NASはファイル共有以外にも、プリンタの共有やメディアサーバー機能、バックアップ、RAIDなどに対応した製品が登場しています。
■ ファイル共有以外の機能もサポートするNASのラインナップ
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図1:基本的なNASの構成
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前回、他の機器とNASの違いを説明する際に「ネットワーク経由で利用できるHDD」というように紹介しました。NASの基本機能はファイルの共有にありますが、それだけでは製品ごとの差別化が難しくなります。このため、各社からはファイル共有以外の機能を追加して特徴を持たせた製品が多数登場しています。
もっとも基本的なNASは、HDDとコントローラを本体に搭載し、ネットワーク接続が可能な製品になります(図1)。このタイプでは、主な接続先はPCに限られています。その上位としては、NASが備えるUSBポートに接続したプリンタを、ネットワーク経由で利用できる「プリンタ共有」機能を持った製品があります(図2)。
加えて、USBポートにUSB HDDを接続して、HDD容量を増設できるタイプもあります(図3)。ただし、どのメーカーのHDDでも接続できるのではなく、基本的にはNASと同じメーカーの製品が対応機種と挙げられているケースがほとんどです。
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図2:プリンタ共有機能のサポート
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図3:USB HDD増設のサポート
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図4:DLNAなどのサポート
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また、コントローラを強化して、DLNAサーバー機能を持たせた製品も登場しています(図4)。DLNAとは「Digital Living Network Alliance」の略で、ネットワーク経由でデジタル家電などを連携させるための規格です。もし、DLNAに対応したテレビやゲーム機などがあった場合、こうしたNASに保存したファイルをネットワーク経由で再生できるようになります。
最近ではDLNAに対応したデジタル家電も増えてきており、「PCで録画して、テレビで再生する」という利用方法も考えられます。また、DLNA以外にもiTunesと連携できるサーバー機能を持ったタイプも存在しています。もちろん、図4に示したタイプにもUSB HDD共有機能などもサポートした製品もあります。このクラスの製品になると、普及帯で500GB程度。最近では1GB近い容量を持つ製品までラインナップされています。
さて、ここまでの紹介してきたNASはHDDを1台しか搭載していないタイプですが、HDDを複数台搭載することで大容量を実現した製品も登場するようになりました(図5)。ここで問題となるのは、「HDDは消耗品」ということです。特にHDDの台数が増えたときに、1台壊れて全部のデータにアクセスできなくなるのは大きなダメージになります。
そこで、1つのデータを2つのHDDに同時に書き込む「RAID 1」や「RAID 10」、複数搭載するHDDの中で1台が故障してもデータは失われない「RAID 5」などをサポートする機能が、こうした大容量製品では搭載されているケースが多いです。また、簡単にバックアップやリストアできる機能を持った製品もあります。
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図5:RAIDへの対応
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図6:ホットスワップなどへの対応
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さらにに上位となると、半ばプロ仕様とも言えそうですが、電源稼働時に故障したHDDを交換できるホットスワップ機能や、イーサネット端子を2系統持つ製品もあります(図6)。
価格で言えば、図1のような基本機能に絞った製品が2万円前後から、図6のような製品では10万円以上と、機能や容量によって幅広く製品が広がっているのがNASの現状と言えるでしょう。
■ URL
NAS編 索引ページ
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/koko_osa/20269.html
2007/12/03 11:00
槻ノ木 隆 国内某メーカーのネットワーク関係「エンジニア」から「元エンジニア」に限りなく近いところに流れてきてしまった。ここ2年ほどは、企画とか教育、営業に近いことばかりやっており、まもなく肩書きは「退役エンジニア」になると思われる。 |
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