アタシは原稿を書くときにワープロソフトはまず使いません。多くのプロのライターがそうだと思いますが、原稿を書くときはもっぱらテキストエディタを使ってます。ワープロって動作がもっさりしてるし、機能が多すぎて使いこなすのが大変なんですね。エディタなら必要最小限の機能でサクサク書けるので、ヒジョーに重宝しています。
ではワープロソフトは不要かというと、そうとも言えない。アタシにとって「ワープロを使わないとダメ」なシチュエーションとは、手紙を書くときや、FAXの送付状を書くときです。以前はこのようなときもテキストエディタを使っていたんですが、あるとき、マイクロソフトのワープロソフト「Word」に恐るべき機能がついていることを知ったのです。それは「時候の挨拶」を自動的に書いてくれる機能。請求書を送付するときとか取材依頼のFAXを送るときに、時候の挨拶をカンタンに作成してくれるというのは使ってみるとかなり便利でした。
この機能は、「拝啓」という言葉を入れると「あいさつ文」というウインドウが出て起動する仕掛けになっています。作成している月日を自動的に認識して、その季節に合った挨拶の中から一つを選ぶようになっているですが、挨拶の種類もかなり豊富で、よくできていると思います。なんせ時候の挨拶ってのは、本題とはまったく関係のない、形式的に先頭に付けてるだけのものですからね。「そんなもんは機械に任せて、さっさと本題を書きたいんじゃー!!」というのが、多くの人の本音だと思います。ちょっと不謹慎かもしれないですけどね。
それまでは季節に合った時候の挨拶をいちいち調べながら書いていたんですが、この機能によって格段に労力が減ったので、実に画期的でした。時候の挨拶だけでなく、社内の辞令だとか、取引先への挨拶だとか、そういったフォーマルな文書を書くのはどんどんコンピュータに任せて、余ったエネルギーはもっと本質的なことに使う。今やこれが賢いやり方でしょうな。インターネットの「文書作成支援サイト」なら、時候の挨拶だけでなく本文までも調べられます。この便利なサイトを大いに活用して、ラクをしようじゃあ~りませんか。
■
シンプルな文例をとことん活用!!
さて、先週までは各種データを入力すると自動的に文章を作成してくれるサイトを紹介しました。これはこれで実に便利ですが、「いちいちデータとか入力していくのって面倒だ」と思った方もいるでしょう。色々なシチュエーションに合った文章がズラズラ載っていて、それを自由にコピー&ペーストして使った方が確かに手っ取り早いもんです。そこで、今週はもっとシンプルなコンテンツを紹介しましょう。
たとえば、「文例集」というサイトを見てください。印刷会社や出版社を持つ「友野グループ」が運営するサイトなんですが、これが結構使えるんですね~。掲載されている文例はなんと81文。さらに、時候の挨拶の文例も月別で掲載されていて、かなり充実しています。文例の種類も豊富で、「結婚案内」「結婚挨拶」「住所変更」「転勤挨拶」「退職挨拶」「ゴルフ案内」「病気見舞礼状」など幅広い中から選べるので、ビジネスのさまざまな現場で役立つでしょう。
また、たとえば結婚通知にしても、A~Fまで色々なパターンの文章が載っていて、自分の状況にもっとも良く合う文章を選べるようになっているのは親切ですね。ただ単に文例が載っているだけでなく、ハガキに書いた状態が表示されるというのもありがたいですな。手紙を書き慣れていないと、会社名だとか日付などをどういう順番でどの高さに書いたら良いのか忘れてしまいがちですが、これなら一目見れば、どういう風に書いたらいいのかすぐにわかります。
ただし、1つ気を付けなければいけないのは、会社名などが固有名詞としてあらかじめ例文の中に書き込まれているということ。コピー&ペーストしたまま、会社名などを書き直すのを忘れたら大変なことになるので、注意しましょう。こういうサイトを活用する上で一番犯しやすいミスは、載っている文章を何も考えずに使ってしまうことで、あくまでも参考として使うのがコツです。たとえばこのサイトの例文では、「値上げ通知」での値上げの理由が「物価の上昇が止まるところがない」ことになっています。でも今はデフレの時代だから、この表現は的確ではないかもしれませんね。最終的には自分の目でチェックして、不自然な箇所は必ず直すことをお忘れなく。
