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NAS編
第11回:自作NASキット


 最近ではNASを自作できるキットも簡単に手に入るようになりました。キット自体は、別途購入したHDDを組み合わせるだけですが、主要な周辺機器メーカーから製品が多数発売されています。


手持ちのHDDを使って構築できる自作NASキット

 大まかに言ってNASは「ケース」と「電源」、「コントローラ」、それに「HDD」で構成されます。ケースは外観の通りで、HDDのサイズより一回り大きい程度。電源は外付けタイプの場合でACアダプタと大差ない大きさで、本体内部にあるコントローラはHDDより少し大きい程度です。

 最後にHDD。これはもう見ての通りで、通常はHDD単体で手頃な価格で販売されています。そして、「せっかく手元にHDDがあるのだから、これを使ってNASを作りたい」というニーズも少なからずあり、特に自作PCユーザーの場合は未使用状態のHDDが手元に複数ある人も多いかと思います。かくいう、筆者も数十台のオーダーが手元に余っています。


図1:NASの構成

 こうしたニーズもあり、NAS製品を発売する周辺機器メーカーの中には自作NASキットをラインナップに用意しています。NASキットは、「ケース+電源+コントローラ」という構成で、通常のNASと比較してHDDが含まれていません。

 製品例としては、「玄人志向」や「挑戦者」ブランドが以前から販売を行なっているほか、最近ではプラネックスやコレガからも製品が登場しています。この中で、コレガ製品は少し毛色が変わっていて、大容量のRAID対応NASキットやUSB接続型HDDをNAS化するアダプタをリリースしています。また、海外メーカーを見てもTurcas社などがNASキットを提供しています。


図2:NASキットの構成

 さて、NASキットのメリットとしては、以下の点が挙げられます。

(1)NAS製品と比べて安価に構築できる場合がある
  新たにNASキットとHDDを購入するのであれば、通常はNAS自体を購入した方が安価な場合が多いです。しかし、すでにHDDが手元にあるユーザーにとっては、NASキットの方が安くなる可能性もあります。

(2)省スペース/省電力/省作業
  余っているPCをベースにLinuxやSambaなど諸々を組み合わせれば、性能的に同程度のNASを作ることは可能です。ただ、サイズはどうしても大きくなりますし、消費電力も大きくなります。また、インストールの手間がかかる点は否めません。

 この点NASキットは、通常のNASと同程度のサイズですし、消費電力もずっと小さくなります。そして何より、簡単にNAS化するためのソフトウェアが付属しているので、PCをNAS化するよりも作業が少なくてすみます。

(3)メンテナンス性
 例えば、NASのHDDが故障した場合、通常ではメーカーに修理を依頼する必要があります。その際、数日から数週間程度の日数が必要になると思います。一方、NASキットの場合では、保存したデータの回復は別として、HDDを自分で購入して入れ替えれば一応の復旧は可能になります。近くにHDDを販売する店舗があるユーザーであれば、数時間程度で復旧も可能です。

 もちろん、デメリットもあります。NASキットの場合、メーカーのサポートは通常のNASと比べて小さくなります。特にHDD周りは自分でメンテナンスを行なう必要があるため、ある程度のスキルを持ったユーザーでなければ、対処に困ってしまうかも知れません。

 また、NASキットと組み合わせるHDDの相性も稀に発生する可能性もあります。こうした問題は、基本的に自己責任で解決する必要があります。これが難しいと感じるユーザーの場合には、NASキットの導入は難しく、通常のNAS製品を購入されることをお勧めします。


関連情報

URL
  NAS編 索引ページ
  http://bb.watch.impress.co.jp/cda/koko_osa/20269.html

2008/03/03 10:58

槻ノ木 隆
 国内某メーカーのネットワーク関係「エンジニア」から「元エンジニア」に限りなく近いところに流れてきてしまった。ここ2年ほどは、企画とか教育、営業に近いことばかりやっており、まもなく肩書きは「退役エンジニア」になると思われる。
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