頻度が高く、交通ネットワーク上重要な道路を開通と同時に配信する「主要道リアルタイム地図更新技術」を採用している。


スマート地図更新サービスの概要 フィット向けHonda HDDインターナビシステム

 また、日立製作所ブースでは現在開発中の「カーナビ向け車載地図データ差分更新技術」を参考出展している。この技術は、カーナビの地図データ更新時のデータを最小限に抑え、携帯電話やPCを利用して容易に地図のデータ更新を可能にするもの。日立では、グローバル市場をターゲットとして次世代地図データ形式の開発や地図更新の仕組み作りに取り組むとしている。なお、実用化の時期や採用メーカーなどは未定だという。


カーナビ向け車載地図データ差分更新技術の概要 カーナビ向け車載地図データ差分更新技術のデモ画面


URL
  本田技術工業
  http://www.honda.co.jp/
  日立製作所
  http://www.hitachi.co.jp/

関連情報

URL
  人とくるまのテクノロジー展2008
  http://www.jsae.or.jp/expo/

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(大久保有規彦)
2008/05/21 18:55
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