□文例集
http://www.tomono.co.jp/bunrei/
■
クレームの書き方までわかる
|
ビジネス文書の森 |
|
それにしても、「文例集」の中には「役員改選」とか「値上げ通知」とか、アタシのような輩には縁のない文章が結構あります。「世の中には色々な挨拶があるんだなあ」とつくづく感心しますが、こういう例文を必要としている人も、世間にはたくさんいるんでしょうね。
この手のお堅い文書が充実しているサイトとしては、「ビジネス文書の森」がオススメです。ここは有料で使える文書と無料で使える文書と2タイプあるんですが、有料の方は会社の商業登記や設立に関する文書や、契約書の文書まで、豊富ラインナップが揃っています。「会社の規模はどれくらいか」とか「どういう機会に使う文書か」とか、シチュエーションもとても細かく丁寧に書かれていて、かなり本格的です。
一方、無料の方は一般的な挨拶など、ライトなものを中心にこれまた種類が多く、タダだからといって侮れないほどクオリティは高い。中には会社の規定集もあります。この規定集はWord形式で何ページにも渡って文例が書かれていて、このフォーマットに沿って規定を書いていけば、そのままプリントアウトできる体裁になります。
また、多くの人が使うであろう「社交・儀礼上の文書」「取引上の文書」も充実しています。なんせ、クレーム処理やお詫び状の書き方まで載っているんですから。やっぱり自分の方にミスがあった場合の詫び状ってのは、小学校や中学校のときに書かされる「反省文」と同じで、何を書いていいのかよくわからないですよね。ひたすら「ゴメン!!」と書いてもしょーもないし……。そんな書きにくい文章の書き方まで教えてくれるこのサイトはエライ!!
□ビジネス文書の森
http://www.jusnet.co.jp/business/
■
書き方のルールを丁寧にガイド
ビジネス文書の作成に役立つサイトは他にもあります。住友生命が運営している「ビジネス情報サービス」も便利ですよ。このサイトは他とは一味違っていて、例文は掲載していません。その代わり、書き方のルールをきちんと教えてくれるんですね。
たとえばトップページのメニューから「社外文書」を選んでみましょう。一番上に「前文」「主文」「末文」などの配置場所が表示され、次にそれぞれの項目をどのように書くかが説明されます。たとえば、前文の場合には「拝啓・敬具」や「謹啓・敬白」などの頭語と結語の対応表や、陳謝の言葉の書き方などが細かくガイドしてあります。しかも「横書きが原則」とか、「トラブル防止のためにコピーをとったか」とか、ちょっとしたアドバイスも書かれています。
さらに、冠婚葬祭の文書の場合はお祝い金の相場まで統計データとともに説明してあるし、封筒の書き方まで教えてくれる親切ぶり。いくら中身の文書をきちんに書いても、封筒の段階でトチったら台無しなので、これなら安心ですね。このサイトを一通り読んでおけば書き方のマナーは完璧と言えるでしょう。
この手のマナーを学びながら書くのって面倒くさいし、先週紹介したような自動的に文面を作ってくれるサイトを利用する方法もアリですけど、やっぱり一般教養として覚えておいた方が何かと便利なことは間違いないないでしょうな。かくいうアタシも、このサイトを見て初めて知ったことが結構多くて、目からウロコでした。アタシみたいな職業だと、「文章扱う仕事してるのに礼状の1つも書けんのか!!」なんてバカにされそうなので、これから頑張って勉強することにしま~す。では、また来週!!
□ビジネス情報サービス
http://www.sumitomolife.co.jp/busi.html
|