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2005年

2004年

槻ノ木隆の
NEW PRODUCTS IMPRESSION
Linksys WRT54GX Preview

写真01:
「WRT54GX」。ちなみに149.99ドルなり

写真02:
「WPC54GZ」は99.99ドル。ちょっと割高感が……
 WRT54GC-JPの記事を書いた後のこと。編集部でお話をしているときに、米国ではすでに登場している製品の話をちらっとした。具体的には「WAP54GX」のことだ。

 「面白いし、ぜひ試してみたいですねぇ」なんて話をしていたのだが、ついうっかり出張の際に買い忘れていて、レビューができないでいた。ところが12月初旬にちょっとアメリカにいく用事があったので、「今度こそは!」との意気込みでショップに向かったわけである。

 が、あまりにタイミングが悪い。というのも、ちょうどThanksGiving Saleが終った直後で、店頭はというと見るも無残。手近にあるFry'sやCompUSA、Circuit City、Best Buyなどの量販店はどこも欠品の山で、残念ながらWAP54GXの在庫は皆無。まぁメーカーは今、Christmas Sale向けに必死に在庫を積み上げようとしている最中で、もう少し後なら入手できたかもしれないが、それにあわせて出張するわけにもいかない。

 そんな中、たまたま「WRT54GX」だけはFry'sに1個だけ在庫が残っていた。厳密に言えば「WRT54GX2」はざかざか在庫があったりしたのだが(笑)。ただ、「この時期に在庫がある」=「人気がない」だし、いずれもMIMO対応製品だが、WRT54GXがSRX(最大8倍高速/最大2倍の到達距離)なのに対し、WRT54GX2はSRX200(最大6倍高速/最大2倍の到達距離)であり、どちらを買うべきかは明白である。

 ちなみにさらに上位規格のSRX400(最大10倍高速/最大3倍の到達距離)を採用した「WRT54GX4」はやっぱり品切れであった。

 というわけで、素直にFry'sでWRT54GXを購入(写真01)。ただ、ルータだけ買っても仕方がないので、やはりSRXに対応した「WPC54GZ」も購入した(写真02)。





ちょwwwおまwwwでかwww

写真03:
いずれのアンテナも270度ほど回転する。ただし、取り外しは不可
 実のところ、Webなどで写真を見る限り、WRT54GXとレビューしたWRT54GCはデザインこそ異なるものの、ほぼ同じ大きさだと思い込んでいた。なので、購入した時も「パッケージでかいなぁ」としか思っていなかった。このため、ホテルに戻ってパッケージ開けた瞬間の第一印象がこのサブタイトルである。

 思わず瞬間的にVipperになってしまったわけだが、とにかくデカい。パッケージに入っている最中はこんな具合にアンテナが畳まれているが(写真03)、まっすぐ伸ばすとこんな具合だ(写真04)。このアンテナが場所を食うのもさることながら、とにかく本体がデカい。今回持参したWRT54GCと並べるとこんな感じ(写真05)。付属のACアダプタもちょっと見えにくいがかなりの重量級だ(写真06)。


写真04:
壁掛けを考えてか、裏側にはアンテナが突き出さない。しかし、恐ろしく設置場所を食いそうだ
写真05:
二回りはデカい。重さもなかなかなもので、台座部を回転して縦置きにできるギミックがむしろ邪魔なほど
写真06:
同梱されるのはACアダプタとLANケーブル1本、それにCD-ROMのみ

 ちなみに裏面は放熱なのか、重量軽減なのか、全面パンチングが施され、壁掛けも可能になっている(写真07)。後面はACアダプタとLANのコネクタのみが並ぶシンプルなものだ(写真08、09)。

 ついでにWPC54GXの方だが、こちらはPCカードとCD-ROMのみのシンプルな構成(写真10)。これだけ見ているとあまり大きさを感じないが、IEEE 802.11g対応の「WPC54G」と並べると、やはりアンテナ部がデカイのがわかる(写真11)。


写真07:
左下にResetスイッチが置かれている。WRT54GCと異なり、ログイン情報などは裏面に記載されていなかった
写真08:
後面のLANポートには、こんなシールが
写真09:
シールを剥がすとこんな具合

