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スイッチングハブ編
第3回:省電力機能を持った製品


 最近は省電力性を謳うスイッチングハブも増えてきました。稼働時の動作電力は変わりませんが、待機時には不要な電源供給を抑えることで省電力化が実現できます。


使用中のポートのみ給電する省電力型スイッチングハブ

図1:スイッチングハブの構造
 スイッチングハブの内部構成は、8ポートタイプの場合では概ね図1にような感じになっています。

 この中で、主要部品は8ポートスイッチと呼ばれるパーツになるわけですが、通常は1チップのIC構成で、スイッチングハブの中身自体は非常に簡素化されているわけです。従って、消費電力は8ポートスイッチチップがいかに省電力で動作するかが重要になります。数年前までは各社のスイッチングハブで冷却ファンが搭載しているケースが多かったのですが、最近はファンレス化して自然放熱で済むようになり、全体としての省電力化が進んでいます。

 そして最近では、「さらに省電力」を謳う製品が登場してきました。例えば、コレガの「CG-SW08GTX」や、バッファローの「LSW3-GT-8NS」などです。これらの製品も基本的な構造は図1と大きな変化はありませんが、スイッチチップに新機能が搭載されたことで省電力が実現されました。


図2:8ポートタイプの内部イメージ
 ここで内部の話に戻りますが、8ポートスイッチ内部の概略をまとめると、図2のようになります。ここでPHYと呼ばれる部分が、実際に送受信を行なう回路です。これまでのスイッチチップの場合は、その先にLANケーブルが繋がっていない場合や、繋がっていてもPCの電源が切れている場合でも常にPHYが動作していました。しかし、こうした動作は考えるまでもなく無駄と言えるでしょう。

 そこで、省電力を謳う製品では図3のように通信していないポートのPHYに対して、電力を供給しないような仕組みを搭載しました。これによって、本当に必要なポートだけが動作することとなり、不要な電力消費を抑えられるというわけです。

 もちろん、全ポートを利用中の場合には省電力効果はありません。とはいえ、8ポート全部を常時使用する環境は家庭では多くないわけで、こうした場合には効果的な機能であると言えます。


図3:必要なポートにだけ電力を供給

 また、一般論としてスイッチングハブが故障する際の要因の1つに発熱による温度上昇が挙げられます。これに関しても、消費電力が抑えられることでチップの発熱が減り、結果として寿命が延びる効果も期待でき、製品購入時に選べるのであればこうした製品を選ぶのが賢明でしょう。


関連情報

URL
  スイッチングハブ編 索引ページ
  http://bb.watch.impress.co.jp/cda/koko_osa/21429.html

2008/04/07 10:59

槻ノ木 隆
 国内某メーカーのネットワーク関係「エンジニア」から「元エンジニア」に限りなく近いところに流れてきてしまった。ここ2年ほどは、企画とか教育、営業に近いことばかりやっており、まもなく肩書きは「退役エンジニア」になると思われる。
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