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映画の予告編を集めたポータルサイト


 「いやあ、映画って本当におもしろいですねえ」でおなじみの水野晴男さん。みなさんもよくご存じだと思いますけど、実はこの人、映画評論してるだけじゃなくて、自ら監督として映画を撮ってるって知ってました? アタシねえ、この人の映画、大好きなんですよ。その名も「シベリア超特急」。これって第二次世界大戦直前が舞台の山下将軍を主人公とした反戦映画なんです。テーマはすっごくシリアスなんですよ、テーマは。でもね、こんなにマジなテーマなくせに、恐ろしいことに笑えるんです。この辺のアンビバレントなところが表現しにくいんですが、この映画は一人で見ると笑えない。でもみんなでツッコミを入れながら見ると笑える、という類の映画なんですね。

 実はこれ、日本が誇るカルト映画の傑作とまでいわれたんですが、昨年、なんと第2弾ができたんです。うれしかったですねえ。アタシも映画評を某雑誌で連載してて、試写会にも結構呼ばれるんですけど、この映画だけは呼ばれなかった。いつもは付き合いのない宣伝会社さんだったんですね。ま、映画の性質上、おそらく連載している雑誌には載せてもらえないと思ったし、それなのに「観せて~」なんて頼むのもオコガマシイ。別にお金を出して観るのは全然かまわないんですけど、できるだけ早く観たかったんですね。

 そこでアタシは一思案しました。試写会御招待の懸賞に応募したんですね。アタシはこういう点、プロとしてのこだわりなんかないので、家族に名前借りたりして一所懸命応募しましたよ。バカですね。おかげさまでめでたく当選しました。さて、ここでアタシは、パート1をもう1回観ておこうと思いました。大急ぎで、家から遠く離れた亀戸のツタヤまで車を飛ばしましたよ。が、あいにくこのビデオが貸し出し中。「クヤシ~」と思いながらツタヤを後にしました。ったくもう。


なんと!! まるごと映画を流していた

さまざまな映像コンテンツを見ることができる「Foreign TV」
 そんなとき、何気なく試写会の懸賞を企画していた「Foreign TV」を見たんです。驚きましたね。恐ろしいことに、そこにはパート1が、まるごとストリーミングで観られるようになっていたんですよ。え?それがどうしたって? あのねえ、たとえばマトリックス2が今度公開されるとしますよ。そんなとき、マトリックスのパート1を、たとえプロモーションのためとはいえタダで観られるようなことしますか? しないでしょう。だってマトリックスのパート1は、まだまだレンタルビデオやDVDで儲けてくれなきゃ困るんですから。だけど、「シベリア超特急」は、それをやってしまった。恐ろしいことです。

 この映画は圧倒的なカルト性というか、観ている人の口をアングリとさせる何かを持っている映画です。これがインターネットで、世界中の人々に(他国語の字幕はないけど)観せるなんて、そんなのアリか!と思いましたね。ただし、これは少し前のことで、今、確認してみたらすでにストリーミング配信は終わってました。まあ、期間限定というのはしょうがないことなんでしょうけどね。



URL
  Foreign TV
  http://www.ftv.co.jp/




映画の予告編がたっぷり

 ところでこの「Foreign TV」というサイト、よくよく見てみたら「シベリア超特急」だけではなく、映画に関していろいろなコンテンツを扱ってました。「MOVIE Channel」というページを作ってたんですね。ここでは、封切り前の映画の予告編が、ストリーミングで観られるようになっています。

 映画の予告編といわれて思い出すのが、CATVに加入した当時のことです。そのころ、地上波にはないユニークな放送局をザッピングしながら毎日を楽しんでいたんですが、そういう放送局では、地上波でよく見るCMはあまり流れない。その代わり、映画の予告編がやたらと流れるんですね。こちとら映画が三度のメシより好きな人間ですから、うれしかったですねえ。映画の予告編って、先週お話したCMのように、それ自体が“作品”として成立するような完成度の高いものがあるんですよ。