写真10:
SRXのロゴがなければ、それと区別はつかないようにも思うが……
写真11:
比べてみるとこの通り。ちなみにWPC54Gはだいぶ以前に購入したものなので、ロゴが古い。現行品のパッケージはこちら




LinksysStandardな設定画面

 さて、それでは設定画面を見ていきたい。画面構成はまずTop Menu(Setup/Wireless/Securityなど)が置かれ、その下にSub Menuがあるという最近のLinksys各製品に共通なもの。大雑把な構成で言えば、英語ではあるがWRT54GC-JPの構成とほとんど違いがない。

 画面01は基本的な接続設定で、ここでWAN側の接続設定を行なうことになる。ダイナミックDNSはデフォルトでは無効だが、必要ならここで設定可能だ(画面02)。MACクローンはMACアドレスでの接続制限を行なっているプロバイダー向けで、これもおなじみだ(画面03)。Advanced RoutingではNAT(厳密にはNAT+/NAPTというべきだ)のEnable/Disableと、Static Routing(最大20ルート)の設定が可能になっている(画面04)。


画面01:
接続方法はDHCPのほかStatic IP/PPPoE/PPTP/Telstar BigPond(ケーブルテレビ接続)が選べる。Telstarが選べるあたりはいかにもアメリカ向け
画面02:
ちなみに対応しているのはDynDNS.orgのみ
画面03:
Enableにして“Clone Your PC's MAC”ボタンを押すと、セットアップに使っているPCのMACアドレスがコピーできる

 次はWirelessである。Basic Wireless Settingは本当に基本的な設定のみ(画面05)。セキュリティモードもシンプルである(画面06)。その分、MACアドレスベースの制御はちゃんと行なえるから(画面07)、これでよしということかもしれないが。Advanced Wireless Setting(画面08)では、転送モードでもう少し細かな設定が可能ではあるが、例えばSRX(MIMO)をDisableにすると言うことはできないようだ。このあたりの割り切り方はちょっと面白い。


画面04:
ここでNATをDisableにすると、WRT54GXを単なるWireless Bridgeとして使うことが可能になる
画面05:
転送モードはDisable/Mixed/G-Onlyの3種類。B-Onlyという選択肢はないようだ
画面06:
選択肢はDisable/Pre-Shared key/Pre-Shared key RADIUS/WEPの4種類。WPAなどのオプションがないのはちょっと不思議

画面07:
50アドレスというのはかなり多めに思える
画面08:
Basic Rate Setで、旧来の802.11互換の1-2Mbpsを選べるあたりがなんか妙に感じ

 Securityは有線LAN側の設定となる。もっとも選べるのはFirewallをEnable/Disableにするかどうかだけだから(画面09)、簡単な話である。

 Access Restriction(画面10)は、LAN/WirelessからWAN側へのアクセス制御するというもの。WRT54GCにインプリメントされていた“キーワードによるWebサイトへのアクセス制限”などがないのは、効果がなかったためであろうか?

 一方、Port Forwardingなどは“Applications & Gaming”にまとめてある。これは単純なPort Forwardで(画面11)、それ以外にPort Triggering(画面12)も用意されている。DMZに関してはいわゆる“なんちゃってDMZ”であった(画面13)。


画面09:
もう少しFirewallの設定がいろいろあるかと思ったのでちょっと拍子抜け
画面10:
ところで“Block Services”で用意されているデフォルトがDNSアクセスのみ、というのはどういう意味があるのだろう?
画面11:
LAN内にサーバを立てる場合などに良く使うPort Fowarding。初めからRange Forwardなのは嬉しい

画面12:
最初に通信がくるポートと、実際に通信を行なうポートが異なる場合に使うのがこのPort Triggering。Messenger系はこちらを使うのが普通だろう
画面13:
「なんちゃってDMZ」が用意されている時点で、この製品は家庭向けというのが明白だから、あまりこれにとやかく言うべきではないのかもしれない
画面14:
一応、管理者パスワードは設定し直した

 Administrationはいわゆる管理画面(画面14)で、管理者パスワードの設定とか外部からの設定の可否、UPnPの可否が設定できる。Logは文字通りログの表示(画面15)、DiagnosticはWRT54GXからLAN/WANにping/tracerouteを発行するもの(画面16)。Factory Defaults(画面17)/Firmware Update(画面18)/Config Management(画面19)は見たまんまである。

