つい最近、ちょっとしたことで「手紙」を書く必要に迫られたんですが、これがまた書くのに一苦労しました。時候の挨拶やら、もったいぶった文体とか、慣れない言葉を使うのは疲れますねえ、ホント。メールだと「手紙」という意識が希薄なせいかカンタンに書けるんですけど、「紙」を前にするとどうも緊張します。パソコンと違って「書き直しができない」っていうプレッシャーもあるし、何よりもアタシは回りくどい言い回しをあんまり好きじゃないんですね。
まあ、こういう手紙の書き方におけるルールも大切な「文化」ですから、それなりに書けるようにならないといけない、とは思いますけどね。アタシの知り合いに、仕事のメールに「拝啓」を入れなかったために取引先のお偉いさんから怒られた、なんていう人もいます。電子メールにまで時候の挨拶を入れるのはちょっとやりすぎのような気がしますが、なにせ相手はお客さまですから、黙って頭を下げる他はないでしょうな。電子メールについてのマナーは、ぜひ全国で統一していただきたいものです。
では実際にこういう礼儀正しい文章を作らなければならない事態に陥ったときにどうすればいいかというと、ちゃんと便利なサイトがネットにはあるんですね。いわゆる「文章作成支援サイト」というヤツです。書店に売ってる「スピーチ文例集」とか「手紙文例集」などをデジタル化したものなんですが、本を焼き直しただけじゃないってところがミソ。なんと、名前とか会社名とかの固有名詞を入力することで、色々なシチュエーションに合った文章をそのまま作ってくれるというサイトもあります。ただ単に文例が載っているより、こちらの方がはるかに便利ですよね。常時接続ならサイトをじっくり見ながら文章を練り込めるし、急に冠婚葬祭のイベントが発生しても安心です。ぜひお試しあれ!!
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有名ソフトのWeb版
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直子の代筆 |
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このような「文章作成支援サイト」でもっとも有名なのは、「直子の代筆」でしょうね。ご存じ、パッケージソフトで有名な同名ソフトのWeb版です。使い方はとてもカンタン。「ビジネス」「個人」「スピーチ」「冠婚葬祭」と4つのカテゴリの中から作成したいジャンルを選び、プルダウンメニューの中からシチュエーションを選択するだけです。たとえば「ビジネス」なら「お詫び」「案内招待」「依頼」などから1つを選んで、「OK」ボタンを押すわけです。
「依頼」を選んだ場合、「製造元から販売店または問屋に新製品拡販の依頼をする」だとか、「商品の委託販売の依頼」とか、さまざまな項目が出てくるので、さらにこの中から選んで「OK」ボタンを押す。すると、「新製品の名称」とか、「発売開始年月日」など、固有の情報を入力する画面が現れます。これらを入力するだけで、自動的に依頼の文章を作ってくれるという、ヒジョーにありがたいサイトなんですね。試しに、新商品「下柳石けん」を、量販店大手の「タイゾー商店」に拡販する際の文章を作ってもらいましょう。
拝啓 温暖の候となりましたが、皆様にはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、すでにご存じとは申し上げますが、このたび弊社では「下柳石けん」を開発、6月30日付けで新発売致すことになりました。当社製品が一般のお客様の間でも大変ご好評をいただいておりますのも、ひとえにタイゾー商店の皆様方のおかげであると感謝申し上げますが、この度の新製品に付きましても今まで以上に拡販にご協力いただきますようお願い申し上げます。
当面タイゾー商店の皆様におかれましては新製品はお取扱いにくいかもしれませんが、どうぞ積極販売にご協力賜りますよう重ねてお願い申し上げます。
まずは、略式ながら新製品拡販のお願いを申し上げます。
末筆ながら貴社のますますのご発展、ご活躍をお祈り致します。 敬具
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と、このような文章が瞬時にできてしまうわけですね。住所や会社名、名前などを登録すると、文章の冒頭に個別情報をきちんと入れてくれるし、しかも作成した文章の下には書く際の「ワンポイントアドバイス」まで表示されます。この場合には、「遠慮した書き方をしようとして、結局“なにを書いているのかわからない”ということになりやすいのでご注意下さい。」といったアドバイスをいただきました。ふむふむ。実に親切ですな。
