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無線LANルータ編
第13回:無線LAN設定システム


 無線LANの接続時に必要なSSIDやセキュリティ設定を容易にする「無線LAN設定システム」。WPSと呼ばれる標準化された規格がありますが、メーカーが独自の設定システムを提供しているケースもあります。


無線LANのSSIDやセキュリティ設定を容易にする

 無線LANを利用する際に避けて通れないものの1つに、SSIDやWEP/WPAキーの設定があります。「SSID(関連記事)」と「WEP/WPAキー(関連記事)」の設定は、いずれも重要な項目であることは以前にご説明しました。しかし、手動で設定しようとする場合、以下のように何段階かの手順を踏む必要があり、その作業は容易とは言えません。

(1)アクセスポイントにログインする
(2)アクセスポイント側にSSIDとWEP/WPAキーを設定する
(3)設定を反映させる(=ルータが再起動されるのが一般的)
(4)クライアント側に無線LANカードをインストールする
(5)設定ユーティリティを起動し、SSIDとWEP/WPAキーを設定する
(6)設定が正しく行なえ、通信できることを確認

 また、(6)がうまくいかない場合、(5)を何度か繰り返すわけですが、そこで間違いが見つからないと、(1)からやり直す必要がでてきます。クライアントが複数ある環境では、(4)以降の作業を繰り返なくてはなりません。また、時間が経ってから追加する場合、WEPキーなどを忘れてしまい結果として新しいキーを設定してアクセスポイントと全クライアントに入力し直す、といった経験を持つのは筆者だけではないと思います。

 こうした手間を軽減するために考えられた方法が「WPS(Wi-Fi Protected Setup)」です。WPSの場合、アクセスポイントに設定されているSSIDとWPAキーを、ボタン操作などで設定をクライアントにコピーする機能を持っています。これによって、特に(5)が非常に簡略化されるというわけです。さて、その(5)の作業がWPSでどう変わるかですが、現在2種類の方法が用意されています。

 1つ目のプッシュボタン方式は、アクセスポイントとクライアントにWPSというボタンを追加し、双方でこのボタンを押すとアクセスポイントからクライアントにSSIDやWPAキーを送るというものです。この方式は手軽なのですが、アクセスポイントとクライアントが物理的に距離がある場合には少々不便かもしれません。


図1:プッシュボタン方式

 もう1つの方法は、PIN方式と呼ばれるものです。こちらはアクセスポイントに4~8桁の独自のPINコードが記載されているので、これをクライアントから入力すると、アクセスポイントからSSID/WPAキーが送られる仕組みになります。Windows VistaはPIN方式に標準で対応しています。また、それ以外にもUSBメモリを使ったり、近距離通信を使ってトークンに触れるだけで設定できる方式などが現在検討中です。


図2:PINコード方式

 WPSは対応機器間であれば、メーカーを問わず利用できますが、制定されたばかりの規格になるため(2007年1月に1.0が公開)、大きく普及している段階ではありません。このため、周辺機器メーカーの中には独自のセットアップ方法を数年前から提供しているところもあります。

 例えば、バッファローの「AOSS(参考URL)」や、NECアクセステクニカの「らくらく無線スタート(参考URL)」が挙げられます。どちらも機能的にはWPSのプッシュボタン方式に近いシステムです。また、パソコン以外にも、ニンテンドーDSやPSPといったゲーム機などにも搭載されていて、ボタン操作による無線設定が可能になっています。


関連情報

URL
  無線LANルータ編 索引ページ
  http://bb.watch.impress.co.jp/cda/koko_osa/17754.html

2007/07/23 10:52

槻ノ木 隆
 国内某メーカーのネットワーク関係「エンジニア」から「元エンジニア」に限りなく近いところに流れてきてしまった。ここ2年ほどは、企画とか教育、営業に近いことばかりやっており、まもなく肩書きは「退役エンジニア」になると思われる。
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