 最近では「ミッション・インポッシブル2」の予告編なんか、すごいデキだと思います。映画のカットをうまくコラージュしてて、もしかしたら本編よりもカッコよかったかも。あくまでも予告編っていうのはお客さんを映画館に呼ぶためのものなんですが、これはこれで、いろいろなノウハウがあるんでしょう。その証拠にハリウッド映画の予告編は、日本と米国で違います。たとえば大ヒットになった「アルマゲドン」では、日米の予告編で“家族愛”と“男女の恋愛”のどちらを強調するかが、対称的だったそうです。どんな客層をメインターゲットにするかで予告編そのものが変わってしまうなんて、なんだかおもしろいですなあ。


「MOVIE Channel」には映画の予告編や役者・監督などの記者会見映像などが集められている


URL
  MOVIE Channel
  http://www.ftv.co.jp/jp/mc/movie/home/top/index.html




予告編オン・デマンドはないのか?

すでに公開を終えた映画の情報や予告編までデータベースとして蓄えている「Hollywood.com」
 てな具合に、予告編というのはなかなか侮れないものなんです。が、やはりCATVという片方向メディアには限界を感じます。たとえば「『ミッション・インポッシブル2』の予告編、カッチョエ~」と思っても、その感動を人に伝えるには、あらかじめ予告編が流れる時間帯を予測して、ビデオで録画しておかなきゃいけない。で、「やっぱここはインターネット様にお出まし願うしかない!」といろいろ検索してみたら、ありましたよ。映像関係に携わる人というのは新しいことに敏感なんでしょうか。「MOVIE Channel」の他にも、この手のサイトがたくさん見つかりました。

 一番感動したのは「Hollywood.com」でしたね。ハリウッド・コム、なんと分かりやすいサイト名でしょう。そう、今や映画界の王者として君臨しているハリウッド映画のサイトです。ここのスゴイところは、すでに公開を終えた映画の情報や予告編まで、データベースとして蓄えているところですね。最近じゃ映画のサイトを作ることは当たり前になってるし、予告編も各映画のオフィシャルサイトで観られます。けど公開が終わっちゃうと、オフィシャル・サイトは閉鎖されてしまう場合が多いんですね。

 先ほど紹介した「アルマゲドン」のオフィシャル・サイトも、もはや見ることはできません。あれだけヒットした映画なのにね。「マトリックス」みたいに次回作が予定されている映画なんかはまだ残ってるけど、「アルマゲドン」じゃ次回作を作りようがないもんなあ。でも「レンタルビデオ、今日は何を借りようかなあ」なんて思ってる人は、公開終了後も見たいですよねえ。そんなときに便利なのが「Hollywood.com」です。



URL
  Hollywood.com
  http://www.hollywood.com/




邦画にもこういうのがほしい

 これを見て、「やっぱハリウッドはすげーなー」と思った次第なんですが、日本にはこーゆーサイト、ないんですねえ。たしかに配給会社のサイトにいけば、各映画の情報が見られますよ。でも、過去に公開されたものを溜め込んでいくサイトがない。邦画だって最近はおもしろいんですよ。だけど、「Hollywood.com」みたいな総合サイトがあるのとないとじゃ、盛り上がりも全然違うと思うんですねえ。インターネットのような新しいメディアでバックアップするからこそ、映画という歴史あるフォーマットにも活気が出てくるんじゃないかと思います。

 ちなみに「新作映画はどこの映画館で観られるか」という情報は、もうインターネットがあれば街ガイド誌を買わなくてもいいような状況になってきています。ぜひ、それと連動して予告編が観られるようなサイトを作ってほしいもんです。

 さて、長々と予告編について熱い思いをぶちまけてきましたが、「どうせなら本編も観られればな~」と思ってる人、当然いるでしょう。これについては来週書きます。「いやあ、映画って本当におもしろいですねえ」という思いを一瞬たりとも忘れたことのないこの下柳泰三、映画ネタを1回で終わらせるなんてことは毛頭考えてません。さてと、来週分を書く前に、ツタヤにビデオを返しに行くか。メンドイなあ、もう。


2001/08/27 11:13

下柳泰三
自称“書き屋”。ジャンルを選ばず心が揺さぶられればパソコン記事でも映画評でも何でも書く、サスライの原稿執筆人。現在某街歩き雑誌(ヒミツ)をメインに活動中。ホコリをかぶったケーブルモデムを横目に今日も書きまくる!
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