Broadband Watch logo
【 2009/10/09 】
【 2009/10/08 】
【 2009/10/07 】
【 2009/10/06 】
【 2009/09/24 】
リンクシェアの提携企業が本音で語るアフィリエイトの展望と取り組み

 リンクシェア・ジャパンの会社設立シンポジウムでは、アフィリエイト提携企業を迎えたパネルディスカッションが開催された。アップルコンピュータの菊永満氏、ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)の中村荘秀氏、上新電機の前川俊昌氏、千趣会の菅原正敏氏、バンダイネットワークスの守屋英一郎氏が出席、アフィリエイトの展望や取り組みなどを紹介した。


アフィリエイトに対する提携企業の取り組み

左からリンクシェアの花崎茂晴社長、前半の進行を務めたリンクシェアの梅村敦子氏、アップルコンピュータの菊永満氏、GDOの中村荘秀氏
 アップルコンピュータはアフィリエイトプログラムを2004年7月より開始。菊永氏は「まだまだ成長過程でチーム一同頑張っているところ」とした上で、「アフィリエイトプログラムのスタート時には社内的にも議論があったが、きちんとしたサイトを運営しているユーザーやアップルのファンがブランドを汚すことはないと、個人サイトでも信用して提携している」との方針を示した。

 GDOは、ゴルフ用品の販売と予約サービスをメインに展開するサイト。アフィリエイトは今のところゴルフ物販のみだが、今後はゴルフ場予約などにも範囲を広げ、アフィリエイトを強化していく方針だという。

 上新電機は、1995年にサイトを開設し、1996年からショッピングサービスをスタート。前川氏によれば「当初は泣かず飛ばずの状態が続いたが、ここ数年で急激に成長」しており、現在は売上の35%がアフィリエイトサイトからの訪問によるものだという。前川氏は「アフィリエイトのうち、その1/3くらいが、2回目以降も上新電機で購入してくれるユーザーではないか」と語ったのち、「35%ともなるとリンクシェアに支払うお金もばかにならないので、どうやって抑えようか考えているところ」とコメント、会場の笑いを誘った。

 千趣会は、本業のカタログとは関係ないビジネスモデル構築を目的としてインターネットやパソコン通信でプロジェクトを推進。2月22日からは個人向けのアフィリエイトプログラムも開始している。菅原氏は「ベルメゾンという千趣会のカタログのブランドを、いかにシナジー効果を上げながらインターネットでブランディングしていくかを考えている」と、ネット展開のコンセプトを語った。

 バンダイネットワークスは、ショッピングサイト「ララビットマーケット」や携帯電話向けショッピングサイト「バンダイキャラストア」を運営、有料課金会員430万人を保有する。デジタルコンテンツについては、取り扱い会社がバンダイチャンネルと異なるものの、「ガンダムなどの動画配信も会員が伸びているので、アフィリエイトも有効ではないか」との考えを示した。


アフィリエイトへの取り組みを○×形式で質問

 パネリストの自己紹介の後は、リンクシェア・ジャパンの花崎茂晴社長が進行を担当。パネリストに対して、○×クイズ形式でアフィリエイトに関する取り組みを質問。

 最初の質問「アフィリエイトよりキーワード広告のほうが好きだ」には、GODのみ「○」と回答。GODの中村氏は「現在はSEO対策が遅れているため、その補完としてキーワード広告を使っている」と説明。「今は5:1でキーワード広告が多いが、今後はアフィリエイトに力を入れていきたい」と語った。

 「Yahoo!と楽天にこれ以上トラフィックが集中するのは正直マズいと思う」との質問には、千趣会のみ「ビジネスモデルも違うし、1つのポータルが統一することは悪いことではないのでは」と×回答。それ以外の4社は「自社サイトを充実させたい(上新電機)」「正直あまり売上が伸びておらず、アフィリエイトのほうがシェアが大きい(バンダイ)」と、いずれも回答に○を付けた。

 「アフィリエイターとのコミュニケーションは密に取れているという自信がある」との質問には、上新電機が○で回答。花崎氏が「阪神タイガース優勝時、星野監督の背番号7にちなんだ7%還元を優勝が決まった瞬間に展開したところ、キャンペーン以降もアフィリエイトが伸びた“伝説の星野事件”があった」という上新電機の取り組みを紹介した。

 「アフィリエイターがECサイトに何を求めているかよく理解している」との質問には、アップルが「コミッションでしょう」と即答。「アップルもコミッションはそれほど高くなく、アマゾンも同じ製品を扱っていながらコミッションレートが違っている」との課題を示した。一方,「アフィリエイターへのコミッションは十分に足りていると思う」との質問には、アップルと千趣会が「○」と回答。「先ほどの課題と矛盾しているのでは?」との花崎氏の指摘にアップルの菊永氏は「アフィリエイトは継続することが大事。継続するためには今のコミッションが適正だと思う」と補足した。


「携帯コマースはPCコマースを超える」との意見も

 「リアルとアフィリエイトの連携は非常にうまくいっている」との質問には、全員が「×」と回答、上新電気の前川氏は「アフィリエイトは既存の店舗がないエリアで効果が高い」と説明した。続く「個人アフィリエイターとの提携はリスクが高いと思う」の質問に、個人向けアフィリエイトを開始したばかりの千趣会は「個人ユーザーは大きなエネルギーを持っている。収入の大きい法人向けアフィリエイトも大事だが、我々の商品を理解した上で紹介し、長いお付き合いをできるお客さんを連れてきてくれるサイトが嬉しい」との考えを示した。

 「携帯コマースはいずれPCコマースを超える日が来る」との質問には、上新電機とバンダイが○で回答。バンダイの守屋氏は、同社のNTTドコモ向け公式サイトのうち、11サイト中8サイトでFOMAの利用率がPDCより高かったという事例を紹介し、「ユーザー数では1/4以下のFOMAのユーザーの方がサイトへのアクセス数が多く、今後は定額制によって携帯電話を使ったショッピングが普及するのではないか」と語った。また、上新の前川氏は「携帯サイトでは実際の店舗から価格を比較してもらえる。定額制の携帯電話が増えることで、今年がECの元年になるのではないか」との考えを示した。

 「ブログの浸透がeコマースを変える!と思う」との質問には、千趣会が「ブログをあなどっている訳ではないが」と前置いた上で、「ブログは参加しやすいが、やりたくなると結局はホームページを作るのではないか。ブログは最終形ではないと思う」とコメント。最後の質問には「やっぱり一個人として楽天で買ってしまうことがある」には、上新電機と千趣会のみ×と回答し、花崎氏は「コメントをお聞きすると角が立ちそうなので……」とコメント、ディスカッションを締めくくった。


関連情報

URL
  リンクシェア
  http://www.linkshare.ne.jp/

関連記事
米LinkShare CEO「アフィリエイトはインフラとして改革を続ける」
千趣会ベルメゾンネットが個人向けアフィリエイトプログラムを開始


(甲斐祐樹)
2005/03/01 20:23
Broadband Watch ホームページ
Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.