ここ数年で、ネットワークに対応した個人向けプリンタや複合機の数が増えてきました。中には、無線LAN機能を持った製品も登場しています。
■ 家庭向けでは複合機を中心にネットワーク対応が進む
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図1:切替器を利用して複数台で利用
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大昔から、PCにプリンタという組み合わせは、ある程度つきものでした。PC画面上で作業をしても、最終的に出力する機器がないと意味がありません。特に文章作成がPCの重要な用途の1つの場合には、インターネット経由で作成ファイルを送信して終わりというわけにもいかず、多くの場合は最終的には何らかの形で印刷する必要があります。
家庭環境の場合では、PCにプリンタを直接接続すれば良いわけですが、オフィスなどのように複数台のPCがある環境では、「PCの台数分だけ、プリンタを用意する」のも大変です。そこで、切替器などを使って、複数台のPCを1台のプリンタに繋げる方法がしばしば利用されました(図1)。
その後、LANの普及によって、こうした運用が簡便になってきました。例えば、複数のPCがLANに接続されている環境で、1台のPCをプリントサーバーとして利用することで、プリンタの共有が可能になります。図2の場合、赤枠で囲んだPCがプリントサーバーに相当します。これによって、図1のようなプリンタケーブルを延々と引き回す手間から開放されました。
ただし、図2の仕組みでも、プリンタを使用するにはプリントサーバー役のPCを常時起動する必要がある課題があります。そこで、プリンタを直接LANに接続させることで、プリントサーバーの必要がなくなる製品が1980年代頃から徐々に登場してきました(図3)。もっとも当初は業務用製品がメインで、一般家庭向けの製品ではまず見かけることはありませんでした。
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図2:PC1台をプリントサーバーとして利用
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図3:ネットワーク対応機器の利用イメージ
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しかしながら、2000年代に入ってからは家庭向けの上位機種で少しずつ増えていき、最近では2万円を切る低価格機にもネットワーク対応の製品が登場しています。こうした理由は幾つか考えられますが、無視できないのは複合機の存在でしょう。複合機はプリンタ機能に加えて、スキャナやFAX機能、メモリカードリーダライターなどを持った製品で、中にはテレビプリント機能に対応した製品もあります(関連記事)。
複合機はこの数年で大きな市場になってきており、これら製品でLAN機能をもった製品が増えています。また、印刷機能以外にもスキャナやFAX機能などをネットワーク経由で利用・共有できる製品も少なくありません。
こうしたネットワーク経由での共有機能が、プリンタを含めて波及したと考えるのが正しいかも知れません。なお、その他要因として、LAN機能を実装させるのに要するコストが大幅に下がっている点も見逃せないでしょう。
最近ではまた、有線LANに加えて無線LAN機能を持った製品も増えてきています。家庭内で無線LANを利用する割合が高くなってきた点や、有線LANに対応する点だけでは差別化が難しいというあたりが主な理由と考えられます。
また、MacBook Airなどをはじめ、有線LANを標準で搭載しない製品が増えてきた点も多少は関係しているかも知れません。このほか、ネットワーク機能とは離れますが、携帯電話で撮影した写真をプリントできるよう赤外線通信やBluetooth機能を持った複合機も発売されています。
2008/08/11 10:50
槻ノ木 隆 国内某メーカーのネットワーク関係「エンジニア」から「元エンジニア」に限りなく近いところに流れてきてしまった。ここ2年ほどは、企画とか教育、営業に近いことばかりやっており、まもなく肩書きは「退役エンジニア」になると思われる。 |
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