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NAS編
第13回:NAS機能を追加できるルータ


 ルータ製品の中には、NAS機能を追加できる製品が登場しています。通常のNAS製品と完全に同等の使い勝手とはいきませんが、バックアップ用途などの利用時には便利です。


ルータ製品の中にはUSB接続HDDをNASとして利用できる機能も

 これまでに何回か触れましたが、NASとルータの間には構造的な差はあまりありません。図1はNAS、図2はルータにおける典型的なコントローラの基板構造を示したものです。プロセッサとDRAM/フラッシュメモリ、1つ目のイーサネットコントローラ部分まではほぼ同一で、これにHDDや2つ目のイーサネットコントローラを加えるか程度の差しかなかったりします。

 実のところ、こうしたLAN関連機器向けのプロセッサは、NASとルータのどちらでも使えるように設計されているケースが多く、プロセッサメーカーによるリファレンスデザインはどちらも使えるようになっています。あとは周辺機器メーカーがどのようにアレンジを加えるかという話で、基板を共通化して追加部品の搭載を生産ラインで決める場合や、すべての実装させておいてソフトウェア的に機能を無効化させる場合もあります。


図1:NASの一般的なコントローラ基板 図2:ルータの一般的なコントローラ基板

 従って、ルータにNAS機能を追加するということは、技術的にはそれほど難しくありません。ただし、実際に行なう場合には物理的な制約が発生します。例えば、ルータにNAS機能を追加する場合にはHDDを搭載していない点などです。

 このうち、後者に関しては、購入後にユーザーがルータが搭載するUSBポートに外付HDDを追加することで対応が可能になります。例えば、プラネックスの「MZK-W04NU」は無線LANルータですが、USBポートに外付けHDDを接続することでNAS機能も利用できるようになります。それに加え、BitTorrentのクライアントやiTunesサーバーとしても利用できる機能を持っています。こうした製品は、それ以外にもASUSTeKなどから登場しています。

 一方で、USB接続したHDDをNASとして利用する関係上、最近普及が進んでいるギガビットイーサネットと比べると通信速度が遅くなる場合があります。また、電源に関してもルータとNASで2個口が必要になる場合もあります。

 もちろん、連続的な運用を考える場合にはNAS専用機を利用するのが最善でしょう。しかし、手元にあるルータがNAS機能を持っている場合や、一時的にNAS環境を用意したい場合などには1つの選択肢だと言えます。


関連情報

URL
  NAS編 索引ページ
  http://bb.watch.impress.co.jp/cda/koko_osa/20269.html

2008/03/17 10:56

槻ノ木 隆
 国内某メーカーのネットワーク関係「エンジニア」から「元エンジニア」に限りなく近いところに流れてきてしまった。ここ2年ほどは、企画とか教育、営業に近いことばかりやっており、まもなく肩書きは「退役エンジニア」になると思われる。
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