 Status(画面20)以下は状態を表示するもので、特に過不足は感じられなかった。


画面15:
SYSLOGデーモンに飛ばすといった機能はなし
画面16:
毎回発行するたびに入力項目が初期化されてしまい、同じサイトに複数pingする場合にかなり面倒であるのが残念。あと、ping sizeが999バイトに制限されてるのもいまいち
画面17:
Factory Defaults画面。今さら説明することもないだろう

画面18:
「参照」(ここはJavaで動いているためか、日本語になっているのが面白い)は当然接続しているPCのファイルを参照する意味で、LinksysのWebサイトを直接参照できるわけではない
画面19:
現在の設定をファイルに保存するという意味
画面20:
これはルータとしての機能で、他にLAN/Wireless/全体の状態に関するレポートも表示できる




性能比較

 さて、「ではその性能は?」ということであるが、これを測定するのはちょっと難しい。というのは、そもそも利用したホテルの回線が無茶苦茶遅い(ピークでも100KB/sec前後、夜間では30KB/sec前後)からで、ちょっと性能測定には不適当だからだ。「ならば手元のマシンをサーバーに」という話なのだろうが、手元にあったのが富士通の「Loox S80C」と、カシオの「MPC-206VL」なのでまともに性能は測れそうにない。

 そこで、ルーティング性能を測定するのは諦めることにした。また、無線LANの性能に関しても、速度に関してはそういうわけでピーク性能を到底発揮できなそうなマシンがないので、こちらも放棄することにした。ただ、SRX(MIMO)のもう1つの効用である。到達距離の拡大に関してはちょっと確認することができた。具体的には、アクセスポイントを固定した状態でクライアントを移動しつつ直接pingを送り、成功率や速度を比較するというものだ。今回の場合、Loox S80CにWPC54GXを装着し、あちこち歩き回って測定を行なってみた。


写真12:
設置したというか、単に置いただけというか
 さて具体的なロケーションである。今回使ったホテルはMarriott TownePlace Suites San Jose Cupertinoというところで、こちらの中央にある、赤い屋根の2棟の建物である。今回は右側の建物の3階の部屋だったので、アクセスポイントを窓辺に設置した上で、以下の8カ所で測定を行なってみた(写真12)。

(1)アクセスポイントの真横
(2)同じ室内で3mほど離れた場所
(3)同じ建物の1階出口(地点A)
(4)窓の直下(地点B)(写真13,14)
(5)隣の建物の玄関付近(地点C)(写真15)
(6)隣の建物の遠いほうの玄関付近(地点D)
(7)D地点からそのまま駐車場の端まで移動した場所(地点E)(写真16)
(8)E地点からそのまま道路ぎりぎりまで移動した場所(地点F)

 なお、地点A~Fまでの位置関係は以下の図を参照されたい。ちなみにA/D地点は、物理的にアクセスポイントを直視するのが不可能な場所にある。また、地点Fは遠すぎて見えないといったところだ。比較のために、WRT54GC+WPC54Gでの組み合わせも一緒に試してみている。


地点A~Fまでの地点図

写真13:
写真を撮る関係で多少遠ざかったが、実際はもう少し建物に近づいて測定
写真14:
3階の窓のアップ。WRT54GXのアンテナが見える

写真15:
図の「建物その1」で出っ張っている部分がここ。木が邪魔で窓を直視できない
写真16:
アクセスポイントからの直線距離は90m強、100m弱といったところ

 さて、表1がWRT54GXでの結果である。pingのサイズは10KBで、各地点で10回ずつ測定を行なっている。面白いのは、近距離ではそれほど高速性が活かせないことで、特に室内で3mの距離での結果は明らかに遅くなっているのが、なかなか興味深い。MIMOは信号レベルが弱い時には効力を発揮するが、近距離だとむしろ干渉しやすいのかもしれない。

 その一方、遠距離に関してはその性能を遺憾なく発揮した。50m以上はなれたC地点ですら信号強度は74%。D地点はさすがに間に障害物(ホテルの建物そのもの)がたっぷり入るためか通信はまともにできなかったが、それでも信号レベル40%。見通しできるE地点では信号レベルもあがり、一応現実的に通信が可能だった。

