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一味違った地域情報が得られるユニーク地図サイト


 ここ最近、忙しくて実家に帰る機会がなかったのですが、しばらくぶりに帰省したら家の近くのバイパス沿いの景色がすっかり変わっていました。新しいスーパーやらコンビニやら雑貨店やらがオープンして、昔の面影なんかありません。手持ちのカーナビに入っている地図データは2年前のものなのですが、それと比べてまったく店の顔ぶれが違ってしまったのでビックリしましたね。街の移り変わりってのはホント早いもんです。

 このような街の変化をDVDやCDカーナビで追いかけるためには、そのたびに新しいデータを買い直す必要がありますが、インターネットならそんなことをする必要はありません。無料の地図サイトに行けば、いつでも最新の地図を好きなだけ使えますからね。この連載でも過去に何度か地図サイトを特集していますが、最近では単に街の地図が見られるだけでなく、特定の情報に特化したユニークな地図も増えてきました。

 中には地価情報や環境情報がわかるスグレモノもあり、実にバラエティ豊かです。今や地図サイトは自分の用途に応じて、いろいろと使い分ける時代になってきました。そんなわけで今回は、数ある地図サイトの中から、アタシがオススメするちょっと変わり種の地図サイトをピックアップしてご紹介しましょう!





全国の地価が一目瞭然

 最初にご紹介するのは、「全国地価マップ」です。財団法人試算評価システム研究センターが運営しているこのサイトでは、全国津々浦々の地価をすばやく調べることができます。まあ地価といってもいろいろありますが、ここで調べられるのは「固定資産税路線価」と「相続税路線価」、そして「地価公示・地価調査価格」の3種類。いずれの価格情報も、従来は役所や不動産屋に行かないと見られなかった情報で、これが家にいながら調べられるんですから便利ですよ。

 まずはトップページから地図のメイン画面にアクセスしてみましょう。エリアを指定するには、地域名の一覧から探す方法と、緯度・経度を直接入力して調べる方法、そしてクリッカブルマップから選択していく方法と3通りあります。とりあえずここでは、東京の上野駅付近の地価を調べてみましょう。クリッカブルマップの中から「東京」を選び、さらに「台東区」をクリックすると、上野駅近くにある台東区役所を中心とした詳細地図が表示されます。

 最初は固定資産税路線価が表示されます。地図上に標準宅地の位置を示す赤い丸が書かれているので、どれかをクリックすると、その付近の住所や路線価、用途地区区分などの情報が「属性表示」として表示されます。今度は縮尺を小さくしてみましょう。縮尺は1/1,000~1/25,000の6通りあるので、1/1,500あたりを選択すると、道路上に矢印と路線価が表示されます。これを見れば、どのエリアがどれくらいの価格かが一目瞭然ですね。次に「相続税路線価等」のタブをクリックしてみましょう。ここでは地区区分を示す大きな丸印が表示されます。この丸の中に相続税路線価が書かれているわけですね。身近な地域の地価を調べてみると、「この土地、こんなに高かったのか~」なんて思わぬ発見があって、面白いですよ~。

 最後は「地価公示・地価調査」のコーナーです。ここでは地図上に四角と三角のマークが表示されます。これらはそれぞれ、「地価公示地点」と「地価調査地点」を示します。それぞれのマークをクリックすると、属性情報が表示されます。この属性情報の中には、価格や住所のほかに「周辺地利用現況」という項目があるんですが、これがなかなか面白いです。「中高層の店舗ビル等が建ち並ぶ駅に近い商業地域」「中層事務所ビルが建ち並ぶ商業地域」「中規模マンション、アパートが見られる住宅地域」といった風にその地域の特徴が書かれているので、現地に行ったことがなくても、これを読めばその地域がどんな状況かがわかってしまうんですね。街歩きが好きな人は、この機能を使って街の下調べをしても良いかもしれませんな。


