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ESS-IDや電波状況、暗号化の状態まで表示できる無線LAN探知機


 Canary Wireless社から発売されている「The Digital Hotspotter(HS10)」は、IEEE 802.11b/gの無線LANネットワークを検出して表示する、いわゆる無線LAN探知機だ。本製品が既存製品と大きく異なるのは、単に無線LANネットワークを検出するだけでなく、ESS-IDや暗号化状態の表示にも対応していることだ。


ノートPCを起動せずに、手軽に無線LANネットワークの有無を確認

「The Digital Hotspotter」。2.4GHz帯(11b/g)に対応した無線LAN探知機。実売価格は8,800円とリーズナブル

ブリスターパッケージ。裏面に説明が書いてあるほかは、保証書などの類は何もないシンプルな仕様。電池が付属している
 本連載の第1回で無線LAN探知機「Wifi Finder」を紹介したのは1年ちょっと前。それから今日まで、公衆無線LAN網はますます拡がりを見せている。スポット自体の数も増え、相互乗り入れも進んだことから、一時期に比べ実用的になってきた印象だ。

 外出先に勝手知ったるホットスポットがなく、エリアマップもないような場合、コンパクトな無線LAN探知機は非常に便利なアイテムだ。いちいちノートPCを立ち上げて検索しなくても、手軽に無線LANネットワークを発見できるからだ。未知の無線LANネットワークを探す場合だけでなく、例えばホットスポットサービスが受けられる喫茶店内で、できるだけ電波状態の良い座席を探す場合にも便利である。

 今回紹介する「The Digital Hotspotter」は、そんな無線LAN探知機のニューフェイスだ。本体はタバコの箱よりひとまわり小さな程度。「Wifi Finder」よりはかなりコンパクトだ。ただし厚みが若干あり、気軽に胸ポケットなどに入れるには厳しい。形状も重量級の携帯電話のおシリを切り落としたような、ずんぐりむっくりした特徴的なフォルムである。

 本体前面にはボタンが1つ、そして液晶画面のみというシンプルさ。ボタンをプッシュすると電源が入り、同時に無線LANネットワークの検索が開始される。無線LANネットワークが見つかると、液晶画面に情報が表示される。別の無線LANネットワークを探したければもう1度ボタンを押して再検索するという、単純明快な操作性だ。ボタンを押さずに30秒放置しておくと自動的に電源が切れるので、電池を不用意に消費する心配もない。


第4世代のiPodとサイズを比較してみたところ。表面積はかなりコンパクト 電源は単4電池2本。ボタン型電池より入手しやすい点は評価できるが、本体の厚みを増す要因にもなっている

ESS-IDや暗号化の状態、チャネルなども表示可能

本体にはボタンが1つと、液晶画面だけのシンプルな仕様。30秒間操作しないと電源がオフになる。本体上部にはストラップなどを通せるすき間がある
 本製品の大きな特長は、無線LANネットワークの存在をLEDで知らせる他製品と異なり、ESS-ID、暗号化の状態、チャネルなどの無線LANネットワーク情報まで液晶画面に表示できることだ。

 表示される項目は、ESS-ID、電波強度、暗号化(WEPおよびWPA)の有無、チャネルの計4つ。例えば、ESS-IDが「MYNETWORK」で、暗号化はオン、チャネル6を使っている無線LANネットワークだと、以下のように表示される。

 MYNETWORK _ Secure Ch:6

 アンダーバーの部分は、電波強度がアンテナ風に4段階表示される。また、ESS-IDが不可視になっている場合は、ESS-IDの部分に「Cloaked」と表示される。液晶画面は12文字までという制限があり、それを超えた場合はスクロールしながら表示されるという仕様だ。

 液晶が1行しかないため、複数の無線LANネットワークを同時に表示することはできない。ボタンを押せばすぐ別のネットワークに切り替わるためそれほど気にはならないが、周囲にいくつもの無線LANネットワークがある場合、目的のネットワーク情報を表示させるために何度もボタンを押す必要があり、手間と言えば手間だ。現在のエリアに無線LANネットワークがいくつ存在するのかくらいは表示してほしいところだ。


無線LANネットワークの情報を表示させたところ。ESS-IDがステルス状態の場合、図のように「Cloaked」と表示される。右側は電波強度を4段階で示すアンテナ WEPもしくはWPAによる暗号化がかかっていれば「Secure」、そうでなければ「Open」と表示される。チャネルも表示可能

 なお、Webサイトやパッケージには特に記載はないが、複数の無線LANネットワークが存在する場合、筆者が試用した範囲では暗号化されていないネットワークを優先的に表示する傾向があるようだ。たとえ、電波強度が最大の「4」のネットワークが存在しても、暗号化がかかっていない微弱なネットワークが存在していれば、そちらが優先的に表示された。ホットスポット検出用のツールなので当然と言えば当然だが、今すぐ無線LANネットワークに接続したいというニーズをよく心得た仕様と言えるだろう。


モバイル用途はもちろん、ネットワーク管理にも最適

 本製品のような無線LAN探知ツールの中には、PC本体のユーティリティで検索した場合と比べて検出率が著しく低い製品も存在するが、筆者が試した環境では、本製品はPC付属のユーティリティと同等か、それ以上の精度で検出を行なうことができた。せっかく利用可能な無線LANネットワークがあるのにみすみす逃してしまった、ということもないだろう。

 本来ホットスポット検索用である本製品だが、暗号化のオンオフが表示可能なことから、セキュアでない無線LANネットワークが社内に存在しないかチェックしたり、ユーザーが勝手に設置した無線LANアクセスポイントの検索など、企業のネットワーク管理者にとっても強い味方となりそうだ。チャネル表示も可能なので、周波数帯域の重複で通信速度が上がらない場合の原因究明にも役立つ。モバイルからネットワーク管理まで、さまざまな用途にマルチに対応する心強いアイテムと言えそうだ。


関連情報

URL
  製品情報(Canary Wireless)
  https://www.canarywireless.com/shop/shopdisplayproducts.asp?id=1&cat=Wi%2DFi+Detectors
  製品情報(ぷらっとホーム)
  http://www.plathome.co.jp/detail.html?scd=12400735
  Canary Wireless
  https://www.canarywireless.com/

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(kizuki)
2005/04/20 10:59
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