 驚くのは150m近く離れたF地点でも、一応通信ができること。信号レベルは0%を指していたが、それでも10回のうち1回はpingが通っており、実用的とはいえないながらも、カバー範囲に入っていることは間違いない。とりあえず見通し距離100m程度なら、十分実用になることが確認できた。

表1:WRT54GX 108Mbpsモード
Link Status ping ping換算速度
Singal Quality 成功率 平均(ms) 最小(ms) 最大(ms) 平均(KB/s) 最小(KB/s) 最大(KB/s)
真横 97% 97% 100% 30.7 12.0 53.0 325.7 833.3 188.7
3m 97% 97% 100% 360.7 147.0 740.0 27.7 68.0 13.5
A地点 97% 97% 100% 186.4 65.0 568.0 53.6 153.8 17.6
B地点 未測定
C地点 74% 74% 100% 483.6 150.0 843.0 20.7 66.7 11.9
D地点 40% 40% 0% N/A N/A
E地点 54% 54% 100% 569.3 261.0 959.0 17.6 38.3 10.4
F地点 0% 0% 10% 1271.0 1271.0 1271.0 7.9 7.9 7.9


 一方、WRT54GCの方は? というわけで結果を表2に示す。こちらはpingが10KBだと通らなかったので、3KBにして測定を行なっている。結果はというと、室内で使う分には、むしろWRT54GXを上回る成績を出していることがわかる。ところが、屋外となると途端に駄目である。まぁ内蔵アンテナはあまり大したことがないから無茶だという話はあるにせよ、A地点で成功率10%という時点でかなり信号レベルが弱いことが実感できる。

 実はB地点は、このA地点の成績があまりに悪かったので急遽追加したのだが、ちゃんと見通しできれば一応性能が上がることは確認できた。しかしながら、屋外でまともに通信できたのはこのA/B地点のみ。C/D地点では信号レベルも低く、実際Pingが全然通らなかった。E/F地点ともなると、pingが“Destination host unreachable.”のエラーを出して終っており、そもそもLinkしない状況である。まぁ携帯用のルータにそこまで求めるな、という意見は当然あるにせよ、SRX(というか、MIMO)の威力は絶大であることがここから読み取れる。

表2:WRT54GC 54Mbpsモード
Link Status ping ping換算速度
Singal Quality 成功率 平均(ms) 最小(ms) 最大(ms) 平均(KB/s) 最小(KB/s) 最大(KB/s)
真横 100% 100% 100% 9.8 5.0 20.0 306.1 600.0 150.0
3m 100% 100% 90% 7.8 6.0 11.0 385.7 500.0 272.7
A地点 47% 47% 10% 92.0 92.0 92.0 32.6 32.6 32.6
B地点 80% 87% 100% 34.4 13.0 64.0 87.2 230.8 46.9
C地点 27% 27% 0% N/A N/A
D地点 0% 0% 0% N/A N/A
E地点 Linkなし
F地点 Linkなし





内部構成

写真17:
ちなみに回転する台座がこの蓋のロックになっている、という凝った作り
 さて、それではおなじみ内部構成である。裏面のゴム足部の影に4カ所のネジ穴が隠れているので、このネジを外すと内部が露出する(写真17)。とはいっても内部は見事にシールドケースに覆われており、わずかにアンテナとLED部が覗くのみ(写真18、19)。LANコネクタ部もしっかりシールドされている(写真20)。


写真18:
表側は、LEDの部分のみが外に出ているが、その周囲はがっちりシールドが施されている
写真19:
裏面で下側に覗くのはコネクタ端子
写真20:
左上は穴に見えるが、ここはちゃんとふさがっている。一方、右下はシールドに切り欠きがあるが、ここにちょうどリセットスイッチが配されている関係でシールドを切る必要があったようだ

