突然ですが、中森明菜の「北ウイング」って歌、ご存じですか？　年がバレますねえ。哀愁を帯びたあの声を思い出すたびに、「空港って、情緒があってエエなあ～」としみじみしちゃいます。スーツケースを持った人がウロウロしてて、外人が多くて、「アテンション・プリーズ」なんて英語で放送が流れて、とそんな賑やかな空間である「空港」をアタシはこよなく愛しています。大人になると飛行機に乗るなんてたいしたことではないけど、初めて乗ったときなんか、そりゃコーフンしてしょうがなかったですねえ。だって人間が空の上に浮くんですよ。まともに考えたらエライこっちゃです。飛び立つ瞬間なんて一大スペクタクルに思えました。

　と、そんな風に人をワクワクさせるものを「飛行機」という乗り物は持っています。航空会社勤務、なんて子どものころは憧れてましたね。パイロットもよいけど、管制官とかパーサーなんかも「カッコいいイメージ」がプンプン匂ってましたよね。今、航空会社のWebサイトを見ると、やっぱり「カッコいいなあ」と思います。まあ当然かもしれませんね。日本の航空会社の場合、サービスとか機内食のメニューとかは、エコノミークラスに乗っている限りはどこも似たようなものですから。どこで差を付けるか、というとポスターとかCMとか、イメージ的なアピールはとても重要になってくるわけです。が、デザインのよし悪しも重要だけど、最近はブロードバンドによる観光案内なども増えているようです。今回は各航空会社のサイトのブロードバンド事情に迫ってみましょう。

■ 観光地の映像がてんこもり

　まずは全日空のサイト「ANA TRAVEL NAVIGATOR」に行ってみましょう。RealPlayerかMotion Viewerのいずれかを選ぶと、メニュー画面の登場です。左に何やら静止画が9個並んでいて、右にはテレビ画面のような小窓が表示されます。左の画像のどれかを選べば、動画が始まるというわけ。これはわかりやすいですね。動画も滑らかで、かなり見やすいです。なによりも感動したのが、レポーターの人が話す言葉が、いちいちテロップで表示されること。最近はテレビのバラエティなどでテロップ表示が増えてますけど、アレは「笑いのツボを強調する」という意味合いが強くて、ちょっとウンザリしてしまうこともある。けど、この動画のテロップはレポートを忠実に文字にしているだけなので、それほど気になりません。おそらく回線が混んでいるときに、音声がプツプツ切れてしまうことを想定しているんでしょう。なるほどブロードバンド放送というのは、こういう点にも気を使うんだなあ、と感心してしまいました。そうそう、Motion Viewerというのは今回初めて体験しましたけど、結構よくできてますねえ。プラグインを使わないというのがスゴイ。初心者の中には、「プラグインをインストール？　何だそりゃ」という人だっていますからねえ。で、肝心のコンテンツですが、現在のところ「北海道」「沖縄」「ベトナム」の3カ所。沖縄では石垣島とか西表島とかの離島の穴場、そして北海道では温泉やスキー場の紹介をしています。各映像は1～2分程度で、テンポよく楽しめるようによくまとまっています。この手の観光案内って、あんまり長すぎても飽きちゃうもんね。これから次第に紹介する地域も増えていくでしょうから、期待したいですね。

■ JALのサイトも見どころたっぷり

　今度は日本航空のブロードバンドサイト「JAL Visual Collection for Broadband」に行ってみましょう。ココはスゴイですよ。JALのCM動画や観光案内、それに搭乗手続きの仕方などのハウツーものまで、ズラリと並んでいます。世界中の航空会社サイトを見て回っても、こんなに動画がたくさん収録されているサイトはなかなかないんじゃないでしょうか。感心したのは、各地の専用ラウンジ「JALラウンジ」の紹介とか、各国の入国手続きの案内まで、動画で提供していること。これはやろうと思っても、めんどう臭くてなかなかできないことですよね。

　あと、飛行機好きのために、「航空機コレクション」というコンテンツまである。「B747」とか「B767」とか「DC-10」とか、名機の数々が空を優雅に飛んでいる雄姿は、見ておいて損はないですよ。スクリーンセーバーもダウンロードできます。さらに観光案内も、金沢からハワイ、オーストラリア、マレーシア、イタリア、スペインと、まさに世界中の動画が掲載されている。さすがJAL、ワールドワイドだなあ。CMだって藤原紀香が出てるおなじみのヤツから、金城武が出てる台湾キャンペーン編、企業イメージCMまで、幅広くラインナップされている。いやあ、この充実ぶりにはとにかく恐れいります。

■ キャビンアテンダントが送る特選情報

　こんな具合にメニューがいろいろあり過ぎて、どれを見たらいいか迷ってしまうほどですが、アタシのイチオシは何と言っても、下段「スペシャルコレクション」の中の「e-crew」ですね。これはJALのキャビンアテンダントによる観光地案内や、お勧めレストランなどの情報が得られるコーナーです。スッチーですぜ、スッチー。各地を飛び回っている美しいオネーサマ方が、その地域の選りすぐりの情報を教えてくれる、すばらしいコンテンツです。ヨダレ垂らしてる場合じゃありません。とにかく見てみましょう。キャビンアテンダントが身近に思えてくること請け合いです。

　で、もしこのサイトを見て「航空会社っていいなあ」なんて思ったら、「空のお仕事」というコーナーに行ってみましょう。飛行機の運行に携わるさまざまな人の仕事内容を、動画で説明しています。客室乗務員やパイロットはもちろん、整備士や貨物の仕事まで網羅されている。アタシゃ今さら転職なんてムリですけど、これを見るとまるで自分が航空関係の仕事をしているかのような気分になれますよ。就職を考えている人や、パイロットをめざす子どもなんかにも、このコンテンツはお勧めです。よくぞまあこれだけ動画を集めたと拍手を送りたくなりますね。

■ 旅行に行く前にはコレ!!

　最後に紹介するのは日本エアシステムの「JAS Movieum」です。このサイトには、とにかく日本全国の観光案内ビデオがたっぷり詰まっています。それも、北海道とか九州とか京都とか、メジャーな観光地だけでなく、埼玉県や千葉県の情報までも載っています。ちなみにアタシの実家は埼玉なんですけど、「観光なんてするとこあんの？」と一瞬疑ってしまいました。けど、埼玉にも、寺社仏閣を中心になかなかの見どころがあるんですねえ。県名をクリックすると、「名所・旧跡」「寺社」「碑」「滝・渓谷」などジャンル別に件数が出てくるんですが、そのジャンル数は計20以上におよびます。自分の故郷の観光資源なんて、知らない人も多いんではないでしょうか。見てみると、思わぬ発見がありますよ。もちろん、長崎の「ハウステンボス」とか、札幌の「大通公園」とか、有名な観光地の情報も網羅しています。京都なんか、「寺社」のジャンルには66件も登録されていました。これだけ充実してると、1日で全部見ることなんてできませんね。今までだと、旅行に行く前にはガイドブックを買ってきて熟読してたところが、これからは「とりあえずブロードバンド!!」てな時代になるのかもしれない。それほど、国内の各航空会社のサイトからは気合が伝わってきます。動画だけでなく、どこのサイトもネットから予約が入れられたり、チケットを買えるように配慮されている。各地の映像なんか見せられた日には、VISAカードの藤井隆さんのCMみたいに、思わず「博多まで!!」と口に出してしまいそうになります。まあアタシの場合ビンボ暇なしなので、予約した後で後悔することは目に見えているんですが……。あー、休みが欲しい!!