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無線LANルータ編
第6回:IPアドレスとDNS、DHCP


 ネットワークに接続する機器を区別するためのアドレスのことを、「IPアドレス」と言います。また、Webサイトにアクセスする場合にホスト名をIPアドレスに変換するのが「DNS」、IPアドレスを自動的に割り当ててくれる仕組みを「DHCP」と言います。


ネットワークに接続する機器にはIPアドレスが割り当てられる

 インターネットやネットワークに接続された機器は、それぞれ区別ができる必要があります。そこで、各マシンに対して個別のアドレスを割り当てることが定められており、このアドレスのことを「IPアドレス」と呼びます。

 IPアドレスは「aaa.bbb.ccc.ddd」という形式で、「aaa」「bbb」「ccc」「ddd」にはそれぞれ0から255までの値が入ります。IPアドレスは、ユーザー側で勝手に割り振ることはできず、通常は契約するプロバイダーから割り当ててもらっています。

 ただし、パソコンやデジタル家電、家庭用ゲーム機などのインターネットに接続したい機器が自宅に複数あっても、プロバイダーが割り当ててくれるIPアドレスは通常1個だけです。そこで、自宅の中では「プライベートIPアドレス」という、同一LAN上だけで使えるローカルなIPアドレスを各機器に割り当てて使います。これをルータ側でプライベートIPアドレスをプロバイダーからのIPアドレス(グローバルIPアドレス)へと変換して、インターネットに接続する形になります。

 例えば、本連載のトップページを見る場合、「http://bb.watch.impress.co.jp/cda/koko_osa/」ではなく、「http://210.173.173.66/cda/koko_osa/」でアクセスしても、問題なく表示できるはずです。この「210.173.173.66」という文字列が、Broadband Watchのサーバーが持つIPアドレスというわけです。同様に自宅の中でルータを使う場合、図1の例では、パソコンなどから「192.168.11.1」にアクセスすれば、ルータに接続できます。


図1:IPアドレス




ホスト名に対応したIPアドレスを見つけてくれる「DNS」

IPアドレスに対応したホスト名からのアクセスも可能
 以上のように、IPアドレスを入力すればアクセスしたいWebサイトなどを表示できるわけですが、数字で構成されたIPアドレスを丸々覚えていくのは無理があります。例えば、Broadband Watchにアクセスするのに「210.173.173.66」と「bb.watch.impress.co.jp」のどちらが覚えやすいかは明白でしょう。

 また、Googleにアクセスする場合でも、「72.14.203.104または72.14.235.104」と言われるよりも、「www.google.co.jp」の方が覚えやすいと思います。このようにWebサイトにアクセスする際に人間が覚えやすくする手段として、各機器にはIPアドレスと一緒にホスト名を付与し、ホスト名を使ってアクセスしても良いことになっています。

 ただし、これはあくまで便宜を図るためで、実際には内部でホスト名をIPアドレスに変換するという作業が行なわれています。問題はホスト名とIPアドレスの対応を誰が行なっているか、という点です。2006年11月の時点で、世界のWebサイトだけで1億を突破したそうですから(関連記事)、Web以外も含めると2億程度あったとしても不思議ではありません。

 しかも、この台数は時々刻々と変化するわけですから、個人で管理するのは到底難しいと言えます。そこで、ホスト名とIPアドレスを変換してくれる「DNS(Domain Name System)」と呼ばれるサービスが利用されます。

 全世界に13台のルートサーバーが置かれ、この下に組織ごとの子サーバーがツリー状に構成される形で、ホスト名とIPアドレスを変換してくれています。もっとも、一般ユーザーがメールやWebを利用するにあたって、DNSを意識する必要はありません。唯一、意識する必要があるのは、個人でドメインを取得してWebサイトを公開している場合で、更新手続きを忘れてドメインが無効になってしまうと、DNSエラーが発生してしまい、外部からアクセスできなくなってしまいます。


 ところで、IPアドレスは通常プロバイダーから割り当てられると書きましたが、これは図1で言うところの「aaa.bbb.ccc.ddd」という1つだけです。PCなど家庭内にある機器に「192.168.11.2~4」というプライベートIPアドレスを振るのは、ユーザー側の作業になりますが、その都度IPアドレスを設定するのは面倒です。そこで、これを自動で行なってくれる仕組みが「DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)」になります。

 具体的にはルータでDHCPサーバー機能を有効にし、PCやWii/DSなどの機器側で「DHCPを利用する」と設定しておけば、ルータに接続した際に自動的にプライベートIPアドレスを割り当ててくれます。機器ごとに固定のアドレスを割り振る必要がある場合は別ですが、基本的にはDHCP機能を利用するのが便利でしょう。


関連情報

URL
  無線LANルータ編 索引ページ
  http://bb.watch.impress.co.jp/cda/koko_osa/17754.html

2007/05/28 11:05

槻ノ木 隆
 国内某メーカーのネットワーク関係「エンジニア」から「元エンジニア」に限りなく近いところに流れてきてしまった。ここ2年ほどは、企画とか教育、営業に近いことばかりやっており、まもなく肩書きは「退役エンジニア」になると思われる。
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