実はアタシ、大のビール党なんです。まあとりあえず、ビールさえ与えておけばおとなしくしてる。ビールがないと暴れだす。仕事だってビール代を稼ぐためにしてる。とまあ、そんな人生を送っております。ちなみに自由業になってすぐに、“日本地ビール協会”の「ビアテイスター」なんて資格も取っちまったくらいです。

　地ビールブームなんて言われてますが、ちょっと前までは日本にはビール会社が大手4社と沖縄のオリオンくらいしかありませんでした。今じゃ選択肢が無数にあって、アタシみたいな人間には、ホントにシアワセな時代になったもんです。が、地ビールもいいのですが、やっぱり日本人には大手4社のビールがスタンダードな味として依然として人気がありますね。アタシもなんだかんだ言って、普段はサッポロの黒ラベルばかり飲んでます。

　このサッポロは大手4社の中で味はピカイチとアタシ的には思ってるんですが、つい数年前までずっとCMで損をしてました。いろいろなタレントをあれこれ出してくるサントリーや、アタック感のある音楽でドーンと迫るアサヒに比べて、どうも華がないというか、見ている人に「おっ」と思わせるものがイマイチ欠けていた。もうちょっとカッコイイCM作ってくれよオイ、とずっと思ってたんですが、昨年とうとうやりましたね。みなさんもよくご存じの、トヨエツと山崎努が卓球やカラオケ、金魚すくいなどで戦う「Love Beer?」のCMです。ビール好きの心理をここまでうまく表現したCMがかつてあったでしょうか。「ようやくサッポロがやってくれた！」とアタシは手を叩いて喜んだもんです。

■歴代のCMが見られるサッポロのサイト

　このCMは現在まで5作品作られているんですが、アタシ的には初回の「温泉卓球編」が一番好きですねえ。ビール好きの友人と「どれがもっともいいか」と飲み屋でアレコレ議論するのも、また楽しいもんです。で、それくらい好きなCMだと、新しいのが出たら一刻も早く見たい！　「A.I.」よりも「マトリックス2」よりも、オレはサッポロのCMが見たいんだあ！　と思うのが人情です。

　ところが、CMというのはイケズなもので、見たいときにはなかなか流れない。アタシなんか「バーベキュー編」が登場するというニュースを耳にしたとき、「サッポロ提供の番組はどこじゃあ！　全然流れてねえじゃねえかあ！」とチャンネルをザッピングしまくったことを覚えてます。で、そのときふと思い出したのが、サッポロのWebサイトでした。「もしかしたら？」と急いでパソコンを立ち上げてURLを打ち込むと－－ありましたねえ、黒ラベルのサイトが。「CMインフォメーション」というメニューをクリックすると、案の定、CMの動画ファイルが見つかりました。もちろん真新しい「バーベキュー編」も。

■企業のサイト、侮りがたし！

　これは不覚でしたね。よく考えてみたら、それ以前にアタシは「サッポロネットサロン」というサッポロファンのためのサイトの会員になっていたのでした。ここを継続的に見てたら、CMサイトのことも早く知ることができたんでしょうねえ。お知らせメールもあんまり読まなかったし。きっと「企業サイトってつまらない」っていう先入観があったんでしょう。登録したまま、ずっとアクセスしてませんでした。いつの間にかこんなおもしろいサイトになっていたなんてズルイ！　と勝手に腹立ててしまいましたよ。

　以後、アタシは毎週のようにこのサイトに立ち寄ることにしてます。CMも「バーベキュー編」以降、「カラオケ編」「合戦編」「金魚すくい編」とどんどん世代が変わって、そのたびに動画ファイルも増えていきました。仮にこのCMを一度も見たことがない人がこのサイトを訪れたら、きっとカネが取れますよ。それくらい、このCMは映像作品としてのクオリティが高い。単なる宣伝ではなく、エンターテイメントとして通用するレベルです。いやはや、企業のサイトも侮れないものですなあ。

サッポロ黒ラベルのCMが見られる「Love Beer?」

サッポロファンのための「サッポロネットサロン」

■「この樹なんの樹」のCMが見られる日立のサイト

「日立の樹オンライン」では、あの懐かしいCMの歴史が分かる

　「Love Beer？」のように、それ自体が魅力的なコンテンツになるCMって結構よくありますよね。たとえば、「この～樹なんの樹、気になる、気になる」という歌でおなじみの「日立の樹」。土曜夜の「世界ふしぎ発見！」で流れているアレです。アタシが子どものころ、日曜日の夜に「すばらしい世界旅行」という番組をやっていたんですが、そこでも同じ歌が流れてました。とてつもない長寿CMなんですね。

　このCM、歌はずっと変わってないけど、絵は時代とともに移り変わってます。コレが一挙に見られたら楽しいだろうなあと思って探したらありました。日立のサイト内にある「日立の樹オンライン」というコーナーです。歴代のCMを年表形式で解説していて、動画ファイルも置いてある。アタシが見てたころの映像もありましたね。いや～ホント懐かしい。

　年表を見て驚いたのが、CMに出てくるでっかい樹、アレってずっと同じものではなかったということ。ハワイの“モンキーポッド”と呼ばれるおなじみの巨木のほか、シンガポールの“バニヤンツリー”とか、ハワイの“マンゴー”とか、歴代に渡って世界中のいろいろな樹が使われてます。もっとびっくりしたのが、初代のCMはアニメだったということですね。まあ一番メジャーなのはやっぱりモンキーポッドですけどね。そのモンキーポッドだけど、なんとこのサイトでは「日立の樹アクセスガイド」と銘打って、「モンキーポッドへの行き方」まで載っている。交通手段まで詳細に載っているんだから、これはスゴイ情報ですよ。しかも、ゲストブックまであって、かなり大勢の人が投稿しているじゃありませんか。日立の樹のファンって、結構いるんですねえ。

■CMを「コンテンツ」に昇華

思わず少年時代を思い出す文明堂の「CM年鑑」

　ほかにも同じようなCMサイトはたくさんあります。文明堂の「CM年鑑」なんかもおもしろいですね。歳のせいか、最近は懐かしいCMに弱いんですよ。あの小熊のカンカンダンスを見ただけで、親に「勉強しなさい！」と言われながら隠れてテレビを見ていた少年時代を思い出して、なんだかホロッときちゃいますなあ。こういうサイトを作るメーカーには自然と好印象を抱いてしまうもので、最近アタシが買い換えたテレビも、よく考えたら日立製でした。単純ですね、アタシも。

　逆に「このCMもネットにあるんじゃないか」と思ってメーカーのサイトにアクセスして、なかったときはガックリしますね。最近ではキムタクが出てる富士通FMVのCMが気に入っているんですけど、FMVのサイトには動画がなくて、ちょっと残念でした。その代わり製作裏話が載ってて、それはそれで楽しめたんですがね。やはりブロードバンドで接続してるアタシ的には、CMがこのサイトで見られればなあ、と。

　まあ、いずれのサイトも、自社のCMを「これでもか」というくらい突っ込んで紹介していて、それ自体をコンテンツと呼べるレベルまで昇華させています。で、こういうCMサイトを探しながらネットをさまようのもおもしろいんですが、やはりいちいち探して回るのはめんどうだと思う人も多いでしょう。「CMサイトのリンク集でもあればなあ」と当然思うわけです。へっへっへっ、ありますぜ奥さん。だけど、もう字数が足りねえや。てなわけで、CMの話、次回に続きます。