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無線LANルータ編
第22回:IEEE 802.11aのJ52/W52/W53/W56


 5GHz帯を使用するIEEE 802.11aは、大きく分けて4種類の周波数があります。また、対応する周波数によっては従来の製品と通信できない場合もあります。


IEEE 802.11aのいろいろ。屋外利用に対応するW56も

図1:J52
 無線LANの中で、5GHz帯を使うIEEE 802.11aは2005年5月と2007年1月に利用できる周波数帯が変わりました。このため、最近の製品と古い製品の間では、無線LAN通信がうまく行なえないケースもあります。

 もともと日本では、気象レーダーが5GHz帯を使用していることから、屋外での利用ができませんでした。また、周波数は図1に示すように5,150MHz~5,250MHzまでを20MHzずつ、4チャネルに分割して割り当てていました。このJ52と呼ばれる規格は日本独自のもので、他の諸国と周波数が10MHzずつずれています。

 その後、2005年8月に総務省が行なった電波法施行規則等の一部改正によって、周波数帯が他国と同じものへと変更されました。これがW52になります。ただ、同じ5.2GHz帯を利用するW52とJ52は互換性がないため、両方に対応した製品が市場に登場しました。

 J52からW52への切り替えと同じタイミングで利用できるようになったのが、W53です。これも4チャネルが用意されし、W52と合わせて8チャネルが使用可能になりました。なお、これらは屋外での利用は禁止されています。

 また、W53は気象レーダーと周波数が一部重なる関係で「DFS(Dynamic Frequency Selection)」機能を利用して、他の電波と干渉している場合には、これを回避するよう決められています。従って、W53の利用時には一時的に通信ができない場合もあります。

 そして、2007年1月には5.6GHz帯(W56)の利用も可能になり、チャネル数は合計19へと拡大しました。このW56では、W52/53で対応していない屋外での利用も実現しています。


図2:W52/W53/W56

写真はNECアクセステクニカ製品の例
 以上のように、IEEE 802.11aと一口にいってもJ52やW52、W53、W56と複数あり、製品によっても対応状況は異なります。これを判別するため、最近の製品パッケージなどには写真のような記載が行なわれています。従って、使用する無線LAN環境でIEEE 802.11a機器が混在している場合には、こうした記載を確認した上で購入を検討したほうが良いでしょう。


関連情報

URL
  無線LANルータ編 索引ページ
  http://bb.watch.impress.co.jp/cda/koko_osa/17754.html

2007/10/22 11:07

槻ノ木 隆
 国内某メーカーのネットワーク関係「エンジニア」から「元エンジニア」に限りなく近いところに流れてきてしまった。ここ2年ほどは、企画とか教育、営業に近いことばかりやっており、まもなく肩書きは「退役エンジニア」になると思われる。
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