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無線LANルータ編
第20回:WANとLANの区別


 ルータからプロバイダーの回線に接続しているポート側がWAN、自宅のマシンに接続している側がLANになります。通常の利用シーンでは気にする必要がありませんが、WANとLANの境界は曖昧とも言えます。


WANとLANの区別と境界線

 今回、取り上げるWANとLANですが、本来であれば最初に説明すべき用語だったのかもしれません。WANとは「Wide Area Network」の略で、強いて訳せば「広域ネットワーク」といったところでしょうか。一方のLANは「Local Area Network」の略で、「狭域ネットワーク」などと訳せます。ただし、これだけでは何を意味しているのかは理解しにくいかもしれません。

 そこでまずは、一般に考えられているLANとWANを図1に示しました。図1は、インターネット網に対して、2つのインターネットプロバイダーが接続しており、それぞれにA家とB家が契約している環境になります。

 この場合、A家から見たLANは青色で示した範囲内で、それ以外はすべてWANになります。つまり、自宅の内部がLANになるわけです。一方で、B家から見た場合は緑色の部分がLANになり、それ以外はWANになります。すなわち、LANやWANといった区別は、どの場所から見るかによって変化する相対的なものと言えます。


図1:WANとLANの区別

 LANとWANの区別については、IPアドレスで判断するという考え方もあります。IPアドレスに関しては、第6回でグローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの2種類があることを説明しました(記事URL)。そして、この場合での判断方法は、プライベートIPアドレスが割り当てられた部分をLAN、グローバルIPアドレスの部分をWANになるというものです。大まかに言えば、この場合もLANとWANの区別は図1と同じような割り振りになります。

 ただ、こうした分類が意味をなさない場合もあります。例えば図2のようなケースです。部門別にルータを入れることで各部門が切り離され、さらにインターネットプロバイダーとの間に別のルータを導入しているという念の入った構成ですが、この場合は左下に赤く示したクライアントから見て、どこまでがLANに含まれるのでしょうか。

 実のところ、これに対する明確な答えはありません。一般的な通念では「Network B」のみをLANと見なすと思われますが、設定次第では「Network C」や「Network D」もLANの延長線上と見なすことが可能です。その場合には、途中にある「Network A」もLANと見なせます。結果、「Network E」のみがWANで、それ以外は全部LANと考えられるケースも存在するわけです。


図2:LANの範囲

 従って、LANとWANを明確に区別することはできないのが正直なところです。とは言え、自宅などでルータを使う場合はあまり難しく考える必要はありません。プロバイダーの回線に接続する方がWAN、自宅のマシンを接続する部分がLAN、とだけ理解しておけば十分でしょう。


関連情報

URL
  無線LANルータ編 索引ページ
  http://bb.watch.impress.co.jp/cda/koko_osa/17754.html

2007/10/01 11:31

槻ノ木 隆
 国内某メーカーのネットワーク関係「エンジニア」から「元エンジニア」に限りなく近いところに流れてきてしまった。ここ2年ほどは、企画とか教育、営業に近いことばかりやっており、まもなく肩書きは「退役エンジニア」になると思われる。
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