プリンタや複合機とは少し毛色が違いますが、ネットワーク機能を持ったFAX製品も少なくありません。中にはペーパーレスを実現できるタイプもあります。
■ ネットワーク機能を持ったFAX。受信FAXのメール転送機能も
相手が電子メールを使用できる環境であれば、電子メールで用件が済むわけですが、そうした環境があまねく行き渡っているわけではありません。こうした場合は、FAXなどを利用することになります。
このFAX、ネットワーク環境にうまく統合しにくい部分もありましたが、数年前からFAX機能を統合したプリンタ複合機が登場するようになったことで変化がでてきました。そもそも複合機のアイデアは、プリンタとスキャナを1つにすることからはじまります。
つまり、「(1)スキャナで読み込んでPC側に出力する」「(2)PC側から渡されたデータを印刷する」という流れになり、次にFAX/Modem機能を搭載した結果、「(3)Fax/Modemで通信を行う」が追加されました。
ここまで来ると「(4)スキャナで読み込んだものをプリンタで印刷(コピー)」「(5)スキャナで読み込んだものを送信(FAX送信)」「(6)受信したものをプリンタで印刷(FAX受信)」という仕組みも容易に実装が可能になります。また、最近ではメモリカードリーダー機能が追加され、デジタルカメラなどで撮影した画像の取り込みと、それら画像をプリンタで直接印刷することも可能になりました。
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図1:複合機の動作イメージ
(1)スキャナで読み込んでPC側に出力する
(2)PC側から渡されたデータを印刷する
(3)Fax/Modemで通信を行う
(4)スキャナで読み込んだものをプリンタで印刷(コピー)
(5)スキャナで読み込んだものを送信(FAX送信)
(6)受信したものをプリンタで印刷(FAX受信)
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図1で示した構造ですが、ネットワークに対応したモデルでは少し変わってきます。例えば、FAX機能は残ってもモデム機能は省略されつつあり、複数のPCからモデムを使うケースも減ったため、こうした機能も削除されました(図1の3)。
そして1番変わったのはスキャナ機能と言えるしょう。これまではPC側で「スキャン取り込み」の操作を行うと、それに従ってスキャナが読み取りをする形なっていました。その一方、ネットワーク対応モデルではPC付近に必ずしも複合機があるとは限りません。従って、複合機側で読み取り作業を行い、追ってPCに転送する形になります。また、製品によっては共有フォルダに自動的に格納できる場合もあるそうです。
これら処理を行うため、図1のときよりも強力な処理ユニットが内部に搭載されるようになりました(図2)。ここでの注目点は(6)、つまりFAX受信時の流れです。例えば、FAXから受信したものも、スキャナから読み込んだものも、どちらも画像データです。ということは、処理ユニットでファイルに変化できれば必ずしもプリンタへ出力する必要がありません。
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図2:ネットワーク対応の場合
(1)スキャナで読み込んでPC側に出力する
(2)PC側から渡されたデータを印刷する
(4)スキャナで読み込んだものをプリンタで印刷(コピー)
(5)スキャナで読み込んだものを送信(FAX送信)
(6)受信したものをプリンタで印刷(FAX受信)
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そこで、受信したFAXをファイルとして保存できる製品が登場してきました。加えて、送信時にはPCから印刷するのと同じ感覚で行うことも可能になりました。実際にいくつかの製品を見てみると、NECアクセステクニカの「ネットワークスピークス」やシャープの「見楽る」で、受信したFAXを電子メールに転送する機能を持っています。そして、ブラザー工業や日本HPなどの製品でも、ペーパーレスによるFAX受信機能もサポートしています。
加えて、これら製品の中にはPCからFAX送信が可能な機能を持っています。こうした機能の多くは、製品をLANすることで利用できるようになり、これらFAXもネットワークに対応した製品の1つと考えても良いのかもしれません。
■ URL
ネットワーク対応プリンタ&複合機編 索引ページ
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/koko_osa/22819.html
2008/09/01 11:08
槻ノ木 隆 国内某メーカーのネットワーク関係「エンジニア」から「元エンジニア」に限りなく近いところに流れてきてしまった。ここ2年ほどは、企画とか教育、営業に近いことばかりやっており、まもなく肩書きは「退役エンジニア」になると思われる。 |
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