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NAS編
第3回:ユーザー管理機能


 多くのNAS製品には、ユーザー管理機能というものが備わっています。この機能を利用することで、ユーザーやグループ単位でのアクセス管理が可能になります。また、製品によっては、ユーザーが使用できるディスク容量を管理できる機能もあります。


ユーザーやグループ単位で共有フォルダへのアクセスを管理

図1:クライアントからNASにアクセス

画面1
 NASを導入して、そのまま利用するシーンを考えると、複数のクライアントからNASの共有フォルダに対してアクセスができることになります(図1)。自宅などで利用する場合は問題ないと言えますが、複数人や事務所、学校などで利用する場合、誰でも共有フォルダにアクセスできて、ファイルの読み書きが行なえるのは不都合が生じる場合もあります。

 学校を例にすると、「課題を置いたフォルダに関しては、生徒は読み込みのみで、書き込みは不可」「生徒個別のフォルダは、各生徒のみ読み書き可」「先生は全フォルダの読み書きが可能」と設定したい場合もあると思います。こうした場合に役立つのが、ユーザー管理機能です。

 ユーザー管理機能では、フォルダにアクセスする際にユーザー認証を行ない(画面1)、ここでログインしたユーザー名に応じてフォルダへのアクセスパターンを変えることが可能になります。画面2はバッファロー製品の例ですが、共有フォルダごとに読み書き可能なユーザーと、読み込みだけのユーザー、アクセスできないユーザーを個別に指定できます。


図2:クライアント単位でアクセス権を設定

画面2
 この場合、「BBWatch」というユーザーは読み書き(=削除も可能)できますが、「k-taiwatch」と「internetwatch」というユーザーは、フォルダの読み取りしかできません。また、それ以外のユーザーは、アクセス自体ができないことになります。こうしてユーザー管理機能を使うことで、図2のようにクライアントごとにアクセス方法を変えることが可能になります。

 ちなみに画面2を見ると、グループという項目があります。これは、ユーザー単位の管理に手間がかかる場合に、1つのグループとしてユーザーをまとめられるものです。

 例えば、先生が3人、生徒は30人のクラスが3つある場合では、個別に管理をするのが面倒です。「先生」と「生徒」の2個のユーザー名を作成して、これを全員で共用するのも一案ですが、ユーザー個別の管理はできなくなります。また、全生徒が同じ個人用フォルダを共用することになってしまい、あまり良い運用とは言えそうもありません。

 これを解決するのが、グループの概念で、先生・生徒ともに個別にユーザー登録すると同時に、生徒・先生というグループを2つ作成し、それぞれに該当するユーザーを登録しておきます。これによって、「1組の課題を置いたフォルダ」に対するアクセス権限は、1組の生徒が読み込みが行なえ、先生は全員読み書き可、2・3組の生徒はアクセス不可というような管理がグループレベルで可能になります。

 また、余談になりますが、上記の学校の例では93人分のユーザー登録をNASに行なう必要があるため、最初の登録作業には時間を要します。これを簡略化するため、「Active Directory」と連動してユーザーを管理してくれるNASもあります。家庭向けには必要ない機能ですが、人数が多い環境でNASを利用する際にはこうした機能を持つ製品を探すと良いでしょう。

 最後にクオータについて簡単に触れます。画面2を見ると、読み書きのアクセスはありますが、書き込み可能な場合に「どれだけ書き込めるか」という制御は行なえません。このため、ある生徒が巨大なファイルをフォルダに置いた場合、NASの容量がいっぱいになり、他の生徒や先生が使えなくなってしまいます。

 こうしたことを防止するために、「どれだけHDD容量を使えるか」を管理するのがクオータ機能です。この機能も、ユーザー単位で設定が可能なほか、グループ単位で管理できる場合もあります。「生徒は最大でも1人1GB以内。1組合計で20GB以内」という制約を、クオータで簡単に行なえるわけです。このため、これを利用する場合にもユーザー単位の管理が必須になります。そういうわけで、複数ユーザーが1台のNASを使う場合のために用意されている機能と考えれば良いでしょう。


関連情報

URL
  NAS編 索引ページ
  http://bb.watch.impress.co.jp/cda/koko_osa/20269.html

2007/12/10 11:22

槻ノ木 隆
 国内某メーカーのネットワーク関係「エンジニア」から「元エンジニア」に限りなく近いところに流れてきてしまった。ここ2年ほどは、企画とか教育、営業に近いことばかりやっており、まもなく肩書きは「退役エンジニア」になると思われる。
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