最近、衛星放送やCATVで、保険会社のCMがよく流れますよね。あれ、アタシ的にはちょっとダメなんですよ。おそらくああいう長いCMって、多チャンネル化によってCM枠に長い時間が取れるようになったから増えたんでしょうけど、「コレコレこういうことだからメリットありますよ」ってストレートに言われちゃうと、ゲンナリしちゃう。まあ、「ヨッシャー、オレは今週中に保険入るぜい! どこがいいんだコノヤロー」なんて気合の入った人にはよいかもしれないけど。視聴者の立場から言うと、せっかく番組の流れを断ち切ってまでCMを見せるのなら、目一杯、楽しませてもらいたいと思いますね。
だから、他社に比べてメリットを明確にアピールできない商品のCMのほうが、“作品”としておもしろい場合が多い。イメージで勝負してるからですね。飲料水や化粧品、タバコとか。最近はパソコンなんかもそうかな? 前回紹介したCMのサイトなんかも、その類ですね。そういう“作品”として見られるCMが、ネット上でいつでも見られる時代になったという話を前回しました。便利な時代ですね。極論かもしれませんが、今や映画館に行くよりネット上でCMをいろいろ見てるほうが、安上がりかもしれません。
■各企業のCMサイトへのリンク集
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「CM探索隊」を使えば思いもかけないCMを見つけられるかも!? |
が、まだまだ不便な点もある。いちいち各企業のサイトに行ってCMの動画ファイルがあるかどうかを探さなきゃいけないっつー点です。ここんとこ、なんとかならんのか!と思っていろいろ探しましたよ。そしたらやっぱりあるんですねえ。「CM探索隊」というサイトを発見しました。ここには、自社のCMを動画化しているサイトのリンク集が掲載されています。「食品・菓子類」とか「銀行・金融」とか、カテゴリー別に整理されていて、これはかなり使える!とコーフンしちゃいました。
こういうサイトだと、思わぬCMに遭遇できるという利点があるんですねえ。「うーん、コイケヤの『ポリンキー』も、よく見るとなかなかのデキバエだよなあ」なんて新たな発見ができる。アタシみたいなCM好き人間には、実に重宝するサイトです。掲示板もあるので、好きモノ同士で情報交換もできますね。こういうサイトが欲しかったんだよなあ、と納得のデキです。
□CM探索隊
http://www.kageroh.com/cm_searcher/
■CMのデータベースはないのか?!
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米国にある「AdCritic.com」のようなCMデータベースサイトを日本にも作ってほしい |
てなわけで、このサイトはとても画期的だと思うんですが、人間は欲深なモンで、アタシはさらなる野望を抱きました。「昔のCMが見たい!」という欲求です。まあ前回紹介した日立や文明堂のサイトには過去のCMもありましたが、どこもかしこも昔のCMをやっているわけじゃない。この他にも、未来に向けて残していきたい「文化遺産」と呼べるようなCMはたくさんあるわけです。
でも現状では、企業側がその動画データをアップしてくれなきゃ始まらない。なんかもう、水虫でカユ~イ足を、靴を履いた上から掻いてるようなもどかしさを感じてしまうんです。コレを解決するには、もはや一つのサイトにCMの動画データを“溜め込んでいく”しかないと思うんですねえ。つまり、CMの動画データベース・サイトです。どうも日本にはこの手のサイトはまだないようですが、米国にありました。「AdCritic.com」というサイトです。あちらのCMなので、どれくらい昔のものまで溜めてあるかはチト分かりませんが、少なくともこういうサイトがあれば、「あのCMをもう1回見てえなぁ~」という要求に応えられる可能性があります。
□AdCritic.com
http://www.adcritic.com/
■インターネットもCMも一期一会
CMの動画データベースをぜひ!というのは、実はアタシの中に“インターネットへの不信”というのが根強くあるからなんですねえ。インターネットというのは、コンテンツさえあれば、実に簡単に世に送り出せます。デザインを考えなければ、「HTMLエディタでチョコチョコっと書いてポイッ」てな感じですな。
が、その半面、世に送り出したサイトを“引っ込める”のもとても簡単なんですね。とにかく、サーバーにある記事を消してしまうだけで、昨日は見られたコンテンツが今日は見られなくなってしまう。これが雑誌や新聞だったら大変ですよ。紙媒体なんて一度店頭に並んだら回収なんてほとんど不可能です。この“簡単さ”が1つの魅力なんですが、ときにはクヤシィ~思いをするときもあります。皆さんも検索サイトで出た結果のリンクをクリックして、「このURLは見つかりません」という表示を見ることは多いでしょう。過去に「お気に入り」に登録したページでもそうです。ある日突然、今まで慣れ親しんだページがなくなってしまう恐怖。これは、インターネットを使っている限り、必ず付きまとうものですな。
同じようなことは“CM”にも言えますね。最近、とても悲しいことがありました。キリンビールのCMで、「カンパイ!ラガー」というやつありますよね。あれ、ヒロスエや長さんばかりが目立ちますけど、松村邦彦、伊集院光、石塚英彦が出てるのが前にあったんですよ。この3人が山盛りのご馳走を前にして「これ前菜でしょ?」なんてボケをかますというCMでした。アタシ的にはこのバージョンが一番好きなんですけど、最近めったに流れなくなりましたね。CMというのは、人気が出れば長寿になることもありますが、すぐに新しいものにとって変わられてしまうケースがほとんどです。で、突然テレビに登場しなくなると「もう1回見たいなあ」と思うものなんですね。
■ナツカシのCMに涙したい!
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参院選のときに活躍(?)した「CM-fan.net」 |
だから「AdCritic.com」みたいに、「動画CMならココで見ろ」というコンセプトのサイトを日本でも作って、どんどんCMデータを溜め込んでいってもらいたい。そういえば1カ月ほど前、イヤというくらい街頭演説がウルサかった参院選のときも、「CM-fan.net」というサイトが政党のCMを集めてましたね。ぜひ、これの企業版を作ってほしいもんです。
各企業のサーバーに動画データが分散しているよりも、このほうがずっと安全だと思うんですね。とくに動画データは、パソコンに取りこめない場合が結構多いですから。個人で保存できない以上、どこか1つのサイトが取りまとめてくれたほうがいいのではないかと。で、今度はCMサイトのほうから企業に「このCMはすごくよいッス! ぜひインターネットで掲載したいッス!」と、なぜか体育会口調で頼み込む。何年か経ったら、すごいポータルサイトになりますよ。ホント、どこかやってくんないかなあ。
まあ、もしCMに著作権がなかったら、とっくの昔に個人が作っていたでしょうけどね。でも、そもそも企業側が「このCMは加工しないで使うなら、インターネットでも何でも、自由に掲載してOKヨ~ン」とか言っても差し支えはないような気がするんですけどね。なにしろ、タダで自分とこの宣伝してくれるっつーんだから、もし自分がどこかの企業の宣伝部長だったら、「そりゃアリガタイ話だ」と思うでしょう。そんでもって、今流れているCMをある程度網羅したら、古いCMも動画データにしちゃう。
アタシねえ、昔のCMで見たいやつたくさんあるんですよ。たとえばレジー・ベネット出演の「ダッダーン、ボヨヨン、ボヨヨン」のCMとかね。あ、古いって? こういうのがよいんですよ。昔のCMを見て「あったよなあ、このCM。これが流行ったころ、あの娘にフラレたよなあ」なんて懐かしさを覚え、ホロっと涙をこぼす。それが文化というもんですよ、皆さん。
□CM-fan.net
http://www.cm-fan.net/
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