しかもこのサイト、「新製品のことを相手がすでに知っているか」とか「あなたの会社の製品を取り扱うのは、相手の方にとって初めてか」など、シチュエーションをかなり細かく設定できるようになっています。時候の挨拶もそれぞれの季節に合ったものの中から詳細に選べるし。さすがパッケージソフトで長い歴史を持つ会社だけあって、この手のノウハウはぎっしり持っているんでしょうね。
また、作成したい文章を一発で検索できる検索フォームなどもTOPページに配置しているし、まさにかゆいところに手が届く機能がてんこもりです。もちろん使用は無料。おそらく有料のパッケージソフトに比べたら情報量は劣るんでしょうが、それでもこれくらいの機能があれば、一般的な使用には十分耐えます。サイトのデザインは素っ気ないけど、中身のクオリティはとんでもなく高い実力派のサイトと言えますな。
□直子の代筆
http://web.teglet.co.jp/naoko2/index.php
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郵便局による手紙作成サービス
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レターなび |
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この手のサイトは「直子の代筆」だけではありません。手紙と言えば「郵便局」、郵便局といえば先日発足したばかりの「日本郵政公社」ですが、ここも「手紙作成サービス レターなび」というウェブサイトを運営しています。とりあえず、TOPページの「手紙を書く」ボタンを押してください。左側にジャンルが列挙されるので、この中から自分が作成したいものを選びましょう。
すると中央にさらに細かい目的別のリストが表示されますんで、この中からシチュエーションを選びます。と、今度は右側にジャンルが示されるのでもう1回選ぶ。これで文章の編集画面が表示されます。試しに「プライベート」「縁談・恋愛」「デートの誘い」で文章を作ってみましょう。
突然お手紙を差し上げる失礼を許してください。
実は、○月○日夜○時から、○○○○ホールで開かれるコンサートのチケットが2枚、手に入りました。バッハのオルガン曲です。
先日の昼休みに君が、『音楽が大好きなの』と話していたのを思い出したので……。
会社ではなかなかプライベートなお誘いはしにくく面と向かうと照れくさくて言い出しにくいので、手紙に書きました。御一緒できれば本当にうれしいです。
御都合はいかがでしょうか。よいお返事をお待ちしています。
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と、こんな文章が出てきました。うーむなるほど。今どきデートの誘いを手紙で出す人がいるかどうかはさておくとして、こんなくだけた内容の手紙まで作れてしまうというのがスゴイですね。もし相手が好きな音楽がクラシックではなくプログレだったらヤバイ結果になるかもしれないですが……。でも、憎からず思ってる人からこんな手紙が届いたら、逆に新鮮かもしれないですな。
さて、このサイトの場合は、まず編集画面でこのように原稿を表示して、「○月○日」「○○○○ホール」など、歯抜けになっている部分をユーザーがそれぞれ書き換えるスタイルになっています。修正点が反映された文章は、「テスト表示」ボタンを押せばいつでも完成原稿が見られるようになっていて、なかなか使い勝手が良い。なお、編集画面の上下には受取人と差出人の住所や名前が書き込めるようになっていて、これを書くと完成原稿にもきちんと入れてくれます。
すべてを書き終わったら「決定して次へ」ボタンを押しましょう。ここでは、編集結果画面が表示されるだけではありません。なんと、完成原稿のイラストや背景まで盛り込めるんですね。これらを選んで「決定ボタン」を押すと、原稿の完成です。まあ、これをそのままHTMLメールで送ってもいいかもしれませんが、完成画面には「レターなび」のロゴが上部にきちんと入っているので、このままじゃちょっとまずいかもしれませんね。おとなしく紙に書いて出した方がいいかもしれません。なにせラブレターですからね、コレ。
というわけで、堅苦しいビジネスレターだけでなく、“恋文”まで作れてしまうという文章作成支援サイト、とても便利だということはおわかりいただけたでしょうか。まだまだこれ以外にもたくさんありますので、来週もこのテーマでお送りしたいと思います。お楽しみに!!
□手紙作成サービス レターなび
http://www.post.yusei.go.jp/navi/
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