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ネットワーク対応プリンタ&複合機編
第6回:通信プロトコル


 インターネットの世界では、さまざまな「プロトコル」が使われています。インターネット以前から行われていたプリンタ共有などでは、独自のプロトコルも用意されていました。


複数のプロトコルが用途に応じて介在

図1:プロトコルの構成イメージ
 インターネットは、さまざまな規格の集合体です。有線や無線LANなど、物理的な接続方式も何種類もあり、それらの上で動作するもアプリケーションも多様多種。さらには各アプリケーションがいろいろな方法で通信を行ないます。これらをカバーするために、たくさんの「プロトコル」が存在します。

 プロトコルとは「通信のための決めごと」と言えば良いでしょうか。例えば、Webブラウザを使用してWebサイトを表示させたいと思った場合、以下のような処理が行なわれます。

・Webブラウザに対してHTTPプロトコルを使ってリクエストを出す
・OSはリクエストを受けて、TCPプロトコルのパケットにリクエストを格納する
・OSの下位レイヤーは、TCPパケットをIPプロトコルのパケットに収める
・イーサネットのデバイスドライバはIPパケットを受け取り、これをイーサネットプロトコルのパケットに(必要に応じて分割して)収める
・イーサネットのハードウェアは、そのイーサネットパケットを送り出す

 上記のリクエストを出す過程には、「HTTPプロトコル」と「TCPプロトコル」、「IPプロトコル」「イーサネットプロトコル」の4つが介在することになります。こうしたプロトコルを簡単にまとめたのが図1です。

 厳密に言えば、この図は正しくない部分もありますが(インターネットの規約の中に、アプリケーションプロトコルやネットワークプロトコルといった用語は本来存在しません)、使われ方を大まかにまとめるとこのような形になるのではないかと思います。このプロトコルの構成は、すべてのマシンで同じというわけではありません。図1はWindows系を念頭に置いたもので、これがAppleの場合だと図2のようになりますし、UNIX/Linuxだと図3でしょうか。


図2:Macの場合 図3:Unix/Linuxの場合

図4:ファイル共有の構成イメージ
 さて、ここまで説明してきたのは、インターネットを使用することを前提にしたお話です。しかしながら、ネットワークが使用されはじめた頃には、インターネットはまだ存在しませんでした。では、ネットワークを使って何をしていたかと言うと、ファイルの共有やプリンタの共有になります。

 この場合、アプリケーションに該当するのはファイルシステムそのもので、その下で使用されるプロトコルもまた変わってきます。図4~6はそれぞれWindows、Macintosh、UNIX/Linuxにおけるファイル共有の場合のプロトコルを示したものですが、プリンタの場合も概ね同じと考えて良いでしょう。


図5:Macの場合 図6:Unix/Linuxの場合

 WindowsであればNetBEUI、MacintoshであればAppleTalkと呼ばれるプロトコルがあるのがわかります。これらはTCP/IPが普及する前に利用されていた独自のネットワークプロトコルで、現在でも互換性を保つために利用できる場合があります。例えば、バッファローが9月に発表したプリントサーバーの仕様を見てみると、AppleTalkには対応していても、Bonjourに非対応というケースもあります。

 こうしたプロトコルは、普段あまり意識することはありませんが、ファイルやプリンタ共有ではインターネットとはまた異なるプロトコルを使用している場合があることを、覚えておくのも良いでしょう。


関連情報

URL
  ネットワーク対応プリンタ&複合機編 索引ページ
  http://bb.watch.impress.co.jp/cda/koko_osa/22819.html

2008/09/22 10:56

槻ノ木 隆
 国内某メーカーのネットワーク関係「エンジニア」から「元エンジニア」に限りなく近いところに流れてきてしまった。ここ2年ほどは、企画とか教育、営業に近いことばかりやっており、まもなく肩書きは「退役エンジニア」になると思われる。
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