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携帯SMTPサーバーソフト「Radish」で外出先からも自由にメールを送信!!


 半年ほど前、アタシが利用しているCATV会社から1通のメールが来ました。内容は、インターネットのウイルスチェックサービスの運用を開始するという告知です。最近はウイルスメールが多いので、アタシも自分のマシンにはアンチウイルスソフトを入れて対処をしていたんですが、プロバイダー側でやってくれるのなら大歓迎です。

 ところが、ここで1つ問題が起きました。ウイルスチェックサービスの開始に伴って、なんとメール送信時に制限がかかることになったんですね。この制限というのは、メール送信時のFROMアドレスがCATVのメールアドレスになっていないとメールを送れないというものです。

 さあ困りました。というのも、アタシがメインに使っているメールアドレスはCATV会社のアドレスではなく、ダイヤルアップ時代に申し込んだ他のプロバイダーのものなんです。出張に行ったときもダイヤルアップからアクセスしやすいので、ずっとこれを利用してきたんですね。もちろん、メールアドレスを変えるのがめんどくさかったという理由もあります。仕事相手や友人にいちいち告知して回るってのも、けっこう大変ですからね。

 というわけで1つのアドレスをずっと使い続けてきたアタシですが、実はこのダイヤルアップのプロバイダーは、SMTPサーバーを外部からアクセスできないようにしているんですね。つまり、ダイアルアップのアクセスポイントに接続しないと、このプロバイダーのSMTPサーバーを使ってメールを送信できないわけです。

 仕方がないので、今まではSMTPサーバーはCATVのメールサーバーを使っていたんですが、今回のウイルスチェックサービスが始まると今まで通りには使えなくなり、アタシとしてはヒジョーにつらい。さてここでアタシはどうやってこの状況を乗り切ったでショーか?というのが今回のテーマです。





自前のSMTPサーバーを構築!?

「Radish」を提供している札幌ソフト開発工場
 この告知を見て、何はともあれまずアタシはCATVインターネットへメールをしました。ウイルスチェックをしてもらうのはありがたいけど、元々アンチウイルスソフトで自衛していたし、送信に制限がかかってしまうくらいなら遠慮したい。ウイルスチェック無しでも良いから他プロバイダーのメール送信が可能な選択肢というのを残しておいてくれないか、というお願いです。

 そして返ってきた答えは「ダメ」の一言。まあ、他のプロバイダーのメールのことなんか知らないよ、と言われればそれまでなので、仕方がないですけどね。いっそCATVをやめて、他の接続業者に乗り換えようかな~なんてことも思ったんですが、それはそれでめんどくさいので、今の環境のまま、なんとか使い続けることはできないかを検討してみました。

 そこで考えたのが、SMTPサーバーを自分で立ち上げることです。サーバー管理者などやった経験のない自分に果たしてそんなことができるのか、ものすごく不安になりましたが、あれこれ検索して調べている内にすばらしいソフトがあるのを発見しました。その名も「Radish」というサーバープログラムです。「携帯SMTPサーバー」と銘打ったこのソフトを使えば、プロバイダーのメールサーバーを使わずに直接メール送信が可能になります。しかも、フリーソフトなので導入コストはゼロ。まさにアタシにはぴったりのソフトで、こりゃ使うっきゃない!と思いましたね。





インストールはとてもカンタン

 Radishの導入はいたってカンタンです。ダウンロードした圧縮ファイルを展開して、「Radish.exe」をダブルクリックするだけ。するとログ画面に「SMTP-SERVER Started.」と表示されるはずです。メニューの中から「設定」を選び、「SMTP/POPサーバ」を選択して設定画面を開いてみましょう。「SMTPサーバ」のタブをクリックすると、デフォルトの設定ではバインドアドレスは「127.0.0.1」となっているはずです。つまり、メールソフトはここに入力したアドレスに対してメールを送信することになるわけですね。

 そこで、今度はメールソフトを立ち上げて送信サーバーを設定します。送信サーバー名を入力する欄に、「127.0.0.1」と入れてください。後はRadishの「基本設定」で、メールやログの保存ディレクトリを指定するだけでOKです。アタシの環境の場合は、とくに複雑な設定をすることもなく、これだけでメールを送信できるようになってしまいました。

 とりあえず、外部のアドレスにメールを送信する前に、自分宛てにメールを送ってテストするのを忘れずに。Radishのメイン画面を表示させたまま、メールソフトの送信ボタンをクリックしてみてください。送信のプロセスは、まずいったんRadishの送信メールボックスに格納されて、「Queue Saved」と表示されるはずです。その後、実際にメールが外に送信されます。「Relay Success」という表示が出れば送信は成功!

 次はきちんと自分あてにメールが届いているかどうか、確認してみましょう。アタシの場合はWindows2000にウイルスバスターがインストールされているという環境ですが、何も問題なくメールが送れました。送信時のウイルスチェックもしっかり機能しています。実はこのソフト、SMTPサーバーの他にPOPサーバーやDNSサーバーとしても使えたりと、けっこう多機能です。それにもかかわらず、あまり知識の無い人でもカンタンに使えるところがヒジョーにイイですね。


Radishメイン画面

Radish基本設定画面 SMTPサーバー設定画面

メールボックス画面

DNSサーバー設定画面




どんな環境からでもメール送信OK

 ただし、問題がまったく無いわけではありません。アタシの環境の場合、ごくたまに送信したメールが文字化けしてしまうことがありました。あとは、画像など大きなサイズのファイルを添付すると、エラーが出てしまうこともありました。どちらの現象も再現性はなく、起きる確率も低いですが、仕事上で一刻を争うような大切なメールを送るときは、きちんとプロバイダーのSMTPサーバーを使った方が無難かもしれません。

 Radishを使うにしても、念のために自分宛にも同報でメールを送り、きちんと送信されているか確認した方が良いでしょう。まだ不完全な部分もありますが、バージョンアップなども地道に行なわれているようなので、これからの対策に期待したいですな。

 てなわけで、もうかれこれ半年にも渡ってこのソフトを使い続けているアタシです。最初はCATVのブロードバンド環境から他プロバイダーのメールアドレスを使おうと思って使い始めたわけですが、他にもさまざまな使い方があることに気付きました。たとえば街中で無線LANを使っている状態で、メール送信をするときにも使えますね。あと、帰省したときに、実家のADSL回線からメールを送るときなんかにも使えます。

 最近はブロードバンド回線を導入している家が多いので、友人の家に遊びに行ったときに、ちょっとインターネット回線を借りてメールチェックするケースなどは、これからどんどん増えていくことでしょう。そんなときにこのRadishをノートパソコンにインストールしておけば、どんな環境からでもメールを送信できます。

 何よりも、個人ユーザーがタダでSMTPサーバーを構築できるってとこが、とても画期的だと思いますよ。アタシのような悩みをかかえた人が全国に何人いるかはわかりませんが、このブロードバンド全盛のご時世、複数のプロバイダーをかけ持ちしてる人も少なくないでしょう。こういうソフトがあるってことを知っておくだけでも、けっこう良いことがあるかもしれませんよ!


関連情報

URL
  Radish
  http://homepage2.nifty.com/spw/software/radish/

2004/10/18 10:46

下柳泰三
自称“書き屋”。ジャンルを選ばず心が揺さぶられればパソコン記事でも映画評でも何でも書く、サスライの原稿執筆人。現在某街歩き雑誌(ヒミツ)をメインに活動中。ホコリをかぶったケーブルモデムを横目に今日も書きまくる!
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