写真21:
え、これだけ?という感じの配置。もう少し凝縮させることも可能に見えるが、後述する関係でこの面積が必須なのかもしれない
 そのシールドを外すと、内部は非常にシンプルである(写真21)。プロセッサはBroadcomの「BCM4704KPB」。最大300MHz動作のMIPS32 4Kコアにメモリコントローラやセキュリティエンジンを搭載したSoCの模様だが、すでにBroadcomからはデータシートがオンラインで入手できなくなっている。後継製品は「BCM4712」であるが、動作周波数を含めて構成がちょっと異なるようだ。また、稼動時の発熱の少なさを考えると、300MHzフル駆動ではなく、多少動作周波数を下げている可能性もある。

 これに接続されるのは台湾ESMTの「M13S128168A-6T」で、DDR333の16MBメモリである。また、Flashは台湾Macronix社の「MX29LV320ABTC-90」が利用されている。メモリ16MB、フラッシュ4MBということで、通常のルータと比べるとちょっと容量は大きめだ(写真22)。

 一方、LAN側のスイッチにはBroadcomの「BCM5325A2KQM」、WAN側にはALTIMA(現Broadcom)の「AG101 10/100BASE-T PHY」が搭載されている(写真23)。何と言うか、極めて平凡なつくりである。というか、ここまで見る限りは普通の有線LAN向けルータという構成になっている。

 一方背面だが、左側にMini PCIのコネクタが配され、そこにMIMO対応カードが装着されているというもの(写真24)。背面は純粋にこのMini PCIのコネクタがあるだけのシンプルなものだ(写真25)。カード自体はAirgo networksの「AGN103BB-00」のみが目立ち、あとはシールドの中である(写真26)。残念ながらシールドは半田で固定されていて、これ以上は開けることができなかった(写真27)。一方、背面は何も部品が配されてなく、だいぶこなれてきている感じだ。


写真22:
ちなみにメモリは8M×16bitの構成で、このためかボード上にはもう1個DRAMを装着するパターンが用意されていたが、x16bitのままでも性能が出たから要らないと判断されたのかもしれない
写真23:
いつのまにかAltima CommunicationsまでBroadcomに買収されてしまっていて、ちょっと驚き
写真24:
カードの右にシールド用のパターンが見えるが、実際にはシールドはない。作ってみたら案外シールドなしで平気だった、ということかもしれない

写真25:
先の話に戻るが、基盤面積をつめる場合、MIMOのカードとCPUなどが重なる配置になるから、ノイズ対策が大変になりそうである。敢えて広い基盤を使ったのは、これを避けるためではないかと思う
写真26:
このAGN103BB-00は第2世代の製品。ちなみにLinksysのプレスリリースによれば、今回買い損なったWRT54GX4には第3世代の製品が搭載されているそうである
写真27:
のっぺらな背面。シールドは3箇所で半田留めされていることがわかる




ということで

 ざっと見た感じで言えば、製品構成的には微妙な感じである。家庭向けを意識してか、WPAのサポートを抜いたり、なんちゃってDMZを搭載したり、というあたりは、本格的な用途には無理がある。SRXの威力は確認できたが、米国のような広大な敷地には役に立っても、日本ではあまりに意味がなさすぎという感じ。そういう意味ではWAP54GXをちゃんと評価したかったところではあるが、やはり(在庫がないというのは)売れ線なのであろう。

 今のところ日本法人のリンクシスでは、SRX製品を一切ラインナップしていないが、仮に来年あたりSRX製品が日本語化の上で投入されるとしても、この製品をお勧めできるかどうかは微妙である。案外鉄筋の壁とかをブチ抜いて通信できるかもしれないから、マンションなどでは場合によっては役立ちそうだが、巨大な本体やACアダプタは、家庭向けというにはちょっと……という感じがぬぐえない。

 ところで今の筆者の問題は、これを自腹切って買ってしまって、この後どうしよう? という話。電波法の絡みがあるから国内では使えないし、出張に持っていくには大きすぎる。というか、ホテル全部に届くほどのカバーレンジは全然要らないわけで、さてどうしたものか……。




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関連情報

URL
  Linksys
  http://www.linksys.com/

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2005/12/21 11:00

槻ノ木 隆
 国内某メーカーのネットワーク関係「エンジニア」から「元エンジニア」に限りなく近いところに流れてきてしまった。ここ2年ほどは、企画とか教育、営業に近いことばかりやっており、まもなく肩書きは「退役エンジニア」になると思われる。
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