「全国地価マップ」トップページ 地図検索画面

固定資産税路線価 地価公示・地価調査価格




日本全国の彩色地形図

 次にご紹介するのはコレ。財団法人・日本地図センターが運営する「地図センター」です。ここは同センターが取り扱っている地図や出版物を紹介するサイトなんですが、このほかに面白いコンテンツがいくつかあります。トップぺージ左に並んだメニューの「地図を見る」コーナーの中から、「彩色地形図を見る」をクリックしてみてください。ここで言う「彩色地形図」というのは、国土地理院発行の数値地図を元に作られたもので、登山などでよく使われる等高線が入った地図です。標高によって地面の色が塗り分けられているので、どんな地形かがすぐ分かるようになっています。国土地理院の地形図はロードマップやタウンマップのベースとして使われていますが、素の地形図をインターネット上で見かけることはほとんどありません。ところがこのサイトでは、なんと日本全国の地形図が色つきで見られるんだからスゴイ!

 使い方はカンタン。彩色地形図のメイン画面から見たいエリアをクリックして絞っていくだけです。最後に1/25,000の地形図がポップアップして表示されるので、拡大図をじっくり見られますよ。右上にはカーソルボタンも用意されているので、上下左右のエリアへの移動もすばやく行なえます。残念ながらこのサービスは閲覧だけしかできませんが、もし地図を見てデータが欲しいと思ったら、オンラインで購入もできるようになっています。

 このほか、目的の地域を探すためにキーワード検索も用意されています。地名や公共施設名のほか、“百名山”に選ばれた有名な山の名前からも検索できるので、山好きの人には便利ですね。また、緯度・経度を指定しての検索も可能です。ふだんはこの手の地図を見慣れていない人も、たまには身近なエリアの地形をチェックしてみてはいかがでしょうか。面白いですよ~。


「地図センター」トップページ 彩色地形図




大気の汚染状況をチェック可能

 最後にご紹介するのは、東京都環境局が運営する「東京の環境」内の「大気汚染地図情報」です。これは読んで字のごとし、東京都の大気汚染が一目で分かる地図なんですね。メインページにアクセスすると、東京都の地図が表示されるので、ここで知りたい大気の種類を選択します。「二酸化窒素」「浮遊粒子状物質」「光化学オキシダント」「二酸化硫黄」「一酸化炭素」「メタン」などさまざまな気体が用意されているので、どれかを選んでクリックしましょう。それぞれの気体の濃度を示した地図が表示されます。

 また、「時報測定値」「日報測定値」をクリックすると、都内のさまざまなスポットでの測定値の一覧表も見られます。さらに、気温や湿度、風速などといった一般的なデータも用意されているので、これらと組み合わせて大気の情報をチェックしてみましょう。最近はディーゼル規制などの影響で少しキレイになってきたみたいですが、それでもまだまだ東京の空気は汚れています。この地図を利用して、自分が活動しているエリアの大気がどんな状況になっているのかを、ぜひチェックしてみてください。

 できればこの情報、東京だけでなくほかの主要都市でもぜひ提供してもらいたいものですね。地図ってのは難しいデータを簡単に分かりやすく伝えられる力を秘めているので、このようなユニーク地図はもっともっと普及していってほしいもんです。では、また!


「大気汚染地図情報」トップページ

関連情報

URL
  全国地価マップ
  http://www.chikamap.jp/
  地図センター
  http://www.jmc.or.jp/
  東京の環境
  http://www.kankyo.metro.tokyo.jp
  大気汚染地図情報
  http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/bunpu1/air/mapmenu.asp

2005/11/14 11:07

下柳泰三
自称“書き屋”。ジャンルを選ばず心が揺さぶられればパソコン記事でも映画評でも何でも書く、サスライの原稿執筆人。現在某街歩き雑誌(ヒミツ)をメインに活動中。ホコリをかぶったケーブルモデムを横目に今日も書きまくる!
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